見出し画像

消費増税、ポイント還元策の話題


増税まであと1か月弱。紙面でも、ポイント還元、価格表示、レジ対応の話など、関連する記事が毎日のように掲載されています。

今回の記事。

私も第一印象は「なんだかな~」です。(SNSを見ても「なんのために増税するの?」「ポイント還元策の趣旨はどこいった?」みたいな声が多いですね。)

♦ 記事の概要

■ ポイント還元策、コンビニ大手の対応方針

10月の消費増税に合わせて始まるキャッシュレス決済のポイント還元策でセブンイレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手4社は、消費者の購入額から還元対象の2%分を支払時に差し引く発生したポイントをその場で使えるようにし、後日ポイントが戻るよりも消費者にメリットが分かりやすいと判断した。アマゾンジャパン(東京・目黒)や一部スーパーでも即時還元を始める計画で、こうした動きが主流になる可能性がある。

■ 今後の予測

政府はポイントを付与する方法を原則とし値引きと混同されかねない即時還元などを「例外」扱いにしてきたが、コンビニ大手などが即時還元に取り組むことで同様の動きが広がる可能性がある

♦ ポイント還元制度について

■ 概要

上記、ポスターにあるように、キャッシュレス決済事業者の登録がされているお店で商品を購入すると一定のポイント還元が受けられる仕組み。

お店が【 中小・小規模事業者 】であれば5%【 フランチャイズチェーン傘下の中小・小規模事業者 】であれば2%の還元となります。

セブンイレブン等のコンビニはどうか?

フランチャイズ店舗なら2%還元(国負担)ですが、コンビニは直営店もあります。直営店はこのポイント還元策は対象外。

経産省:キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要より

ではどういった対応となったか。

コンビニには直営店とFC店がある。政府の補助金が出るまで本部はFC店のポイント還元費用を立て替える。直営店は自社で負担する。(記事より)

① フランチャイズ店は、即時還元する分、立替(最終的には国が負担)。

② 直営店は、自社負担。要は、還元と同じ効果の「値引き」で対応するということ。

まあ、消費者的にも同じコンビニでも対応が異なれば混乱しますし、コンビニも「あそこは直営店だからポイント還元ないし、1つ先に行こう」という消費者の流れが生まれると困る・・という事はよく分かります。

■ 「例外」が実質「原則」化?

上記資料はポータルサイトの説明文です。

原則は、ポイント付与ですが、例外策として3つ。例外策の①が、即時還元にあたります。そもそも例外は、「やむを得ず原則によることができない場合」。

例えばこれは私の勝手な憶測ですが、コンビニの場合、先ほど述べたように、直営店とFC店で対応が異なれば、消費者に混乱を与える。となれば、「やむを得ない」事由として即時還元が認められやすいかもしれません。しかし、もしそういった論理であれば、一般の小規模事業者にとって「やむを得ない理由」ってなんだろうか。大手傘下のFCは例外の即時還元がスタンダードになり、小規模事業者は原則的方法のポイント付与。小規模事業者「5%」とFC店「2%」と還元率に差がありますが、消費者はどちらを選ぶでしょうか。

また、SNSで「キャッシュバックじゃないの?」という指摘がありましたが、※印で「キャッシュバック」「現金還元」といった消費者に誤解を与えるような表示を行わない事と注意書きがあります。これは逆に捉えれば、ポイント発行と同時に利用する実質「値引き」は、「キャッシュ(現金)」が動くものではないため、位置づけが違うということだと思います。

♦ 私見

私はそもそもポイント還元策は反対です。(政策の趣旨もそうですし、税理士事務所の実務という面でも・・💦)

国としては、消費税増税の対策に、「キャッシュレス普及政策」を盛り込むというナイスアイデアだったかもしれません。しかし、結果、「なぜ増税したのか?」というそもそも論が起きています。(まあ、このポイント還元も期限付きのものなので、その後は増税の税収増が生まれますが)

しかも、FCでない中小・小規模事業者からすれば、原則的方法でキャッシュレス対応した場合、大手がそれぞれ「即時還元」のサービスを始めれば、利便性の面で、今よりも不利な状況になります。(還元率は、有利ですが)

大手に対抗し、「即時還元」するにしても、先の述べた手続の問題や立て替えるなら資金繰りの問題が出てきます。

コンビニはコンビニで、現行制度の中で最善な方法を模索したということ。私はこの点について批判する考えはありません。むしろ直営店舗は単に値引くわけですし、消費者にとって分かりやすく、また例外策の実行も「事務局の承認を得られたら」できるものです。

---

軽減税率、複数税率の導入だけでも混乱が生じる中に、キャッシュレスの普及という、全く別の目的の政策が、増税の応急措置として導入される。

「税率をあげるなら還元などいいから、ちゃんと社会保障の財源としてほしい。」
「ポイント還元するなら、むしろ軽減税率をもっと下げてほしい。」

こんな消費者の声を耳にします。

この消費税の件に関し、下っ端税理士の1人として、先日、税理士会の所属支部に税制建議の要望案を提出しました。

まあ、採用されるか否かは問わず、やはり今回の消費増税は、増税の是非、複数税率の是非、軽減税率の税率や対象項目の妥当性、一時的な政策ではありますがポイント付与の件など、たとえ適用後でも、引き続き議論が必要だと思います。

---

(参考):税制建議とは・・

---

(参考)令和元年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)より

日本の標準税率10%は北欧に比べればまだまだ低いですが、標準税率と食料品に係る税率(軽減税率)の差が、各国よりも少ないです。

#COMEMO #NIKKEI #ニュースで語る #毎日更新 #毎日note #毎日投稿 #税制

お読みいただき、ありがとうございました。 FB:https://www.facebook.com/takayoshi.iwashita ㏋:https://ibc-tax.com/