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社会構造にあった税制へ -デジタル法人課税【 NIKKEI 】

デジタル法人課税、IT利用者多い国に税収配分(日本経済新聞記事より)

税の話題だったので、一言note。

グローバル企業による大規模な租税回避への対抗策。近年では、OECDによるBEPSプロジェクト等、国際的に協力して防止する議論が行われています。

グローバルな問題には、自国解決はほぼ不可能。世界の産業や社会の構造がボーダーレスですので、税制も今回の新方針のように「よりボーダーレス」に代わるときなのだと思います。

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10月に迫った消費税の増税(まだ予定ですが)。

租税教室等で中学生や高校生に、こんな話をします。

消費税は3%、5%、8%、そして今度は10%。増税の傾向ですが、年々税率が下がっている税金があります。何でしょう?

学生は見当もつかない様子。

答えは法人税です。法人税とは、会社が儲かった時に納める税金です。10年前は30%でしたが、約25%になり、今は23.9、23.4、23.2%とじわじわ下がっています。

下がっている理由は、景気調整、経済政策が表向きです。しかし、じわじわ下がっている理由の1つに、グローバル企業の存在があります。日本だけでなく、アメリカもヨーロッパの国々も、各国が法人税減税や優遇措置で多国籍企業の誘致を競い合う状態となっています。

学生には、時間の関係もあり、そこまで深く伝えませんが、租税教室後のアンケートでは

「税収が無いから消費税が上がるのはしょうがないと思っていたけれど、法人税が10年前より7%も減税しているのは納得できなかった」
「財政危機、財政危機と言っているのに、税率が下がっている税金があってびっくりした。」

と言った回答がよく出ます。

税理士として、中小企業の税務に携わっている身としては、法人税減税のおかげで、お客様の負担は減少しており、社員への還元や設備投資ができる状態にあります。ただ、世界的な減税傾向が続き、各国も競争のために下げざるを得ない状況が続くことは健全ではありません。

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記事の最後に

国際的な課税ルールに実効性を持たせるには、各国がそれぞれ税法や租税条約を見直す必要がある。このため新ルールが実際に導入されるまでには時間がかかりそうだ。

とあります。その通り、一筋縄にはいかないでしょう。各国の税制も異なりますし、租税条約も現在、諸問題に都度、対応するため大変複雑な継ぎ接ぎ状態だと思います(例えば、身近な話、お客様が外国の留学生を雇用するとき等には、それぞれの国との租税条約で取り扱いが異なるため、課税関係等を必ず確認します)。

利益率が高い企業に適用対象を絞る案も出ている。

ここも線引きをどうするか、重要な点ですね。

今後の展開を注視していきたい記事でした。

※ 租税回避について、以前書いたnoteもありますので、もしよろしければご参考になさってください。 ↓

#COMEMO #NIKKEI

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