見出し画像

アクアトト岐阜(2022/1/3・2023/2/25)   前半

1.初めに

 おはようございます。こんにちは。こんばんは。IWAOです。
 アクアトト岐阜へ行き、面白かった点や行った時に見てほしい点についてまとめてきました。よろしくお願いいたします。
 今回は前半と後半に分け、前半では、長良川系統の生物の展示について解説します。日本の淡水魚の面白さがこれで分かると思います。

2.水族館の構成

 水族館は、4階で構成されており、4階から始まります。4階~3階が、長良川の生物の展示となっており、上流から下流への流れとなっています。また、2階~1階が世界の淡水魚の展示となっており、2階が、アジアとアフリカの川で、メコン川、コンゴ川、タンガニーカ湖の生物の展示がメインとなり、1階で、アマゾン川の生物の展示がされています。野外展示もあり、ここでは、アブラルダゾウガメとカピバラが展示されています。
 また、私が来館した時は、特別展である「新ヒキガエルのすすめ」がやっていました。こちらもご紹介します。

ゾウガメは、寒かったため、暖房のきいた小屋で温まっていました。
写真では写ってませんが、お湯が張ってあり、カピバラも寒さゆえに動きたくないようです。
これだとケツのでかさが目立ちます。

3.長良川(上流編)/4階展示

 4階に上がり、長良川の生物の展示から、アクアトト岐阜の展示は始まります。長良川とは、木曽三川(木曽川、揖斐川を含む)の一つで、岐阜県で大きい3つの川の一つであり、日本三大清流(柿田川、四万十川)の一つとなります。

長良川の流れ(赤線図参照)

 まず、水族館の最初の展示に入った時、山の中とその中にある滝が展示されています。その中で、最初に私達を迎えてくれた生き物は、ヤマトイワナになります。

滝の音が気持ちよく、上を向くと、日光が指し、とても気持ちが良かったです。
川ではなく、水槽で飼育されていたようで、大きいものが多かったです。

 この4階での展示で私が最も面白かったのは、小型サンショウウオです。全て岐阜県にいるサンショウウオですが、ここに展示されているサンショウウオは、4種類で、そのすべてが岐阜県に生息しています。つまり、非常に多様なサンショウウオが生息していることになります。ここのサンショウウオに限らず、その多様さは、遺伝子での違いもあり、地理的な変化によって各生息地が分断され、サンショウウオ同士が分化され、今のような多様なサンショウウオが生まれたと言えます。サンショウウオは、山の中に生息しており、普段は、落ち葉の中で生息しています。しかし、春が近くなる時期に池などの水場に集まり、そこで産卵します。幼生は、水の中で過ごし、成長すると、陸に上がります。つまり、池だけ、あるいは、山だけあればいいのではなく、山と水場の両方がなければサンショウウオは生息できません。さらに、サンショウウオを守ることが、川や池、そして、山を守ることにつながるため「環境指標生物」として扱われることが多いです。その上、環境の少しの変化に非常に弱いため、生息地の開発、外来種の問題により、サンショウウオの多くは、絶滅危惧種となっています。
 サンショウウオの多様性から、進化と生き物の多様性だけでなく、生き物の保全のあり方も考えられるため、生き物の保全の教科書みたいな存在だと思います。

ここにはいませんがヒダサンショウウオもいます。

 また、4階から、3階へ移動する時の階段にも生物が展示されており、そこで面白いと思ったのは、「タニガワナマズ」です。近年、新種として登録されたものになります。タニガワナマズが新種として登録されたことにより、日本には4種のナマズがいることとなります。イワトコナマズと近縁のナマズになり、中部地方の河川中流から上流辺りに生息しています。また、イワトコナマズが、琵琶湖を中心とする湖沼に生息するのに対し、タニガワナマズは、河川に生息することから、「タニガワ」がつけられました。
(*日本のナマズだけでも扱えることがたくさんあります。その詳細は、別の記事でまとめます。)

タニガワナマズです。
イワトコナマズです。
この黄色の個体がそうですが、黄色い個体の出現率の高さから、「弁天ナマズ」とも言われます。
(*琵琶湖博物館にて撮影)

