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ワインを通じて一歩踏み出したら広がった世界


家と職場の往復だけだった

2002年にイタリアへ留学し、この地で働き始めたのは2006年。最初は何もかも新しくて難しくて必死にしがみついていたが、年月が経つと状況に慣れてしまう。10年も経った日には、毎日退屈していた。
家と職場の往復。仕事に行って、帰りのバスに乗り、降りるバス停の前にあるワイン屋さんで、たまに赤ワインのボトルを買うのが楽しみだった。

変化のキッカケは、気に入っていた銘柄のワインがそのお店に入荷されなくなったことだった。ある日、お店のオーナーは「もうあれは置いてないよ。次の入荷予定はないけど、似たようなワインだと、これが…」と丁寧に説明をしてくれた。

その1本を買って飲んだが味が違う。別のオススメのボトルも買ってみたが、やっぱり味が違う。
葡萄の種類や産地によって、こんなに変わるんだ! 調べてみたが、よくわからない。テイスティングシートでワインの分析ができるそうだが、見様見真似でやってもピンとこない。

そんな時、住んでいる町が初心者向けのワイン講座を開催することを知った。生涯学習の一環で全6講座、参加費も安い。
さて、私にも理解できるだろうか。講座はもちろんイタリア語だ。話せるけど専門用語には自信がない。しかし、好奇心に押されて申し込みをした。

その講座は週に一度、ソムリエもしている先生が、ワインの始まりから製造方法、味わい方の基礎を教えてくれた。他の参加メンバーは、年金生活に入ったおじさんなど趣味の延長。ゆるく楽しくワインの事を知ろうという雰囲気で、私でも難なく溶け込めた。この経験からワインの魅力にハマってしまった私は、行動力を発揮してしまう。

初心者向けのワイン講座のみんなでワイナリー訪問:
葡萄を干して濃縮した果汁で作る、特別な製法を使うワイナリーだった

ソムリエコースに申し込んでしまった

ワインのスペシャリストといえばソムリエ。ワインのことをもっと知りたいけど、ソムリエになりたいわけじゃない。しかし、気になって調べてみると、ソムリエ養成コースは3つのレベルに分かれている。レベル1は前に受講していた生涯学習の詳しいバージョンのようだ。これならできるかもと思い受講することにした。

レベル1といえどもプロ養成コース。3ヶ月間みっちり先生が基礎から教えてくれた。しかも、コースの終わりには試験がある。テイスティングはできるとして、筆記試験は引っかけ問題もあるので読解力が必要だ。教科書も辞典みたいに分厚い。それまで適当なイタリア語で乗り切っていた私が、熱心に勉強し始めた。

学ぶことに勢いがついた私は、そのままレベル2のコースにも進んだ。こちらも3ヶ月かけて、主にイタリア全土のワインの特徴を学ぶ。私はイタリアに長く住んではいても地理はよく知らない。しかし、好きな分野だったと気が付いた。脳内で旅するように無心に学び、ニュースで聞く地名に馴染みも出てきた。

ソムリエコースの受講中にとっていたノート:
スクラップブックは、この時から作っていた

夢中で学んだ結果、私が見た世界を伝えたくなった

本格的なソムリエコースで学ぶのは、かなりハードだった。レベル3に進むか悩んでいるとコロナ禍で中止。いまだにソムリエコースを完了していないことが心残りだ。

しかし、その後もワインを学ぶことや楽しむことはやめていない。
今ではワインのイベントに1人ででも参加する。初めての時はおずおずとしていたが、少し酔えばみんな友達。見知らぬ参加者と情報交換をしたり、生産者から葡萄の不思議な話を聞いたり。
旅先でワイナリーを訪問し、郷土料理と一緒に楽しむことも覚えた。

思えばワインにハマってから自分がすっかり変わった。イタリア語に対する自信もついた。
ワインの知識とともに広がった私の世界、それをみんなにも伝えたいとの思いが外へ向くようになった。
だから私はPOOLO JOBでライティングを学んでいる。
一歩進んだ先で見た世界を発信したいと思っている。

ワイン用の葡萄畑にも行く:
スパークリングワインのプロセッコの産地が近くにあるのラッキー
ワイン用の葡萄畑にて:
6月は葡萄の蕾が花咲こうとする季節

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