見出し画像

60.一時帰国で結婚を友人に相談した結果

滞在許可証の更新手続きに時間がかかり、一時帰国のタイミングを図りかねていました。
いつ発行されるか分からないのでいつものようにドイツ乗り継ぎの全日空便で帰国するのではリスクが高すぎます。


EU圏以外での乗り継ぎ便

イタリアという国は本当に適当なのですが、国内だけならそれで問題が起こることはマレです。
すべてが適当なので最初はすったもんだしたとしても、一周回って最後にはなぜかうまく行くからです。

しかし、他国と足並みをそろえなければいけない場合それは通用しません。
とくにEU圏全体に関わる問題となるとイタリア式は許されず、ことごとく突き返されることになります。
滞在許可証もその一つです。

最後にクエストゥーラへ更新手続きに行ったとき、滞在許可証の本物がなくても引換証があれば有効だ、と言われたのですが、EUの他の国では通用しません。
とくに、ドイツとフィンランドは厳格と言われています。
イタリア人と結婚して配偶者ビザを持っている人でも、その形式がカードではなく紙だからという理由でEU圏内への入国を拒否され日本へ戻ることになった、という話は在住日本人の間でわりと有名でした。

移住してはじめての一時帰国のとき、私の滞在許可証は手続きが済んだだけでまだ手元にありませんでした。
これではEU圏内に再入国することができません。
直行便なら直接イタリアに入国なので問題ないのですが、なにしろ値段が高すぎます。

そこで、値段と時間と評判をチェックしてこのとき私がチョイスしたのはターキッシュエアラインズです。
トルコは2005年からEUに入りたいと表明しているものの、いまだに承認されていません。
実際に利用して、滞在許可証が期限切れでも問題なくイタリアと日本を往復することができました。

ヨーロッパの玄関口で距離的にも近く、ローマからイスタンブールを通って成田へ行く航路はほぼ直線距離で迂回ルートにならないため、飛行時間も短いです。
ロシア上空を飛ぶことのできないいま、直行便のITAエアウェイズもトルコ上空を横切っています。

ほかに、北京乗り継ぎの中国国際航空、香港乗り継ぎのキャセイパシフィック航空などがオススメです。
空港から出なければイスタンブール同様、イタリア滞在許可証の有無は関係ありません。

シチリア食堂改めローマ食堂

こうして2015年5月、1年3ヵ月ぶりに日本に戻りました。
こんなに長い期間、日本を離れたのは生まれて初めてでしたけど、とくに不便なこともなく、この時は免許の更新手続きとマンションの事務手続きなどがあり帰国を決めたと記憶しています。

そして、せっかく帰るのだから何かやりたいということで、6つのイベントを企画して実施しました。
料理教室やイタリア語会話教室などイタリア関連のものから、占星術ワークショップや手芸イベントなどまったく関連性のないものまで友人に協力してもらっていろいろです。
なんせお金がなかったので、せめて飛行機代は稼ぎたいという一心でした。

このとき、移住前に占い師の友人とやっていたシチリア食堂を復活させることにしました。
ローマに移住したので「ローマ食堂」と名前を改めての開催です。

一時帰国イベントはマンションのリビングで開催しました
料理教室はキッチンで

シチリア食堂の時の常連さんからブログやFacebookを通じて知り合った方々まで、多くの方に来ていただきました。
イタリア旅を考えている方と実際にお会いしてコミュニケーションを取ることのできる機会にもなるということで、ローマ食堂は以降、一時帰国のたびに開催する定番イベントとなります。

婚活を日本の友人に相談した結果

一時帰国の1週間ほど前に婚活でデートをしたローマ男からは、日本にいる間も何本かメールをもらっていました。
自撮り写真も添えられていて、なんともイタリア人らしいなぁとどこか他人事のように捉えている自分がいます。
いくら配偶者ビザが欲しくても、相手が良い人だとしても、やっぱり私は好きな人とでないと結婚できないタイプの人間なのだと、物理的な距離を置いて冷静に考えてみて改めて確信しました。

そして、もちろん日本の友人たちにも相談します。
やはりみんながみんな、私にそういう結婚はムリだから止めておけと言いました。

極めつけはローマにもどる飛行機の中で何気なく観た映画です。
それは実写版『シンデレラ』だったのですが、その中で国のために政略結婚を考えていた王子に対し死ぬ間際の王様が言ったセリフです。
「本当に愛する人とでなければ結婚してはいけない」。

王様、それ、私に言ってるの?と思いました。
頭を木槌でガーンと殴られたような衝撃です。
大切なメッセージは何度もカタチを変えて目の前に現れる、本人がそれと気づくまで何度でも、と言いますが本当にそうとしか思えない出来事でした。

ローマにもどり、婚活相手にはお断りのメッセージを入れ、紹介してくれた友人にも報告します。
こうして私の婚活は終わりました。
滞在許可証のための結婚はせず、自力でイタリアで生きていこうと覚悟を決めたのです。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?