4.長良川(中流編)/3階展示

 ここの見所展示の一つは、サツキマス・アマゴ水槽になります。サツキマスは、アクアトト岐阜の見物展示となります。そもそも、アマゴとサツキマスは、同じ種ですが、片方が陸にとどまり、もう一方が海へと降り、大きくなって川に戻ってきたのが、サツキマスです。同じ種であるが故、「アマゴ×サツキマス」での産卵も可能ですが、彼らが出会うことは、産卵の時期以外、まずありません。そのため、水族館の展示という形で、両者に同時に出会えるのは、贅沢であり、不思議な感じがしてたまりません。

左がアマゴで、右がサツキマスになります。
サツキマスのサケ特有の顎がカッコいいですね。

 特に、サツキマスに関しては、産卵するということがないためか、非常にゆったりと泳いでいました。自然界では、産卵をする時に必ず発生する産卵相手や場所を巡った争いがあるにも関わらず、ここでは、そのような緊張感は全く感じられませんでした。そこが、自然生きる姿とのイメージとの大きな違いでしたが、同時にサツキマスが悠々と泳ぐ姿に見とれました。水槽の水深が非常に深いため、川の中に直接潜っている雰囲気も味わえました。
 また、サツキマスは、海と川が繋がっていないと見ることができません。よって、海と川が直接繋がっていることの証明となります。サツキマスそのものも数が少なくなっているため、サツキマスが普通に見られる環境へと戻していきたいと思います。

 サツキマス・アマゴ以外での見どころは、「アユ」になります。アユは、私たちが食用として利用することのある魚であり、養殖もおこなわれています。特に、長良川ならではの鵜飼という文化があり、鵜がとってくる魚は、このアユになります。つまり、鵜飼は、岐阜の伝統、文化であるということになります。その上で、このアユで注目すべきは、「世界農業遺産」に認定されているということになります。

非常に多くのアユが泳いでいました。
一部、婚姻色なのか、鮮やかなアユもいました。

 世界農業遺産とは、農林水産省で以下のように説明されています。

 世界農業遺産(GIAHS)とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)であり、国際連合食糧農業機関(FAO)により認定されます。

https://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_1_1.htmlより引用

 長良川では、代々アユを利用してきました。そのアユを利用するには、アユが生息できる環境が必要になります。つまり、アユを利用するには、自然の豊さが土台にあり、今現在だけでなく、歴史として繋がっているということになります。「自然」「歴史」「文化」これらが複合的に結びついていることにこの世界農業遺産の指定に意味があります。
 アユって食べると「美味しいんだ」、つまり、食用としての魚ではありますが、同時に、食べることに様々な背景が折り重なって食用として利用されるということが分かります。
 
アユではありませんが、長良川の清流によってできるものが別であります。それは、和紙です。紙を何回も水ですすることで和紙はできます。その時、水に変な不純物があった場合、紙は傷ついてしまうでしょう。つまり、きれいなで不純物のない水が、和紙を作るのにいい水であると言えます。文化は、自然の豊かさによって支えられていることをここで教えてくれます。

引き出しに色んな和紙があります。
*アユの展示にはないので注意を。

 ここでは、河川の環境に住む哺乳類が展示されています。まずは、コツメカワウソになります。アクアトト岐阜では、4匹のカワウソが展示されています。ただし、何故、東南アジアに生息するコツメカワウソが、日本の河川のフロアに展示されているのでしょうか?本来は、カワウソは、河川の環境においては、トッププレデターにあたる存在で、日本の河川には、「二ホンカワウソがいるべき」です。つまり、本来の長良川にあるべき環境をコツメカワウソで代用することで再現展示しているということです。しかし、二ホンカワウソは環境省レッドリストでは、絶滅となっています。本来の川の姿を取り戻すことはできませんが、コツメカワウソがいることで、本来の日本の自然環境というのが、どういうものかというのが、イメージできるようになっています。

こうやって人懐っこくくるとたまらなく可愛いですね。
結構、いたずらっ子なのでしょうか。色んな所で遊びまわっています。
ドアノブが開けられなく、こちらを見つめてきた時の瞳です。

 カワウソ以外に注目すべき動物がおり、それは、「カヤネズミ」になります。非常に小さいネズミで、頭からしっぽまでの大きさが手の平もあるのかというくらいの大きさです。「カヤ」と名前がついているように河川の草むらだけでなく、休耕田などの草むらとなるような場所に生息地にし、ススキなどの草の茎に巣を作り、木の実やバッタなどを食べています。
 本来の日本の地理や気候の特徴は、ジクザクした土地が多く、山ばかりで雨が多く降るということが挙げられます。このことからも分かるように日本では、自然に草むらができにくい環境であるということが分かります。つまり、河川敷や休耕田、草むらのようなカヤネズミの好む環境は、人間が自然を利用することで生み出され、人間の作り出してきた2次的な環境に生息する生物であるということが分かります。

