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いいクライアントだなと思うたったひとつの条件

こんにちは。
「バーチャルをハレにする」ファッションブランド、Yarnwinderです。
ブランドオーナーの柑酉衣豆(かんどり いと)と申します。

VRなどのバーチャル世界で楽しめるファッションを日々制作しております。
自分のブランドでは「バーチャルをハレにする」をコンセプトに
リアルでは躊躇してしまう一歩先のファッションやフォーマルスタイルのお洋服を制作しています。

お店にVRoidStudioで着用できる衣装がありますので見てみてね。

自分で企画制作する衣装の他に、ご依頼を受けて衣装制作する「オートクチュール」もおこなっています。
ココナラよりさまざまなご依頼をいただいて制作しております。

クライアントがやらなければならないこと

クライアントがやらなければならないことは「要件定義」です。

とはいえ
衣装のご依頼を検討されている方や購入しようとしている方
初めてだったり慣れていなければ、何をどう決めればいいかわからないという方もいるでしょう。

私も「要件定義はクライアントの仕事」で注文を受ける側にはできないことだと常日頃思っています。
それは私が「何を作って欲しい」と依頼されているのかを理解するというプロセスだからなんです。
とても難しいことを求められているのだと思ってしまうかもしれません。
でも「要件」や「定義」なんてわからない、自分が「クライアント」だという意識がない…状態でもそれはできることなんです。

「やりたいこと・つくりたいものを自分の表現で伝えること」です。
それさえできれば私にとっては「いいクライアント」ですし、立派に「要件定義」となっていきます。

依頼を断ったひとつの例

こんなふうに下書きを描きながら始めます

衣装を2着作って欲しいという依頼でした。
詳細が設定した期日まで来なかったんです。
衣装と言ってもさまざまです。作るものがTシャツなのかタキシードなのかぜんぜん違うものだし、作る量も変わってくるんです。

追って画像資料を1点いただいたのですが、2着ある中のどちらなのかを想像するしかなく、明記されていません。
しかもいただいたイラスト自体の著作権もわからない状態でした。

誰かが描いたイラストを提出する時にはポイントがあります。

1:自分が書いたものか、他人が書いたものか
2:他人が描いたもので自身が発注したものなのか、検索などで見つけたものか
3:自身が発注したものだが、そのまま流用していいと許諾を取っているか

なぜかというと、
ひとつにはそのまま「そっくりに作るのか」「参考として作るのか」では大きく異なるからです。
ふたつめには「そっくりに作る」場合、著作権に関わってくるからです。
イラストを制作した方が「3Dモデルにすること」を許諾しているかどうか、許諾が取れる状態なのかは非常に重要です。
勝手にデザインを流用したと言われない保証がないと制作できないのです。
VTuberさんについては、三面図で提出される方も多いのでここはしっかり許諾まわりを確認していただけると助かります。

画像のない衣装は、自分で描いたイラストがあるということだけ伝えられました。
が、イラスト自体を「恥ずかしい」といって渡してもらえなかったんです。
イラストを見ないことにはそれを表現できるものなのかどうかすらわかりません。
恥ずかしいならばイラストではないやり方もあるんですが…

イラスト自体の上手・下手はどうだっていいんです。
その習熟度や丁寧さに関して、依頼で必要なものであって評価をするようなことは一切ありません。
どんなに下手でもいいけれども、羞恥などの理由で伝えることを拒まれてしまっては何を作るかはこちらが知る術がないのです。

納期に関して通常3週間としていて、発注前段階の「要件定義」に要する時間は長くても3日程度としています。
1日でも全てまとめていただいた方もいらっしゃいます。
そんな中「何を作るかわからない」状態で出し渋り、5日もやり取りをしては流石にこれ以上続けられるものではないとお断りしました。

