見出し画像

58.日本へ帰らずに留学ビザを延長する方法

チヴィタヴェッキアのクエストゥーラで発行された滞在許可証の有効期限が迫っていました。
1年間の期限はあっという間にめぐってきます。
日本へ帰らずその滞在許可証を更新したのですが、帰ったほうが早いのではないかと思うぐらい大変な道のりとなったのです。


当然すべてがイタリア語

滞在許可証は期限内、できれば期限切れになる30日前ぐらいに手続きをするのが好ましいと言います。

学生保険への加入、学校への学費の払い込み、1年間通学した成績証明書、銀行口座の残高証明書など準備することも多く、当然すべてがイタリア語。
書類を読んだり、窓口でイタリア語で説明したり、スムーズに行かないことが多く本当に気が重いです。

また、当時の私はイタリアに銀行口座を持っていませんでした。
そのため、日本の銀行口座の残高を英文で発行してもらいそれを国際郵便で送ってもらう、という作業も必要だったので時間もかかります。

ほかにも必要書類がありますが、それはもう少しあとで移住準備編としてまとめて書く予定です。
そんなあれこれを期限の切れる3ヵ月ほど前から準備していくのですが、そもそも滞在許可証を受け取るまでに2ヵ月ほどかかっています。
滞在許可証の心配と更新手続きのわずらわしさから解放されるのは、正味6ヵ月ほどしかありません。

不安に押しつぶされ毎年熱を出す

書類がそろったら、今度は郵便局へ行ってKitキットと呼ばれる申請用の書類一式をもらいます。

郵便局でもらえるKit、申請用書類一式の入った封筒

40枚近い書類が封筒に入っています。
付随しているガイドに従って記入していくのですが、しつこいようですが当然すべてイタリア語。
読み解いて記入していくだけの作業なのに、それで合っているのかどうかも分からずとにかく不安だらけです。

間違って記入して受理してもらえなかったらどうしよう、そもそもここに記入する必要はないのかも、など迷いの連続で作業もなかなか進みません。
1年前にも同じことをしているはずなのに、新規取得と更新とでは様式も異なります。
手探りで書類を完成させるころには、心身ともに疲弊してストレスマックス、毎年この時期になると高熱を出していました。

実はこの作業、自分でやらずともブラッチャーノでは、CAF(カフ)やPatronato(パトロナート)などと呼ばれる事務所に行くと代わりにやってもらえます。
それを知ったのは最近のこと、就労ビザに切り替えるタイミングで税理士から教えてもらったからです。

誰にも何も教えてもらえず、ネット上にも有益な情報はなく、とにかく自力でやるしかなかったわけですが、いま思えばそうした苦労や努力がイタリア語力アップや自力でイタリアで生きていく底力、胆力のようなものを養うのにつながっていたのかもしれません。

再発行がいつになるのか分からない

郵便局でもらったキットに記入し、そろえた書類をコピーして収入印紙を貼ったり、郵便局で手数料の払い込みをしたら、それらすべてを封筒に入れてローマにあるCSAというサービスセンターに送ります。

同時に郵便局で移民局への出頭日時のアポイントメントも取ってくれるのですが、だいたい2~3週間後です。
指定された日時に、私の場合はチヴィタヴェッキアのクエストゥーラへ行きます。
アポイントメントが入っているのにも関わらず、そして遅れないように早めに到着しているのに全く無意味で、そこで最大2時間は待たされたことがあります。

トイレも暖房もない待合室ですが、いつ自分の順番が回って来るか分からないのでひたすら待ち続けます。
アフリカ系と東欧系が目立ち、アジア系は中国人が多く日本人には会ったことがありません。

やっと面接会場に通されると、1年前と同じあの空手オタクな中年男性がいました。
ただ、その時の私の担当面接官は別の女性だったので彼女と一緒に書類チェックをするのですが、空手オタクが話しかけてくるのでなかなか先に進みません。
2人のイタリア人と同時にイタリア語で反応するなんて、今ですら相当集中力が必要なのですから。

さらに、郵便局で言われて振り込んだ手続き料が少なかったので、追加分を払うためまた郵便局へ走り振り込みをして、その払い込み証をコピーして、といった2度手間まであり、本当に散々な1日となりました。

再び指紋を採取され、はじめての滞在許可証更新手続きは終わり。
しかし、実際の許可証がいつ受け取れるのか、はっきりとした日程が分かりません。

一応、引換証のような紙切れがあり、それを提示すれば新しい滞在許可証を保持しているのと同じ効力があると説明されます。
たとえばイタリア国外へ出て再入国するときも、その紙片を見せれば大丈夫だ、とクエストゥーラでは言われたのですが……帰国便の航空会社選びには最大限の注意が必要となります。


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?