「ロシアエネルギー週間」でプーチン大統領が演説!「ノルドストリーム」破壊で得をするのは「米国とポーランド」と名指し! 対露制裁でインフレに苦しむ欧州は自業自得と批判! 一方、ドイツでは、エネルギー安全保障めぐり、政権批判の大規模デモ! 2022.12.26
(文・IWJ編集部 文責・岩上安身 2022年12月26日時点で加筆・アップ)
産油国やNATO加盟国等の外相16人はじめ3000人以上が参加し、2022年10月12日からモスクワで開催された「ロシアエネルギー週間」の演説で、プーチン大統領は、強烈な欧米・NATO批判を繰り広げた。
プーチン大統領は、ロシアから欧州向けの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」を「誰が破壊したか」に関して、「攻撃して得をするのはポーランドと米国だ」と、具体的に国名を名指ししたのだ。
さらに、「欧州は対露制裁の結果、高価な米国のLNGを買わざるを得なくなり、電気代やガス代が3倍以上になる等、自分の首をしめている、自業自得である」と断じた。欧州の貿易赤字拡大も、彼ら自身の対露制裁の結果だと指摘したのである。
しかも、西側による対露制裁がエネルギーや食糧の高騰を招き、最貧国に皺寄せされていると批判。西側が次の制裁の一手とする「ロシア産石油への上限価格設定」も、一層「エネルギー資源の不足と高騰を深刻化し、最貧国を襲う」と批判した。
他方で、プーチン大統領は、ロシアは欧州に天然ガスを供給する用意があり、「ボールは欧州にある」とした。ロシア産石油も、「上限価格」の導入国以外には、安定供給すると表明した。
プーチン大統領の呼びかけと呼応するように、欧州の国民も米国・NATO追従一辺倒から脱し始めているようだ。ドイツではエネルギー安全保障に関して、ショルツ政権を批判する大規模デモを右派が実施した。
日本にとって、こうした欧州の動きは決して他人事ではないが、日本のマスメディアはこれらの動きを一切報じない。
米国の戦略に、日本政府もマスメディアも、唯々諾々と従い、米国・NATO・ウクライナに好都合なプロパガンダを流すだけで、それに反対する欧州市民の声や動きは報じない。もはや日本のメディア状況は「大本営発表」状態に陥っている。
しかし、このまま日本が米国に盲従し、ひたすら対露制裁を続けていけば、日本のエネルギー安全保障が危うくなるのは確実である。
詳しくは、ぜひ、記事本文を御覧いただきたい!
プーチン大統領が欧米を批判した「ロシアエネルギー週間」には、産油国やNATO加盟国等の外相16人が参加!
ロシアの首都・モスクワで、第5回「ロシアエネルギー週間」が2022年10月12日から開催された。プーチン大統領はオープニングとなる12日、演説を行い、「ノルドストリーム」に攻撃を加えて得をするのは、「ポーランドと米国である」と名指しで指摘し、現在のエネルギー資源市場を混乱させているのは欧米諸国であるとの批判も加えた。
「ロシアエネルギー週間」のサイトによると、「ロシアエネルギー週間」は10月12日から14日まで開催され、70を超える国々から3000人を超える参加者、16人の外相らが参加したとのことだ。外相が参加した国々は以下である。
「アルジェリア、アゼルバイジャン、ハンガリー、カザフスタン、マリ、ミャンマー、ベラルーシ、スリランカ、シリア、トルコ、ベネズエラ、ベトナム」
旧ソ連を構成していた諸国だけではなく、フランスをはじめとするEU諸国が石油・ガスを買い付けようとしているアルジェリアやマリといったアフリカ北部の産油国の国々、NATOに加盟しているハンガリーやトルコ、米国が急にすり寄り、制裁を解除して石油を買い付けようとしているベネズエラ、東南アジアのミャンマーやベトナムまで外務大臣を送り込んでいる。
▲Russian society ‘Znanie’ will hold a panel discussion as part of the Youth Day at the Russian Energy Week Forum(ロシア社会「Znanie」は、ロシア エネルギー ウィーク フォーラムのユース デーの一環として、パネル ディスカッションを開催)(Russian Energy Week 2022、2022年10月12日)
「対露制裁がうまく作用しないから、彼らはノルドストリームを破壊した」と、プーチン大統領が批判!
演説の冒頭、プーチン大統領は、強い言葉で「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」に対する破壊工作を非難した。
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