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鎖骨 〜断章 体のはなし〜

のど、甲状腺、腎臓、腕の疲労、指の疲労ー特に母指と人差し指、に関係が深い。

鎖骨は長い骨としては珍しい特長があります。普通長い骨は長軸方向からの加圧に対して強いのですが、鎖骨は長軸加圧には弱く、長軸伸長されることに対して強い抵抗力を持ちます。ただ、この長軸伸長のことを言ってるのは私だけです。

いわゆる四つ足ネコイヌウマウシ、みな鎖骨がありません。使わないので退化したのです。四肢に長軸の加圧がかかる運動が多いと鎖骨は邪魔になります。こうしたことからも鎖骨が加圧とは逆方向の長軸伸長力に対応した骨ではないかと推測できます。

長軸伸長はサルが枝にぶら下がっているときが一番イメージしやすいと思います。人間は地面を歩きますが、手でぶら下がることも得意です。サルに比べれば劣りますが、哺乳類の中では秀でた部分といえます。サバンナに下り立った人類は、生きる上でぶら下がることが大幅に減りましたが、のちに物を投げる技術を身につけます。もし鎖骨が無かったら身につかなかったことでしょう。

肩関節の使い方が悪いと、鎖骨は長軸加圧の役目を負うようになります。腕の重さ、何かを持ったときの重さ、そうしたものをのど元で受け止める感触になります。肩が前に出てきたり手首から先がだらりと下がったりしてきたら、使い方が悪くなったと疑ってください。こうした状態を、整体では「〇〇に力がない」と表現したりします。

ハサミを使うとのどが詰まってくる、包丁を使うと咳が出る、字を書こうとすると息が止まる、こういう人はものを持つとき鎖骨に無用な長軸加圧が加わっています。

指先を使う人手仕事の人腕だけ沢山使う人、具体的にいえば、裁縫手先の職人仕事パソコン作業手先のライン作業など、現代においては多くの人が鎖骨に負担をかけやすいといえます。構造上負担をかけやすいのもさることながら、局所的に使う時間が増え、体全体の連動が失われていることが最大の原因です。

鎖骨の内側、のどの下のところ、そこを鎖骨頭といいます。左右の鎖骨頭の位置が大きく違う人は疲労が蓄積しているとみます。中に落ち込んでいる人は、のどの働きに影響しているとみます。力なく下がっている人は、胸自体が下がっており、鎖骨の負担が肺の働きも阻害しはじめたとみます。

wikipedia鎖骨より

負担のある人は、落ちてる方もしくは下がっている方の腕を水平より高い方向に伸ばして、鎖骨に動きが伝わるところを探して下さい。動きが伝わったところで更に腕を伸ばしたり、ゆっくり内旋外旋すると疲労素が抜けていきます。腕を伸ばして上手く伝わらない人は、母指人差し指を伸ばすようにしてみて下さい。ぜんぜん上手くいかない人は蒸しタオルで緩めるところからはじめて下さい。胸が下がっている人は前段階として肘湯も効果的です。

鎖骨頭と胸骨の間を胸鎖関節といいます。胸鎖関節は膝関節などど比べるとすき間の多い関節です。関節全体を包む靭帯構造を関節包といいますが、ここのなかに関節円盤という軟骨があります。この円盤状軟骨は、関節に伸長力が働いたとき関節包が伸び過ぎないよう抵抗弾力となります。また鎖骨に捻じれが入ったときにも抵抗弾力となります。これら抵抗弾力は伸長力が抜ける過程で復元力として働きます。こうしたカロリー消費のいらない微々たる運動が発揮されることで、動物の持久力は向上します。

関節円盤はほか肩鎖関節尺骨顎関節にあります。ここも関節としては異例の、伸長される関節です。これらについてはいずれ項をあらためて説明します。くどいですが、関節円盤の働きについて、「伸長抵抗」「捻じれ抵抗」と読むのは私だけです

鎖骨に限ったことではないですが、働きのいい骨触った感じが柔らかいです。骨のまわりにコラーゲン質があるのと、血流によって組織がふくらみを持っているからだと思います。自分の鎖骨を触ってみて、硬いと感じるなら疲れがたまっているということになります。なんらかのケアをしていきましょう。

#断章体のはなし #鎖骨 #関節円盤 #胸鎖関節


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