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「インビザライン」モニター詐欺? 報酬は支払われる?│教えて!たける先生 #実務02

歯列矯正のインビザラインのモニター契約のトラブルの相談が目立ちますので、noteにまとめておきます。

事案の概要

「インビザラインのモニターになりませんか?」と誘われました。
話を聞いてみると、歯科医院Xのインビザラインの治療は187万円ほどするのですが、モニター契約をすれば、なんと無料で受けられるとのことです。
歯並びが悪いことがコンプレックスでしたが、無料のチャンスを逃すわけにはいかないと思い、モニター契約をすることにしました。
モニター契約の内容は、信販会社との間で治療費187万円の分割払いの契約(月額約5万円・36回払い)をし、モニター会社Yがこの分割払い金を毎月モニター報酬として「pring」というアプリで支払う、というものでした。
私はこれらの契約をした上で、歯科医院Xでインビザラインの治療を受けました。
2022年2月まではモニター報酬約5万円が支払われていたのですが、3月になるとモニター報酬が支払われなくなりました。
おかしいと思って、Y社に連絡をしたら、「モニター契約の中に偽造されているものがある。Y社の印鑑ではない印鑑のものはお支払いできない」と言われてしまいました。
そのため、私は、毎月約5万円のモニター報酬を受け取ることができないのに、毎月信販会社から分割払い金約5万円が引き落とされています。
最初は「無料」と聞いていたのに、毎月約5万円も引き落とされては生活もできません。どうにかならないのでしょうか?

Q どんなスキームなのか?


モニター契約のスキームを法的に整理すると、次のようになります。

①患者Aと歯科医院Xとの間で187万円の矯正治療契約を締結する
②患者Aと信販会社との間で①の187万円を36回払いする旨のデンタルローン契約を締結する
③患者Aとモニター会社Yとの間で②の分割払い金と同額の報酬を「pring」で支払う旨のモニター契約を締結する

Q モニター契約が無効だった場合はどうなるのか?


何者かかがY社の印鑑を偽造して、③モニター契約を締結していたのであれば、患者AとY社との間で、③モニター契約が有効に成立したとはいえません。そのため、③モニター契約はY社との関係では「無効」となります。

他方、この契約は、①矯正治療契約と②デンタルローン契約とは別の契約ですから、モニター契約が無効であっても、治療は有効ですし、治療を継続するならば、ローンは支払わなければなりません

Q なぜモニター契約は無効になるの?

なぜモニター契約の印鑑が偽造だと、モニター契約が無効になるのでしょうか?

患者Aさんによれば、モニター会社Yから直接勧誘されたわけではなく、Y社から委託を受けたとされるP社を通じて勧誘されたといいます。

そのため、Y社の立場からすると、自分の知らないところで、P社が勝手にY社の印鑑を偽造して、Y社の名義でAとの間でモニター契約を締結されてしまった、という主張なのかもしれません。

もし、この主張が真実だとすれば、Y社は赤の他人に勝手にY社名義の契約をされてしまったわけですから、AとY社との間で契約が有効に成立したとは言えません。

Q モニター報酬は支払われないのか?


法的にはいくつか解決策があります。

まず、本当に印鑑が偽造されたものなのか、Y社が知らないところでP社が勝手にモニター契約をしたのかが事実であるとも限りません。
そのため、Y社の「偽造」という主張が本当なのかを追求することで、モニター契約は有効だと主張できる可能性があります。

また、本当に印鑑が偽造されていたとしても、契約書にはY社の名称が書かれていますから、表見代理などの民法の規定に基づき、契約が有効と扱われる場合もあります。

仮に、Y社に対する責任追及が難しくとも、権限がないにもかかわらず、モニター契約を募集したP社に責任追及をすることも考えられます。

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