大きくても7㎝くらいしかならない非常に小さなネズミです。
5.複数個体いました。家族でしょうか。

 しかし、現在、里山しかり、水田など、身近で人の手入れがされていた自然というものが少なくなっています。カヤネズミもその影響を受け、数を減らしています。自然を守る、生き物を守るとはどういうことかというと、「人間が手を入れない」、つまり、人間の手が一切ついていない自然がいい自然だとイメージする人がまだまだ多いと思います。しかし、生き物によっては、人によって少しでも手が入った場合がいいことがあります。カヤネズミは、その一例なのではないのでしょうか。また、カヤネズミの場合、今こそ、人間と生き物の共生が試されているのではないのでしょうか。

5.長良川(中流・下流部)

 ここでは、水田環境から海に近い河口部分まで見ることのできる生き物が展示されています。ここでは、見るべき生き物について4種類を説明します。
 絶対に見るべきは、「イタセンパラ」というタナゴになります。日本国内でも生息地が極一部に限られている、非常に希少なタナゴで、天然記念物に指定されています。つまり、一般人が飼える魚ではありません。
 特徴は、婚姻色を出すオスは、紫と黒になります。日本では、濃尾平野、淀川水系、富山平野にしか生息していません。また、生息地が、ワンドなどの湿地帯になり、人の住む所と重なる所が多いです。よって、生息地が破壊されることが原因で数を大きく減らしています。その上、外来魚の侵入も影響しています。
 濃尾平野では、一度絶滅したと考えられていました。しかし、木曽川のワンドに僅かながら生息しているのが確認され、アクアトト岐阜を中心に保護活動が積極的に行われています。ここでは、保護活動の一環として、繁殖されたものが展示されています。婚姻色を出したオスは、非常にきれいなので、絶対に見るべきです。

かなり遠くにいたため、きれいな写真がなかなか撮れませんでした。
これが限界です。

*うぱさんの動画もおすすめです。こちらも参考にさせていただき、書かせてもらいました。

 次は、「ウシモツゴ」になります。こちらは、東海地方にしか生息しない希少なモツゴです。最大の特徴は、繁殖期のオスは、「黒い婚姻色を出す」ということにあります。繁殖期を迎える魚は、総じて気が荒くなります。しかし、このウシモツゴは、より攻撃的になります。非常に気の荒い所から、闘牛のようなイメージがつけられ、「ウシ」と付けられたそうです。
 しかし、このウシモツゴも絶滅の危機にあり、開発の影響は大きいのですが、同時に外来魚による影響も大きいです。ビオトープを作り、そこでウシモツゴを保護する活動が、行われていますが、そこに特定外来生物であるブラックバスを密放流するというあまりにも酷いことが行われていました。かつて当たり前に見られた生き物が数を減らし、絶滅の危機にあるというのに、このような暴挙は絶対に許されません。日本の環境保全には、このような酷いことが行われていることが、ウシモツゴから理解してほしいと思います。
(*詳細は、小坪遊さんの『「池の水」抜くのは誰のため?~暴走する生き物愛』 にて書かれています。)

こちらが、ウシモツゴのオスです。
ここまで真っ黒になる魚もなかなかいないと思います。

「池の水」抜くのは誰のため?~暴走する生き物愛 (新潮新書) | 小坪 遊 |本 | 通販 | Amazon

 3つ目は、「ハリヨ」になります。このハリヨの最大の特徴は、湧水を源流とする涼しい細流や池に生息するという点になります。日本の風土は、1年を通して、寒暖差が非常に激しく、多くの淡水魚は、高温、低温に強いものが多く、特に、川と池、田んぼを行き来する生態をもつ魚は、その傾向強いと思います。このハリヨは、そうではなく、冷水の環境を好みます。その上、湧水は地下水から湧き上がっているため、例年を通して水温などの環境も安定していると言えます。

真ん中の口辺りが赤いのがオスです。
もっと真っ赤なものもおり、非常にキレイです。
琵琶湖博物館にて撮影したハリヨです。
婚姻色がはっきり出たものは、このような色になります。

