見出し画像

なぜ今のタイミングで文フリにデビューしたのか

 亡父の大病を機に家業を継承することになったが、編集の仕事も片手間に続けており、本業もデスクワークなので、目に悪いことしかしておらず、長年の無理が祟って、視力が急激に低下してしまった。いよいよ失明のリスクも現実味を帯びてきたわけだが、機会があるごとに雑文を発表してきたものの、今まで学んできたことの大半をまだ書き残していないことに強い危機感を覚えたのである。小田実の『何でも見てやろう』の精神で、気づけば何でも屋になっていたが、その過程で、各界の「生ける伝説」と呼ばれるような人達から貴重な証言を得ることができ、目が見えるうちにそれらを書き記して、後世に伝えなくてはいけないという使命感に駆られている。

 文学フリマの場合、多くの文芸同人誌が寄稿を募集しており、Twitterで検索したところ、つくばナード出版会のイール氏のツイートを発見し、すぐさまコンタクトを取って、拙稿「シェイクスピアは隠れカトリックだった?—ピーター・ミルワード先生の思い出」と「山田五郎氏の講演会「本だけではない神保町」が開催」の掲載が叶った次第である。締め切りを過ぎての提出にもかかわらず、受理してくださったイール氏に心から感謝を申し上げたい。

 他にも私が関わっている企画について簡単にご紹介させていただきたい。私が校正にご協力した西川秀和先生が翻訳されたエマニュエル・エジェルテ作『サン-ジュスト伝』は文フリでは今回初売りで、近日出版予定の『ベディヴィエール原典集成』のチラシも「翻訳工房DOCTEUR」のブースで200部配布予定である。

 そして、キカン誌『霞と息』(清香舎)の創刊号には「二宮尊徳と久保田譲之助ー栃木県における報徳仕法と七博士建白事件」と「余は如何にして南蛮趣味者となりし乎」を寄稿しており、『月曜夜の煙者たち 第3号』には、野沢文哉名義で、「「銭湯画廊:水と風呂の展覧会」が開催」や「船村徹とビートルズの邂逅」、「ルイ・アームストロングはイディッシュ語を話したのか?」、「『現代詩手帖 2024年5月号 特集:パレスチナ詩アンソロジー 抵抗の声を聴く』について」の他、千坂恭二翁を崇敬するロシアの謎のアナキスト詩人アンドレイ・アズサクラ・ザラスストラへのインタビュー記事「ニヒリヒン(NihillihiN):客体と主体を越えた革命—アフター・ニヒリズム」(拙訳)が掲載される。

 『文芸エム 14号』には「ウクライナの詩人オスタップ・スリヴィンスキーの来日」を寄稿し、『パレスチナのことを話し続けるzine』には今年1月にザムザ阿佐ヶ谷で行われた大久保千代太夫生誕祭の観劇レポート「パレスチナとアングラ演劇—寺山修司朗読劇&千代フェス「共感は全世界の人を親族にする by シェイクスピア ここは静かな最前線」」が掲載予定である。

 某文芸同人誌に寄稿した「足立正生監督との出会い—「第2回テロ審議会」と映画『断食芸人』の思い出」は不採用になってしまったが、後日を期したい(先日イベントに行ったら足立監督が遅れて参加され、私の隣の席に座られたので超吃驚した)。

 明日は午前中の取材が終わり次第、会場に向かう予定なので、久しぶりに仲間達と会えるのが楽しみである。

この記事が参加している募集

文学フリマ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?