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「そうだ お茶屋さん、行こう。」 

イベント終了後、打ち上げをするとのことで言われるがままついて行った先は祇園だった。

三國さんが携わっていらっしゃるお店「祇園 三國」が、このイベント翌日にオープンされるとのことで店内をご案内いただいた。
スペインから輸入された大きなオリーブの樹を中庭へ搬入される際、行政との間で起こった手続き上のトラブルをあっさり片付けられたエピソードを聞かせていただいたけれど、また話が終わらなくなるのでここでは割愛する。

樹齢200年以上というオリーブの樹



その後、近くにある三國さんの行きつけというお茶屋さんへ連れて行っていただいた。

「行きつけのお茶屋さん」って、どうよ。

ぼくらが「お茶でもしよう」というとき、その行き先が喫茶店やカフェであるのは言わずもがなだけれど、ここで書くお茶屋さんはそういった類いのお店ではない。また間違いなく蛇足だと思うけれど、一保堂茶舗さんのようなお茶の専門店のことでもない。つまり、三國さんの行きつけというのはあの敷居高き、ぼくにはまったく無縁の「お茶屋さん」のことである。それも祇園の。
ぼくにとってはまさに「猫に小判」であり、おまけにお酒が飲めない者が訪れるのは「豚に真珠」も追加だ。

これを読んでくださっているのは、おそらくぼくよりも若い人だと思うけれど、「お茶屋さん」って行ったことあります?

ぼくがお茶屋さんという存在を認識したのは、齢19のとき。
働いていたお店の常連さまの中にお茶屋さんのご主人がおられた。それも創業された元号を聞いてもピンとこないような、歴史上の偉人たちも通ったという由緒ある祇園のお店の方だった(京都の人ならピンときた方もおられると思う)。

こちらのご主人から贔屓にしていただき、とてもかわいがられていたぼくのお師匠さんは、ある日「一度、うちの店に遊びにおいで」と声をかけられ、夜の営業を抜けて行かれたことがある。
翌日、お師匠さんは「最高やったぞ!西山」「すごい世界やった」「めっちゃ良かったー!」と、興奮気味に繰り返された。
正直まったく興味もなければ、何が最高で、何がすごくて、何が良かったのかがさっぱりわからないぼくは、ポカーンとしながら聞くほかなかった。
このときのお師匠さんの年齢が29歳。振り返ると、いまのぼくよりも遥かに若い年齢であれだけの反応をされたことに改めて驚くけれど、「ぼくも30歳になるころには、きっとそういった大人の嗜みや素養が身に付くんだろう」程度に思っていた。

つづく

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