 繁殖法もユニークで、繁殖期を迎えたオスは、婚姻色を出し、口の辺りが赤くなります。オスは、巣を作り、メスを誘って産卵を促し、生まれた卵の保護をオスが行います。その際、オスは、巣の材料やメスをめぐって激しい闘争を繰り広げます。
(*ハリヨとは対照的に、巣を作り、メスを誘うも乗っ取られるという残念な魚もいます。こちらのブログを参照ください。)

 また、このハリヨは、前述したイタセンパラやウシモツゴと同じく、この東海地方、特に、岐阜県と滋賀県のみ(*昔は、三重県にも生息していたが絶滅)にしか生息していない非常に希少な魚です。そして、岐阜県のものと滋賀県のものとで大きく違いがあることもわかってきました。鱗板の数が違う、体の大きさが違う、行動の仕方が違う、そして、両者の間では、遺伝的分化が進んでいるということです。私は、ここまでくると、別物として扱うべきのなのではないかと思います。日本の淡水魚では、かつて同じだと思っていたが、研究が進むにつれて、別種であることがわかるということが良くあります。メダカ然り、シマドジョウ、カワムツとヌマムツ、オイカワの3タイプ…等々例を挙げたらキリはありません。日本という小さな国の中で、姿・形は似ているが、実は別物というということをこのハリヨが教えてくれています。つまり、日本は、多くの生物が住み、その多様さの深さが、淡水魚から分かります。
(*過去に、内容的に、在来のコイについてブログで書きました。そちらもハリヨと内容的に共通する所があると思います。)

 ただ、このハリヨは、絶滅の危機に瀕しており、「遺伝子汚染」が深刻で、特に、滋賀県が酷いです。滋賀県では、ハリヨと同じトゲウオ目トゲウオ科の「イトヨ」という別の魚が放流され、交雑が起こり、一部地域では、純系が絶滅してしまったと言われています。また、イトヨも地域や種類によっては、絶滅の恐れがあります。外来種というと、日本以外の生き物と思う方も多いと思うかもしれません。しかし、本来その場にいなかった生き物を外来種というわけであり、日本国内でも本来の生息地ではない所に「人間が持ち込んだ」ら、外来種となり、この場合は、「国内外来種」となります。ハリヨが、その地域の環境に適応した結果、持った形質が今の各地のハリヨになり、遺伝子レベルで組み込まれていると言えます。人間が勝手に生き物を移動させることで、進化の過程で得られた形質などを失わせてしまったら、ハリヨを体の内部から絶滅させたと同じです。何故、イトヨが放流されたのかは分かりませんが、特に、ペットの飼育がきっかけならば、「日本国内のものなら、在来種になるから大丈夫だ」などと安易な考えで、どこで生まれ、育ち、取られたのか分からない生き物を絶対に野外に離さないようにしなければなりません。
(*京都水族館とクワガタの外来種の記事で遺伝子汚染について記述され値ます。詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。)

 ハリヨは、アクアトト岐阜では、150㎝近くある大型水槽で飼育されており、その水槽で、湧水や豊富な水草で実際に住んでいる環境が再現されています。その上、この大型水槽だけでなく、アクアトト岐阜の施設外にある河川環境楽園では、ハリヨが、野外の池の中で飼育されており、湧水の浮き出る環境で実際に生息しています。その野外の池は、誰でも見ることができ、実際にハリヨが住んでいる環境は、どのようなものかも肌で感じることができます。この野外のハリヨの池も見てほしいです。

この大きな水槽で飼育されています。
野外の池になります。
よく目を凝らしてみると、ハリヨがいます。
写真が悪かったのですが、私は、巣を作るハリヨを見ました。

 最後は、「スナヤツメ」になります。スナヤツメの最大の見どころは、「顎がない」という点になります。この顎のない所が、原始的な魚の特徴になります。
 ここからは、分類の話になりますが、まず、魚というのは、一括りの分類にできないです。まず、私たちが、イメージする魚というのは、水の中にいて、3次元で体をくねくねして泳ぎ回るものとイメージしていると思います。例として、ミヤコタナゴのような姿です。このような姿をしている魚というと、コイやスズキ、サバなどのようなものが当てはまります。他にも、分類が違いますが、サメやエイのような軟骨魚類もミヤコタナゴのような姿に近いといえるでしょう。また、スナヤツメ、ヤツメウナギも水の中に生息し、移動する時は、体をくねらせます。

