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「子の税金を減らせます」詐欺とは・・【 NIKKEI 】


♦ 記事の概要

■ 子の税金を減らせます」詐欺

所有する土地の処分に悩む高齢の地主が売買話を持ちかけられ、金銭をだまし取られる被害が相次いでいる。詐欺グループの決まり文句は「お子さんの税金を減らせます」。相続税の課税対象が2015年から広がり、相続すれば固定資産税もかかる。子の世代に税負担を強いたくないという悩みにつけ込む形で被害が拡大している。(記事引用)

■ 手口

警視庁は土地を巡る同様の詐欺事件で、19年7月までに「半グレ」と呼ばれる暴力集団のメンバーら16人を詐欺容疑などで逮捕した。不動産会社社員を装って土地の売却を提案し、書類費用や保険料などの名目で現金を詐取したとされる。(記事引用)

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被害は240人以上、5億円を上回るようです。

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♦ 相続税申告の現況

■ 基礎控除の大改正

平成27年1月以降から発生する相続に関しては、相続税の計算上の「基礎控除」というものが大幅に減額されました。

すごく簡単に言えば、相続財産の総額が「基礎控除」未満の場合、相続税が生じません。

例えば、相続人が3人の場合。基礎控除は、

① 平成26年までは、5000万円+(1000万円×3人)= 8000万円
② 平成27年以降は、3000万円+(600万円×3人) = 4800万円

と、従前の6割まで引き下げられています。預貯金、土地建物、金融商品等、お亡くなりになる方がもっていた財産。8000万円というと、ハードルが高いように感じるかもしれませんが、4800万円となるとどうでしょう。相続税が出る出ないだけでなく、控除するものが減ったという事は、税額が生じる場合も従来よりも高額になります。

■ 課税割合の推移(国税庁資料H29版より)

国税庁では、毎年、申告状況の発表をしています。現時点で公表されているH29版を引用すると・・

(付表1)のブルーの被相続人は、年々微増しているのに対し、相続税の課税対象となる被相続人はH27から急増しています。(付表2)を見ても課税割合が倍になっています。

今までは、お亡くなりになる方の4%(の遺族)が、相続税の対象でしたが、現在は8%相当ということです。

※ 詳細な用語の意義は国税庁HPをご参照ください。

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♦ 実務で感じること

国税庁の報道発表や日経新聞の記事でも明らかですが、実際に相続税の申告業務に携わっていても、H27年以降の相続税の申告件数は増加しています。

実際の申告以上に、生前の相談も非常に増えています。

特に土地を所有している方は、焦っています。土地の問題は、少しでも「得」をしたいとか「損」したくない、という相談ではなく、「子供や孫に迷惑をかけたくない」という声です。

核家族化が進み、今は、子供たちだけでなく、その先の孫世代も核家族。それぞれが家を持っている。それぞれが、地元でない都心等で働いている。過疎化が進んだ地方では、空き地の再活用もなかなか進まない。

「持っていても誰も喜ばない。税金だけかかる。どうしたらいいかね~。」

そういった相談者も、相続税額の試算をしたり、今後検討すべきことや、売買や登記する場合の手続きの説明等をすると、少し気持ちに余裕が生まれるケースが多いです。

私が「お子さんと相談はされましたか?」と聞くと、大半が「いや、亡くなる前にそういう話はいい、と言われた」とか「子供たちは忙しいから、とりあえず私がいろいろ考えようかと」という回答が多いので、1人で日々悩み、抱え込んでしまっているのでしょう。

・・私も人のことは言えません💦。

政府は所有者不明の土地が増える問題の対策の1つとして、一定の条件で地主が土地の所有権を放棄できる法整備を検討中だ。地主が手放した土地の受け皿となる機関の設立も議論している。(記事より)

本来は、家族で相談したり、税理士や司法書士など専門家に悩みを相談したり、または不動産屋さんに相談したり。1人で抱え込まないことが一番大切だと思います。各種専門家も、無料相談会のようなイベントが至る所で実施しています。私も以前、市役所で無料相談会の相談員として参加した際には、相談の8割くらいが相続の話でした。

ただ、なかなかこういった催しだけでは、現状把握ができても、実際の問題解決に繋がらない可能性も高いです。特に、なかなか売れない土地の問題は、今後も増加するでしょうから、個々の所有者の問題の枠を超えて、議論が必要だろうと思います。

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