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憲法無効論とは何か?

護憲でもなく、改憲でもない「無効論」


毎年、4月末から5月はじめはゴールデンウィークとして多くの国民がレジャーを楽しむ時期となっています。そしてこのゴールデンウィークの中の1日に「憲法記念日」があるのは皆さんご存知でしょう。昭和22年の5月3日、日本国憲法が施行されたことに因む祝日です。
憲法については、現在でも「護憲」「改憲」を巡って論争が絶えず、一度ぐらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、ここに護憲でも改憲でもない、「憲法無効論」という立場があります。改正論を主張する人は少なくありませんが、「無効論」となると聞いたことのある人はあまりいないのではないでしょうか。今回は、憲法記念日(過ぎてしまいましたが)に関連して、ほんの少しだけですがその「無効論」にを紹介していきたいと思います。

※本記事は無効論を紹介するだけであり、それが正しいとか間違っているとか主張するつもりはありません。あくまで「紹介」です。

無効論者

無効論を紹介する前に、私の手元にある2冊の無効論者の著作について述べていきたいと思います。
まず一冊目は、菅原裕『日本国憲法失効論』(国書刊行会 初版昭和36年)です。菅原は明治27年生まれの弁護士で、東京裁判では元陸相荒木貞夫の弁護人をつとめた人物でもあります。遡ると、5・15事件や相沢事件(陸軍中佐相沢三郎が軍務局長の永田鉄山を殺害した事件)で相沢の弁護人をつとめたこともあり、いわゆる「皇道派」と呼ばれる人々に近い人物だったといえます。
もう一冊は、小山常実『日本国憲法無効論』(草思社 平成14年)です。小山氏は大月短期大学名誉教授で、憲法成立史や教育史などを研究されています。
「無効論」が一般的に知られていないとはいえ、関連する著作の数自体は少なくありません。そこで、ひとまず今回は菅原の著書から「憲法無効論」をご紹介したいと思います。

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