ミヤコタナゴです。
(*金沢動物園にて撮影)
魚類の系統図
今村央『魚類分類学のすすめ―あなたも新種を見つけてみませんか?』を基に作成

 上記の図で、魚の系統をまとめました。まず、魚類の中でも顎のないもの(無顎類など)が最初に現れ、その次に顎を持つ、軟骨魚類と硬骨魚類が順に現れたのような感じでとらえてください。その顎を持たない魚というのが、ヤツメウナギやヌタウナギになります。
(*今回、撮影できなかったので残念ですが、口の辺りがどのようになっているのかは、自身で調べたら、とんでもない画像が出できます。怖いというのが第一印象になります。)
 また、シーラカンスやハイギョは、私たち四肢動物に分類が近いのであり、コイやサバのような真骨類に近いわけではありません。そして、ポリプテルス、チョウザメ、軟骨魚類(サメ、エイ類)、ヌタウナギ、ヤツメウナギをまとめて魚と呼んでいます。魚の分類というのは、かなりバラバラに派生しているものであることが、分かります。これらのことから、魚類というまとめ方は、「側系系統」であるともいえます。よって、分類的には、スナヤツメは、魚としては原始的なものであると言えます。

*単系系統と側系系統で比較すると分かりやすいです。
単系系統:共通の祖先から派生しているものを一つにまとめたもの
側系系統:共通の祖先から派生しているが、まとめているのは、その一部
→魚類は、有頭動物亜門という所からスタートしているが、四肢動物などを除いているため、側系系統と言える。
(*この分類の説明を作成するために2つの文献を参考にしました。こちらを確認してください。)

単系系統と側系系統の違いを図にするとこのようになります。

魚類分類学のすすめ―あなたも新種を見つけてみませんか? (北水ブックス) | 央, 今村 |本 | 通販 | Amazon

Amazon.co.jp: 琵琶湖の生物はいつ、どこからきたのか? : 西野 麻知子, 西野 麻知子: 本

 スナヤツメは、生涯を淡水で過ごします。一番驚いたのは、「成体になると一切食事をしない」ということです。3年間の幼生の時期は、泥の中の有機物を食べ、繁殖をすると生涯を終えます。
 このスナヤツメを含むヤツメウナギの仲間は、飼育が非常に難しいです。私は、生体は初めてみたかもしれません。その上、来館時は成体と幼生の2種類が展示されており、非常に運が良かったです。

こちらが、スナヤツメの成体です。
目の後ろにある鰓孔が7つあり、それが目に見えるようなため「ヤツメ」と言われてます。
奥に見えるのが、スナヤツメの幼体です。

6.まとめ

 ここまでが、アクアトト岐阜の長良川系統の展示に関する展示の解説になります。アユの農業遺産やカヤネズミから、人間と自然は、全く関係のない存在ではなく、互いに密接に関係しあっていることが分かります。外来種問題、開発、耕作放棄などの問題があり、特に、耕作放棄では、人と自然の関係を希薄にしてしまいます。ただ、自然には触れないのがいいのではなく、どのようにして、自然と関係性をもう一度作っていくのかというのが、日本の環境保全の課題の一つになると思います。
 特に、日本の淡水魚について書いている時が、一番楽しかったです。日本の淡水魚の面白い所とは、何かというと、「日本の淡水魚は、多様である」ということに尽きます。いままで同じと見られていた魚が、実は、別種であることが、ハリヨで分かります。それだけでなく、日本という土地が、山あり、谷あり、川ありでジクザクした土地柄で、それが、生息地を分断し、その地域にしか生息しない生きものを生んでいます。イタセンパラやウシモツゴなどはその典型的な例だと言えます。東海地方にしかいない淡水魚であるが故、その生き物に価値があると言えます。ただ、同時に特定の地域にのみ生息する生きものが、「日本の自然は、地域ごとに違うという多様性の象徴みたいなものである」と言えます。つまり、日本は地域での多様性がもととなり、日本全体の生物多様性を高めていると言えます。そのことが、東海地方にしか生息しない生きものから学べると思います。

 以上になります。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。後半で、2~1F部分、つまり、世界の淡水魚のについて説明します。後半でまた会いましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?