ヒトと戦争

今となっては皮肉としか言いようが無いが、人間、とりわけ我々クロマニヨン人は、戦争する能力を身につけたことで地球の覇者になった。



ヒト以外の哺乳類は戦争しない。戦いや争いはあるが、同種同士大量に殺し合うという事は無い。そしてこれはヒトにおいても、ネアンデルタール人までそうであった。必要以上に同種が殺し合うのは、明らかに種の保存に矛盾するから、そう言う形質は存続し得なかった。



ところがクロマニヨン人は突然変異で、同種同士大量に殺し合う、「戦争」という形質を獲得した。クロマニヨン人はネアンデルタール人より後発の人類であり、ネアンデルタール人はかなり高い文化を持っていたが、戦争出来るクロマニヨン人の前に、戦争出来ないネアンデルタール人は滅びるしかなかった。かくてクロマニヨン人は地球を制覇し、今に到るまで同種同士で戦争をするのである。



残念だが今後数百万年の時を経て、再び「戦争をしないヒト」が突然変異で現れない限り、戦争は無くならない。いやもしかすると、そう言う「ヒト」は現れていたのかもしれないが、戦争出来る我々クロマニヨン人によって滅ぼされていたのかもしれない。そうだとすれば、戦争は我々クロマニヨン人が何らかの理由で地上から消え去らない限り、無くならない。



戦争は、かくも根が深いのだ。

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