経営が苦しいからこそ従業員を大事にする

あゆみ野クリニックは従業員4名だ。医療事務2名、看護師2名。全員正規職員で、協会けんぽに入れている。社労士から「先生、従業員4名以下は国保でいいんですよ、社保にしている所なんて無いですよ」と言われた。銀行の融資の時も、ここを叩かれた。人件費が高すぎる、何故国保にしないのかと問い詰められた。その意味は今身に染みて分かっている。だって毎月4人分の社会保障費が合計31万円クリニックから出ていくんだから。


3月から独立したあゆみ野クリニックの売り上げは3月、4月は100万がやっと、5月にやっと250万、この6月もどうにか頑張ればそのぐらいは行きそうだ。ここから給料の他に社会保障費が月々31万円出ていくのだから、これは大変と言うより、経営としては無茶苦茶だ。



私はこう説明した。今このクリニックは創業したてで非常に苦しい。集客も色々模索をしている。例えば3月は雇われ院長時代通り木曜日は休みだったが、4月から木曜も午前中やることにした。しかしなかなか患者さんが定着しない。そこで5月は早番、遅番制にして朝8時半から夕方6時半までやってみた。しかし一ヶ月やっても結局5時半過ぎると誰も患者が来ないので、6月からはそれは止め、毎日朝8時半受付、5時締め切りの診療終了5時半に戻した。5時受け付け終了と言ってもクリニックは5時半まで開けているので、その間に来た患者は断らない。



当院は開業したばかりで経営が苦しいからこそ、こういう試行錯誤をしなければならない。それには従業員の気持ちが一つになって、仲間として一緒にクリニックをもり立ててくれなければ出来ない。それには、きちんとした待遇をしなければダメなんだと。



社労士は半ばあきれ顔でそうですかと言い、銀行は何か思うところがあったのか二千万頼んだところを千数百万だけ融資してくれた(二箇所合わせてだけど)。



経営のプロからしたら、私のやり方はどうしようもなく甘いのだろう。しかし私はクリニックの標語に、「あゆみ野クリニックは患者も従業員も健康で文化的な最低限の生活が営めるよう努力する」と掲げたのだ。患者は大事にするが従業員はこき使うという医療機関はいくらでもある。あゆみ野クリニックはそうではないのだ。全ての従業員に経営が許せる限り正当な扱いをし、その代わり4人全員に「私たちはこのクリニックをもり立てていく仲間だ」という意識を持ってほしい。逆にそうでなければ、今のこの苦境を乗り越えることは出来ないと思う。甘いと言われればその通りだが、これが私のやり方なのだ。

https://www.ayumino-clinic.com



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