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生前の対策が高度化!?【 相続税・贈与税に関する改正や推薦図書など 】

■ 税制改正による影響

 今、税については「インボイス制度」が話題ですが、令和5年度税制改正には、もう1つ大きな目玉があります。

 それが相続税・贈与税の改正です。
(noteで何度か取り上げてきましたが、改めて概要を書きます)

 相続税は、原則、相続等によって取得した財産が課税対象です。
亡くなる前に贈与されたもの(生前贈与)は贈与税の対象であり、相続税の対象ではありません。

 しかし、相続税を軽減するために生前贈与を行うケースも多くあるため、例外的に「相続開始前3年以内の推定相続人に対する贈与分は、相続税の対象」となっています。

 贈与税は税率が高いですが、暦年で110万円までは贈与税が生じません。毎年贈与税が生じない程度に生前贈与をするというのは相続税対策の王道でした。生前3年間は対象となってしまっても、それより前から贈与を続けていたら効果があるためです(その他、お孫さんへ…と色々な対策があります)。

 そのいわゆる「3年ルール」が、令和5年度改正で令和6年1月1日以後の贈与より「7年」になります。

(いきなり7年遡るのではなく、令和6年1月を起算に3年、4年、5年…と加算期間が延び、令和13年以降から7年となります)

 贈与税は相続税を補完する役割で設けられた税金でしたが、国際的にも適用されている「相続税・贈与税の一体化」という方向性に基づく改正です。

 この改正のポイントは、単純に「4年延びた」ということではありません。トピックな点は「7年」という年数ですが、実はこの改正とともに、暦年課税だけでなく相続時精算課税制度というものも改正になります。

財務省「令和5年度税制改正のポイント」P5より

 改正点を書き出すと話がボヤけてしてしまうので、
ここでは伝えたい事だけ書きます。この改正で、

「生前の対策がより高度化、多様化するだろう」

ということです。

 今後、改正により生前の対策の判断基準が増えると思います。高度化、多様化するということは、制度を知ることや専門家に相談することで結果が大きく変わりやすくなるということです。



■ 書籍のご紹介

 今回はそんな中で1つ、書籍を推薦します!

 生前のご相談で圧倒的に多い財産が「不動産」。
土地を持っていても、果たしてこの土地の価値はいくらなのか。
生前に贈与すべきか、売却すべきか、相続でいいか。

贈与したら贈与税、売却したら所得税、相続したら相続税。
課税されるのは渡した側?もらった側?

 不動産の現況や利用状況などは千差万別。評価方法を説明するにも、原則だけ話しても意味がなく、かといって例外を全部紹介したら何が何だか分からなくなります。私も相続の面談では、書籍等ではなくオーダーメイド型で資料を作成するのが常です。

 そんな中、とても分かりやすくコンパクトにまとめられた書籍が発売されました。

不動産オーナーの相続&事業承継対策 事例でわかる手法と税務の基本
(マルイシ税理士法人,2023年5月25日)

 まず白状します。こちらの本を執筆した藤井税理士と執筆協力者の鈴木税理士は前職時代の先輩と後輩(であり友)です。

藤井先輩は困ったことがあればまず相談したくなる頼れる兄貴分。18時以降はお互いプロ野球の速報をチラチラ(ギラギラ)見る間柄でした。

鈴木君は誰からも愛される常に一生懸命な男です。もともと税理士受験仲間であり、今もよく連絡を取り合う後輩であり友人です。

 企業経営に関する税をメインで扱う私は、個人の難解な不動産事案があれば相談したり、逆に法人税等に関する疑問は私が回答したり。そんな感じで今も繋がっている鈴木君から執筆したお話を頂き、早速読んでみました。

 おおざっぱに説明するか、詳細に説明するか。読んでみての感想は「ちょうどいい」ということです。なかなか専門書って「ちょうどいい」が難しいですよね。マルイシ税理士法人は「不動団と相続の専門家」。経験値に裏付けされた要点のまとめ、説明の分かりやすさ、そして痒いところに手が届く感じ。内容だけでなく、同じ専門家として勉強になりました。

本書は2部構成。
第1部:不動産を売却・贈与・相続するときの税務の基礎知識
第2部:ケース別 賃貸不動産の事業承継

「税理士に相談しようかな……でも、何を相談しよう」

 不動産に関する税務の基礎知識を知り、整理し、事例を見ることで税理士に聞く前の予習ができる書です。



【 事務所より 】

 生前贈与や事前の相続相談は節税だけでなく「争族」にならないためにも有効です。闇雲に悩まず、知識を得たり、相談をする。

 当社も今までは既存のお客様を中心に相続・生前のご相談を受けていましたが、新規のお客様への対応窓口も用意しています。ぜひお気軽にご相談下さい!

#税理士 #推薦図書

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