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セルフ、自動化、無人化

人材不足の問題は、外食産業に限らず至るところで起きている。

食べもの屋さんの中には以前からスタッフ不足のため、お客さんの人数や営業時間の制限をしているお店もある。また特に地方では、求人を出しても応募がこないといったことも今では珍しくもない。
その窮状は予想以上だけれど、少子化に加えこれほどお店や職業の選択肢が増えた現在では、今や職人さん的なやりがいといったモチベーションやお給料などの待遇面では人材確保も多分困難になった。

そもそも論だけれど、労働人口の減少を考えれば迎えるべくして迎えた状況なのは明白で、また仮に少子化をどうにかできたとしても(それももはや手遅れだと思う)、この課題は数年で解決できるものでもないから今後もっと深刻になることは間違いない。

元々、チェーン店は待遇面などは意識していただろうけれど、個人店や小規模店のように職人さん的やりがいには重点を置いていなかった。
やりがいがない、という意味でなく、彼らにとってのそれは別のところにあった。
かくして、これら喫緊の課題を抱えた企業は膨大な投資を投下してでも手を打つ。それを如実に反映したのが、「最近、タブレットのお店、増えたなぁ〜」という状況なんだろう。

昔、米国Amazonの発送センター(物流倉庫)で働く人たちが、賃上げを求めてストライキをしたことが大きなニュースになっていた。それが12年前くらい。もうそんなに経つのか・・・
どうするんだろう、と成り行きを見ていると、あのルンバみたいな棚ごと運ぶ自走式ロボットの会社 Kiva Systems(現・アマゾン・ロボティクス)を買収した。
この効果は著しく、発送センターの経費は20%も削減される結果となったらしい。
その後、新設する発送センターの設備投資も大幅に削減できることを考えれば、AmazonにとってKiva買収に要した約650億円も高い買い物ではなかったのだと思う。

これによって賃上げのストライキをしていた人の多くは失業をすることになったと思われる。労働者側からすれば恐るべし大企業だろうけれど、企業側にすれば人件費が高騰し続け、それが設備投資を超えるようなら、そりゃあ代替えできるものに舵を切るのも当然といえば当然のこと。
そしてこれもまた、結果的には外発的な動機が技術革新をもたらすことになった、という事例だと思う。

今後、外食産業の在り方は、まだまだ変わると思っている。
この国では移民政策も進むとは思えず、観光としての魅力はあっても貧しい国となった今では労働力としての外国人は減少していくとも想像される。
タブレットメニューやセルフレジだけでなく、きっと外食チェーン店の自動化、無人化は進む一方だと推測する。

つづく

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