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移動中に眠るか、眠りながら移動するか。言うほど悪くない夜行便のワープ旅

旅行でも出張でもワーケーションでも、夜寝ている間に移動するのは効率がいいのは間違いないですよね。目が覚めると目的地に着いているならば、それはワープしたのと同じですもん。

しかし残念ながら、移動中には完璧な眠りを得ることはできないのは事実です。ここがネックとなって、多くの人が夜行便を毛嫌いしていると思います。

いやいや、まあそう決めつけないでください。移動中に眠るのか、眠りながら移動するのか。列車、バス、船、飛行機の全で夜行便を頻繁に使ってきた、いまでも頻繁に利用している経験から、少しでも快適な夜行便のオススメをしてみたいと思います。

まずは私が経験したそれどれの移動方法とポイントをまとめてみます。

夜行列車

夜行列車は現在も走っている寝台列車の「サンライズ瀬戸・出雲」、ブルートレイン時代の寝台急行「銀河」、そして東京と大垣を結ぶ東海道線の夜行快速「ムーンライトながら」の乗車経験があります。

寝台列車は旅情もあって憧れますよね。いまとなってはサンライズ瀬戸・出雲以外の選択肢はありません。しかし実はサンライズ瀬戸・出雲はガタンゴトンという振動と音が意外にうるさいです。特に各車両の端は車輪やモーターの位置の関係なのでしょうか、連結器の音などもしてかなり煩わしいです。一方で最近の高速バスは本当に静かで、新東名を走る路線は路面も静かなので、サンライズ瀬戸・出雲の方がうるさいです。

あくまでも私の場合ですが、ほとんど停車しない寝台列車で連続的に揺られるよりも、2時間ちょっとおきに休憩がある夜行バスで、休憩ごとにトイレや売店に行った方が、睡眠は分断されますけど結果的には快適に移動できます。

ちなみに、私はいつかニューヨークからロサンゼルスまで、3日かけてアムトラックの寝台列車で横断したいと思っています。

サンライズ瀬戸・出雲のソロ https://www.flickr.com/photos/129661249@N02/36346413792


夜行バス

夜行バスは学生時代から数え切れないくらい(20回以上)の乗車経験があります。その殆どが東京・横浜から名古屋、京都、大阪です。他には鎌倉から田沢湖という路線にも乗車しています。

寝台列車のところで書いたように、最近の夜行バスは寝台列車より快適だと思います。とにかく最近の高速バスは本当に静かなのです。多くは日野セレガという車両を使っていますが、そのふわふわした静かな乗り心地は、路線バスのイメージからは創造もできないくらい快適です。事前に確認できるのであれば、写真などから利用予定のバスが日野セレガであることを確認するといいです。車体前方のカーブラインが目印です。

3列シート車は隣席と離れているので確かにいいのですが、通路が狭いのでトイレに行く人や休憩時に人が通路を歩くので必ず目が覚めます。また夜間走行は対向車などの明かりを避けるために、カーテンを締め切って走行します。そのため窓側席であっても基本的に景色は見えません。中央席もカーテンで仕切られますので同じです。冬の窓側席は冷気が入ってきますから寒いです。

トイレについても、走行中に利用するのは暗いし揺れているので緊急時以外はかなり使いにくいです。またトイレがある分、シート間隔が狭くなっています。本当の緊急時には運転手さんに声をかければ、最寄りのPAで停車してくれますので大丈夫です。これまでに3、4回「緊急停車」をされた方がいました。これはお互い様なので全然気にしていません。つまりトイレはイメージするほど実用的ではないです。

なおエンジンが最後部にあるので、座席指定ができるのであれば、できるだけ前の方の席をおすすめします。

グレースライナーの名古屋→横浜・新宿線


長距離フェリー

フェリーは大洗から苫小牧の「商船三井さんふらわあ」、新門司から東京までの「オーシャン東九フェリー」、新門司から横須賀までの「東京九州フェリー」に乗船したことがあります。最近の長距離フェリーは昔の大部屋ではないですし、結構豪華客船化しています。天候によりますが船酔いする人は、念のために酔い止め薬(アネロン ニスキャップがおすすめ)を持参することを勧めます。海況が安定していれば最も快適な移動手段であることは間違いありません。まさに動くホテルです。