「やりたいこと・つくりたいものを自分の表現で伝えること」
伝えるということ自体も必要なのですが、自分の表現ということも大事なんです。
恥ずかしいといって相手に見せることができないようなものではいけない。
恥ずかしいやり方を強要はしないので、自分でできるやり方を持っておくことが必要です。

なにより「伝える」ということができなければ始まらないということです。

黒いワンピースのご依頼の例

「黒いワンピース」を作って欲しいというご依頼がありました。
作るものがワンピースで色の指定もあります。靴や靴下の指定などもヒアリングで詰めていくことは可能です。

が、黒いワンピースだけでは不十分なのがわかりますでしょうか。
そう、黒いワンピースはこんなふうに色んな種類があるのです。

画像検索で集めた黒いワンピースの例一覧

黒いワンピースと言っても、イメージも違えば、形もいろんなものがあります。
説明に使おうと思って作った画像一覧がこちらです。
これを出すまでもなく、この時のクライアントさまはご自身のイメージの画像を出していただきました。

結果、ここで集めた「黒のワンピース」の画像のどれもが「間違い」でした。

たったひとことで説明するにはあまりに幅が広い場合、もっと解像度の高い詳細な説明が必要になってきます。
服に詳しくないようであれば、服を直接説明する必要もないのだと思います。
どういうイメージの人が着ているお洋服なのか。
深窓の令嬢なのか使用人なのかアイドルなのか悪魔なのか…それだけでもイメージは変わりますし方向性が決まってきます。

「やりたいこと・つくりたいものを自分の表現で伝えること」
伝わる」までたどり着くには、事細かに内容を伝えていく必要があります。
それはお洋服そのものでも、それを着る人がどんな人なのかでも、実はなんでも「情報」として役立つものなのです。

やりたいこと・つくりたいものを表現しよう

基本的にココナラでのご依頼を受ける時には最初にこんなことを聞きます。

・スケジュール
・どんな種類の服を作るんですか
・商用利用はされますか/予定はありますか

問題は「どんな種類の服」を伝えるということです。
業務的な意味で「トップス」「ボトムス」「靴」「靴下」「手袋」…などどんなパーツをどれだけ制作するか分量が知りたいという意味もあります。
(それは見積もりを出すにも、スケジュールを決定するのにも必要です)
そしてもっと重要な「どんなデザインにしていくのか」という意味でもあります。

この「どんなデザインにしていくのか」というのを「どれだけ伝えられるか」が肝なのです。
伝えるにあたってどんな情報が必要か選ぶ必要はありません。
着る予定のキャラクターの設定でも、テーマカラーでも、なんでもいいですし、「思い」だけでも構わないのです。
つくりたいものに対するクライアントさまの「表現」や「アイデア」をすべて受け取って咀嚼してお洋服に変えてゆくのが私の仕事だと思います。

ディオール展での展示

ディオール展で
「私の知るすべての事、見たこと、聞いたこと、私の人生のすべてがドレスに凝縮されています」
というクリスチャン・ディオールの言葉が紹介されていました。
それと同じようにすべての伝えてもらったことを凝縮して制作に臨むものだと思っているのです。

どうやって伝えるかもそれぞれの「自分の表現」で良いと思っています。
先にあげた2例では主に画像をメインとして話が進んできましたが、そうじゃなくてもいいのです。
今までにも「ノートに鉛筆で描いた絵」「パーツごとイメージ写真をきりはりしたイメージマップ」「小説」「思いの丈を作文してもらう」など色んな形で伝えてもらいました。
VTuberですでに動画投稿されていたときにはその動画を何本か拝見してイメージを掴んだこともあります。
そのどれもが素敵な「アイデア」の詰まったものだったと思います。

そしてそれを衣装として制作できたことがとても嬉しいと思っています。

やりたいことの表現方法3選

初めてだとその表現方法にも困る方がいるのではないか、と思います。
そこで依頼時によくあるパターン3つを紹介しておきます。

ちょっとここで初めての有料化にしておきますね。

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