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消費税不正還付が急増 【 脱税の話 】

2018年度に告発された消費税の不正還付事案は16件に上り、統計を始めた01年度以降で2番目の多さだったことが13日、国税庁のまとめで分かった。額で見ると、17年度の3.5倍にあたる19億円(未遂を含む)に急増した。

先週は、G20でのデジタル課税議論など、国際的な「租税回避」への対抗策が話題でした。租税回避とはグレーゾーン。違法とは言えず、課税が困難なスキームですが、今回の記事にある脱税は「黒」、違法行為です。

(参考note:節税、租税回避、脱税のたとえ話)

記事にある消費税の不正還付。実は、消費税の「不正でない還付」自体は、結構あります。

消費税の確定申告は、お店にとっては、売り上げて「預かった消費税」と仕入等の支払い時に「預けている消費税」の差額を精算するものです。

売上1,080円(1,000円+消費税80円)、仕入648円(600円+消費税48円)なら、80円-48円=32円が納めるべき消費税です。

例えば、上の例は売上と仕入だけですが、光熱費等の固定費も消費税が含まれていますので、もし経営状態が悪く、売上よりも経費の方が多ければ、預けている消費税の方が多いということも起こりえます。あとは、建物のように大きな資産を取得した時は、多額の消費税を取得時に支払っています。やや複雑なのですが、建物等は利益の計算上減価償却しますが、消費税の計算は減価償却みたいに按分せず、支払った期に全額精算となるので、大きな設備投資をした期は還付になりやすくなります。

記事に出てくる売上が消費税免税取引、仕入は課税取引であれば、預かっている消費税がないので、仕入時の消費税が戻ってきます(記事のケースはこういった取引をしていたと見せかけて(仮装して)脱税しています)。

その他にも、いろいろ還付事例はあるのですが、長文となるので割愛します。還付自体は当然一切、悪くないのですが、こういった還付の実態を知って、これは稼げるぞ・・と考えてしまう。結果、仮装行為等による「不正な」還付の事案は、毎年、摘発されています。

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脱税や消費税の不正還付事案が増加していることと同じく、税理士の懲戒処分も平成30年分は増えています(国税庁HPより)。

脱税指南であれば、「6月以上2年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止」

まだまだ未熟者の私ですが、こういった記事をみると、まず「税理士は何をしていたのか?」と思います。

脱税指南(指示)は、言語道断です。

また、もし税理士自体も、仮装行為に気づかず、お客様(納税者)に騙されて関与してしまった場合。これも、個々状況が分からないため、一概に言えないですが、私はあってはならない事だと思います。

私は、自分の仕事は「信頼を得る事」だと思っています。なんでも話してもらえる関係を築き、会社の成長をサポートする。また税理士として、税との付き合い方を伝える。脱税や不正還付のような行為で儲けるのではない。節税できることはするけれど、何よりも会社の成長を考えましょう、と。

いろいろなお客様がおりますので、理想かも知れませんが、そんな理念で働いています。

・・あと、税理士自体が偽物だった可能性もありますね。世の中には「偽税理士行為」というものもあります。ご注意を。

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脱税などの、不公平な部分を防ぐため、国税庁も動いています。例えば、先週の記事。シェアリングエコノミー分野に対して、情報収集を強化するという趣旨です。

仮想通貨取引やネットオークション、民泊、動画配信などネットを介して個人が得た収入に適正に課税するため国税庁は5日、全国の国税局などに専門のプロジェクトチーム(PT)を設置し、情報収集の体制を強化すると発表した。


真面目に生きている人が損しない世の中であってほしい。

月並みですが、税金のため息がでるような話題には、いつもそんなことを思います。

#COMEMO #NIKKEI

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