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悲しみの前の現実<2>

私たちは遠方で事業を営む父と
あまり会うことが無く
事業内容もほとんど・・いや
全く知らないままの10年ほどを過ごしていました

没後に何もしなければ
「単純承認」という
相続を自動的に受け入れることになります

しかし、私にはどこか不安な思いがあり
あえて、煩雑な「限定承認」を選ぶことにしたのです

相続の第一順位にいる母と
私たち姉妹の連名で行う作業
(100%私がやるんだけどね)

必要書類の入手に半月以上かかり
判明した金融機関との手続きなど含めると
一か月を要しました

そこから家庭裁判所に提出

その際に弁護士でなく
私が1人で来たことに
何やら不思議な顔をされていたのですが、当時
理由がわかりませんでした

後日、判明したのですが
弁護士さんは「放棄」へリードするらしい

何故なら、簡単な手続きで
高額な
報酬を手にできるから・・
ですって

限定承認は面倒な上に
完了まで数か月、時間を要することから
同じ料金でも
放棄の方が圧倒的に時短とのこと
(・_・D フムフム

あ、話がそれてすいません

簡単お話ししますと
限定承認とは
プラスの財産の範囲内で
マイナスの財産を
相続すること

軽い言い回しになりますが
資産が上回っていたら
ラッキー

負債が上回っていても
資産の分しか
払う義務はないので
「借金」を背負込むことは
ありません

父の場合
事業をしていた以上
何某かの貸借は
あるのではなかろうかと
懸念せずには
いられませんでした

また著書(欲望の純血種)にも
記していましたが
本人には請求せず

故意に

家族に返済を求めるケースがあるのです

それらの懸念から敢えて
取った手続きです

書類の提出後
家庭裁判所に承認されたら
「放棄」の場合はここで終わりですけれど
限定承認は
ここからもうひと仕事。

最寄りの官報販売所に連絡し

いついつ没した何某の
限定承認手続きをしたので
借入金権限を有する方は
いついつまでに
相続人代表のほにゃらら
住所・電話番号に
ご連絡ください


と、数万円の掲載費を支払い
数か月公示するのです

テンプレートが有るので
実際の文言は
もっと厳粛なのですが
あまりにも堅苦しいので
わかりやすく記しました

全ての手続きを
怠りなくこなし
掲載時日も経過し
没後半年以上経過した
ある日


相続者さま・・と書かれた
封書が舞い込みました


多少の予感はありましたが
開封すると
案の定
父名義の借金の督促状です


家庭裁判所にて相続をどうするかの期限は
「被相続人の死亡を知ったときから3か月」

この一行の文章、言葉の正確な意味が
私達にとって
運命の分かれ道を
もたらすのです

「死んだときから」ではなく
「死んだことを知った時から」
その違いに、逃れる道があります
(詳しくは著書をご覧ください)

書いてある電話番号に連絡すると
事務方と名乗る男性が
対応しました
カモがネギを背負ってきたと
おぼしき、たかをくくった
対応です。

下から下から礼儀正しく
名乗ると同時に
「時効援用」を口にした途端
相手の緊張が
伝わってきました

オウム返しに
「じ、時効援用きっ希望なんですね・・」
噛みまくりの問いに

私:「えぇ」

短く答えると
明らかに動揺したようで
次の言葉が出ません

しばらくの沈黙ののち

私:「限定承認しました」

重ねて言うと

「ごぉぉぉー」と
大きな鼻息?なのか
受話器越しにもわかる
息の音がしました

「そっ、それは・・・えと、あの
  弁護士と相談の上、改めて
  こちらからお電話させてください」

私:「はい」

いよいよクライマックスが
近づいて参りました
次回で完結です
(*⌒∇⌒*)


To  be  continusd








毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます