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「家族」だからこそ、線を引く勇気を持とう。


実家のリフォームが進まない話

こんにちは、岩沢兄弟の兄嫁・えりです。

今日は久しぶりに、岩沢兄弟にまつわる近況を紹介しようと思います。

千葉暮らしを始めて、もうすぐ丸4年。4年の間に、岩沢兄弟は千葉市美術館での展示に始まり、その後も千葉県市原市の芸術祭「いちはらアート×ミックス」、千葉県誕生150周年記念事業の一環として開催されている百年後芸術祭への参加など、「千葉」ゆかりのクリエイターとして、縁をいただく機会も増えてきました。

東京から千葉へ引越してくるときに、そうなったらいいね。なんて話していたことが、少しずつ実現しています。嬉しい。

さて、そんな私たちですが、なかなか進まないのが「プライベートプロジェクト」。端的にいうと、実家のリフォームです。

1年以上かかった2世帯住居計画

岩沢兄弟の祖母が暮らしていた2階建の戸建。現在は岩沢兄弟の実両親が2人で住んでいるのですが、そこをリフォームして、1階を両親、2階を岩沢兄・ひとしと私、息子の3人で暮らせるよう2世帯住宅にしようと計画しています。

2022年11月に公開した記事では、「2023年春にリフォーム完了・引越し」を目指していると書いていました。そして、当初は記事でも紹介していたように、外からゆるやかな介入が生まれるように、「家を半開き」 にしていきたい。と話していました。(詳しくは前回記事を見てね)

その後、現在はどうなっているかというと、ようやく図面ができあがりました!という段階(遅い)。どんなお家にしようとしているかというと、こんな感じ。

それにしても、時間かかりました。構想から図面化まで、一年以上かかってしまった。その間に、大きく変わったのは、リフォーム予定の家から徒歩3分のところに、岩沢兄弟の制作スタジオを構えたこと。

そのため、当初の「家を半開き」計画は、「近くに(制作スタジオという)逃げ場所もできたから、なしでいいか」となり、最終図面では通常の2世帯住宅計画に落ち着きました。

一番もめたのは玄関の数

図面の落とし込みで一番「もめた」のは、玄関。当初、ひとしが設計したときは、「玄関はひとつ」でした。つまり、2世帯共用ですね。これに私は大反対。

ひとしの言い分としては「玄関ひとつであれば、家の構造をあまり変えなくて良いのでお金がかからない」という話でした。でも、2世帯住宅では、「どこにお金をかけるべきか」というと、「お互いの世帯がストレスのかからない距離感」をデザインする点にある。というのが私の持論です。

すなわち、共有部と占有部の線の引き方が、最重要項目となるわけです。ただ2世帯住宅の設計の難しさは、一方は「ずっと一緒に暮らしていた家族」であり、一方は「元他人」であるという、距離感のずれにあります。

違う家庭で生まれ育った他人が同居するにあたって、何にストレスがかかるかというと、ほとんどの場合は「生活習慣(=日々の暮らしに潜んでいる、あらゆる価値基準)」の衝突です。夫婦でもめるのも、「靴を揃えるか」とか「食器の洗い方や戻し方」とか、「食べたあとの片付けるタイミング」とか、ほんとささやかなものじゃないですか。

好意的でいるための平和的解決策

そして、家の中には、生活習慣の差がでやすい場所と、そうでない場所があります。たとえば廊下や階段なんかは、そもそも世帯ごとに大きな違いがでづらい場所ですよね。せいぜい「ものを置かないようにするかどうか」とか「常に掃除が行き渡っているようにしたいかどうか」くらいのもので、数える程度です。

でも、玄関やキッチンなどは、それぞれの暮らしの価値基準によって生まれる、行動習慣がたくさん生まれやすい。玄関であれば、雨具をどこに保管したいかとか、靴の揃え方や泥の払い方とか、郵便関係の荷物の一時保管の仕方や、玄関の理想の状態をどれくらいキープしたいかとか。家族間で「明確にきめてないけど、実は日々の生活の積み重ねでなんとなくルーチン化していること」がいっぱいあるんです。明確化されてないから、やってる当人も無意識。なので、他人が入ってきて、いつもと違う行動をされてはじめて「ストレス」という形で顕在化するんです。

ぶっちゃけ、岩沢兄・ひとしと私の間でも、いまだにたくさんの行動習慣の差があるわけで、その溝は埋まっていません(笑)。今回の引っ越しを機に、それぞれ平行線のままだったあらゆる行動習慣を、どう寄せ合っていけるか。ということを考えながら、図面に線を足したり引いたりしています。

そこに、義理両親のことまで入ると、さらに複雑さが増してしまいます。なので私としては、それぞれの2世帯の行動習慣の差がでやすい箇所は、基本的に「別々にする」だけで済ませたい。これは、お互いがお互いに好意的でありつづけられる、平和的解決策なのです。

最終的には私の主張が兄・ひとしにも届き、図面にある通り、私たちは玄関を二つ設けることで落ち着きました。

家族だからこそあえて線を引く

それにしても、家の設計とオフィスの設計の大きな違いにも改めて気づきました。

オフィスは「不特定多数との共用」が前提なので、オフィスの使い方はわりと明文化されやすい。一方家は「家族との共用」というのがミソで、「家族」というくくりを通じて「夫婦は元他人(違う価値観を育んできた存在)だった」ということが忘れられやすい。さらに、「親世代と子世代の価値観も、実は違う」ことも、意識から抜けがちだ。

「家族」だから、わかったつもりにならないこと。「家族」が楽しく暮らせるようにするには、全てをうやむやに一緒にするのではなく、「家族」だからこそ、あえて線を引く勇気をもつことかもしれません。

さて、来週からはようやく内装会社さんが現地に来て、見積もりです。次回はお金の話でもしようかな笑


text:岩沢エリ


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