葉桜の季節に君を想うということ 後編
ちょうど20年前のいま頃、鷺沢萠さんの訃報をテレビのニュースで知った。
自分の耳を疑い、緊張で身体は強ばり、いたく狼狽えた。
当初の報道では心不全との発表だったけれど、ほどなくしてそれが自死だったとわかると、ぼくは脳が停止したような気がした。胸は詰まり、膝から崩れ落ちるとはこのことだった。
遺書はなかったらしい。
当時、本業である執筆業はもちろんのこと、舞台演出まで手がけられ仕事に精力的だった。亡くなる1ヶ月前には、ぼくの好きな1冊「ウェルカム・ホーム!」を、さらにその1