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歯科矯正患者と歯科クリニックの間に、心地よいコミュニケーションをつくりたい。新規事業「linqüe」に込めた想い

はじめまして、loo studio 代表の伊藤です。歯科医院向けオリジナルマウスピースケースブランド「linqüe(リンクー)」の事業開始に当たり、私個人のnoteも立ち上げることにしました。

2024年3月12日現在、webサイトを目下制作中ですので、linqüeのサービス内容は組織のnoteで発信しています。

2024年4月14日、webサイトを公開しました。

linqüeは「矯正中も患者の方に楽しんで生活してもらいたい」という個人的な気持ちからスタートした事業で、今回の記事では、事業に込めた気持ち、ロゴやデザインの裏話など、普段の会話ではあまり伝えられないことを文章で伝えたいと思います。


(事業内容を、少しだけ。)

事業の詳細については冒頭のnoteを拝見いただきたいのですが、事業の概要を少しだけお伝えします。商品としては矯正患者向けのマウスピースケース、クリニック様ごとにオリジナルデザインを制作しています。

Proプラン事例抜粋:銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81様(上)、博多ステラ歯科・矯正歯科クリニック様(下)

単にマウスピースを入れるための道具ではなく、歯科医院と患者のコミュニケーションツールとして機能し、歯科医院の経営に貢献しています。

プランは3種類あり特にProプランでは「院長や経営者が患者さんとどんなコミュニケーションをしたいのか」「矯正治療を通して患者さんがどんな日々を送ってほしいのか」など、丁寧にヒアリングしてオリジナルデザインを制作しています。

制作の流れは一般的なクリエイティブ制作と同様に「面談にてヒアリング→デザインのご提案→デザインの修正案→デザイン決定後、製造/検品/消毒/発送」と進めていきます。

デザインに心から納得してもらうために、ケース表裏合わせて10案以上の提案をして決定までのプロセスを進めています。

自身の経験から、はじめました。

私が事業の開発に取り組み始めたのは、自分の矯正体験がきっかけです。2020年頃から歯科矯正をはじめましたが、想像した数倍の苦悩がありました。

  • 毎月1週間の歯が動く期間は、上下の歯が触れ合うだけ激痛が走る

  • 食事制限があり、栄養を十分に摂れない

  • 免疫力が下がり、口内炎が絶えない。

  • 一定期間、奥歯の被せが必要で発声が困難

ワイヤーを使った裏側矯正をしていたので、インビザラインなどのマウスピース矯正の方よりも生活の難易度が高くなっていたように感じます。

今振り返ると、毎月3日間くらいは歯痛が原因で寝込んでいたり、食事を上手く摂れなかったり、発音が不明瞭になり会話が嫌いになったり、本当によく耐えきったなと感じます。

これはあくまで僕の一例ですが、矯正中はどうしても気分が落ち込みがちになります。当初は「僕だけなのかな?」と疑問に思っていましたが、周りの矯正経験者の方にヒアリングをしてみると半数以上の方が私と同じような経験をしていることがわかりました。

「歯科矯正治療を受ける方にできるだけより良い時間を過ごしてもらいたい」と想いを抱くようになり、事業の立ち上げを決意しました。

その第一段として、歯科医院専用のマウスピースケース「linqüe」の開発に取り組みました。

(実は現在、linqüe以外の事業も準備しており、もう少し時間が経ったら発表できると思います。)

良いものをつくるには、時間が掛かります。

Product Design|心地よいケースを突き詰める

linqüeのマウスピースケースを開発するにあたって一番最初に考えたのが「どんな形のケースにするのか?」一般的なものは角丸の三角や四角のケースが多い中、linqüeでは丸型を採用しています。

この結論に至るまで、市場にあるほぼ全てのマウスピースケースを購入し、合計で30以上のケースを比較しました。

その結果、以下の要素を取り入れて、最終の型が決定しました。

  • 内部のラバーが取り外せる衛生性

  • 開け閉めが容易かつ、落とした衝撃では口が開きづらいマグネット構造

  • 化粧ポーチにもすんなり入るケースの厚みとその携帯性

ちなみに、気づかないくらいのディテールですが、開け口が”口の形”になっています。こういった細部までこだわるところは全て妥協せずに「良いものをつくる」ために時間を掛けてきました。

ケースの開口部が"口の形"

Logo Design|さまよい続けた先にあるもの

さて、型決めと並行して進めるのがロゴなどのビジュアル周辺のデザインです。特にこのロゴは、デザイナーさんと何度も何度も打ち合わせを繰り返し、時には意見を衝突させながら完成に到達しました。

ロゴの左側にある円を描くマークは、デザイナーさんからの提案で「デンタライト」と名付けました。人の永久歯の本数と同じ28本、いつまでも健康で美味しいものを楽しめる人生、そんな素敵な人生を歩む「矯正患者の日常が輝くように」というメッセージです。

最終調整前の資料:歯の本数を26本(歯科矯正治療中のデザイナーさんの歯の本数)で進めようと考えていましたが歯科衛生士さんとの相談し、現在のロゴでは28本にしています

このロゴの採用にたどり着くまでに半年以上の時間を掛けており、いくつか候補になっていたデザインを共有します。

ロゴ開発当初は「PREPARE.」という名前で検討を進めていました

どれも捨てがたいデザインでしたが、今のデザインが一番linqüeらしいデザインだと感じています。

冒頭で伝えられてませんでしたが、linqüeは”クリニック”のフランス語訳「clinique」から命名しました。歯科矯正患者の治療経験(PX:Patient Experience)が向上した先に、歯科医院の経営に貢献したいという意味があります。

今後の展開によってはlinqüeデザインのケースを卸販売することも考えており、歯科医院にディスプレイすることを想定したパッケージを制作しています。

体も心も、温度が上がるもの。

私は前職まで制作会社でコピーライティングをしていました。クライアントから制作を依頼いただき、ポスターやweb広告などのクリエイティブを制作します。「この言葉が良いのかどうか」判断基準は人それぞれだと思いますが、当時からひとつ大切にしている考えがあります。

”このクリエイティブで、心は踊るか?”

自分が好きなものに触れた瞬間って、ほんのり心拍数が上がりますよね。ドクンドクンって。そしたら、ちょっぴり体温も上がって、不思議と元気がやってくる。あの感覚は子どもの時から変わらず、誰もが共通して持っている心の活動だと思うんです。この現象を少し大げさに、心が踊ると解釈をしています。

仕事だけではなくて、普段の生活から自分の心が正直になれることを一番大切にしています。意識しないと見逃してしまいそうな感覚、心の機微をしっかりと捉えること。

例えばマグカップでも、照明でも、シャーペンでも、できる限り体温を上げてくれる物たちに囲まれて生きていたいです。

もちろん、linqüeも私にとって体温を上げてくれる存在です。そして手に取ってもらった方たちの温度をあげれる存在でありたいです。

”God is in the details.”

細部に温度があるのです。型やロゴのデザインについて妥協をしなかったのは、この考えが根底にあるから。ぱっと見では気づかない細部まで、できることは全てやります。

意識しないとわからないことも、無意識に影響を与えることがあります。相手は気づいていないけれど、実は相手からの印象に関わっている事柄はどんなコミュニケーションでも存在します。

「商品に心を感じられるか?」が、利用者の「温度が上がる」につながる。決してインスタントなものではない、丁寧な関係性が生まれます。

歯科矯正患者とクリニックの間に、心地よく前向きになれるコミュニケーションが生まれることを目標に、linqüeは細部までこだわった開発をしています。歯科矯正患者が、矯正中だからこそ楽しめる毎日を送れるように。歯科医院が、矯正患者にとってホスピタリティを感じられる場所であるように。

歯科矯正だからこその素敵な瞬間をつくりたい。linqüeに込めた願いのひとつです。


ここまでの文章を読んでいただき、ありがとうございます。

2024年3月12日現在は、基本的には紹介での販売のみに限らせていただいておりますが、資料請求やweb面談など興味がある方は下記のフォームからお問い合わせください。


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