どの船にも大浴場がもちろんあります。一部の船には露天風呂やサウナが付いています。船上で海を見ながらサウナに入り、露天風呂で外気浴をするのは、陸の上のどんなサウナにも勝る経験です。

時間がかかりますが、フェリーは大部分の人にとって非日常感が最高に高いと思います。

東京九州フェリーのツーリストAの船室。ロールスクリーンを降ろせます


国際線フライト

飛行機はアジアの一部を除いて、ほとんどがレッドアイフライトと呼ばれる夜行便になります。これまでの渡航回数が240回くらいなので、アジア圏を除くと往復で300フライトくらいは夜行便と言うか、機中泊を経験していることになります。

飛行機は一番うるさくて、一番揺れて、一番乾燥していて不快な移動手段です。基本的にはビジネスクラスであろうがファーストクラスであろうが、機内である以上、大差はありません。微振動はどのシートもほとんど同じです。揺れは真ん中あたりのエコノミークラスが一番揺れません。騒音は前の方がエンジンから遠いので静かです。

寝ることに関して言えば、フルフラットにできる席、ファーストかビジネスクラスの圧勝です。プレミアムエコノミーは全然フルフラットになりませんし、隣席が空いていたとしても肘掛けが上に上げられらないので、2席以上使って眠れません。食事メニューもエコノミーと基本同じなので、その料金を考えると私は無意味だと思っています。それであれば空いている便で3席か4席を一人で独占する「貧者のフルフラット」の方が、賢者としてはお得で快適です。

これまでに何度もこのエコノミーフラットをしたことがありますが、本当に最高です。

ユナイテッド航空のUA32 NRT-LAXのB787

国際線フライトにおける夜行便は、時差がない縦移動と近距離アジアを除いて、海外に行く際には他の選択肢がありません。ですが例えば羽田−香港はこのフライトスケジュールってとっても効率よくないですか?まさに寝て起きたらもう香港ですから。

この例に限らず、時差がある海外渡航の場合は、直行便か経由便か、所要時間が短いかよりも、出発時刻と到着時刻の方が重要だと思います。朝着か夜着かのどちらがいいかは、その時の旅のスタイルによって変わります。

国際線のフライト中に、時速900キロで高度1万メートルを高速移動しながら酒を飲み、音楽を聞くか、何もしないでぼーっとする時が、この15年位の私にとっては最高のリラックス・タイムなのです。



それでは目的地ごとに、どの夜行便を選択するべきを考えてみます。あくまでも東京首都圏を起点とする話ですけど、出発地からの距離に応じて、他にエリアでは読み替えることもできると思います。

【東京−名古屋、大阪、金沢、仙台】

この区間では高速バスの夜行便をぜひ一度体験してみてください。3列独立シートがまあいいですが、オリオンバスウイラーエクスプレスのワイド車(10列仕様)は隣席との間にカーテンか仕切板もあるので快適です。あるいはいっそのこと全11席完全個室のDREAM SLEEPERという選択肢もあります。

またオススメとしては、サンライズ瀬戸・出雲は大阪→東京のみの利用ができますので、これは下りは大阪到着が午前4時台になるので駅が稼働していないからです。稼働させることもできなくはないでしょうが、そうすると多くの客が大阪で降りてしまい、その先は稼働しなくなってしまうことを懸念しているのだと思います。ちなみに上りの大阪発は24時34分です。首都圏の人は大阪出張の帰路に、関西圏の人は東京出張の往路で利用してみるのもいいと思います。

新幹線で東京大阪間を中途半端に2時間ちょっとでせわしなく移動するなら、片道でいいので夜行バスとかサンライズ瀬戸・出雲で非日常を同時に体験するのって悪くないですよ。

【東京−広島、岡山、徳島】

徳島については下記に記載したオーシャン東九フェリーがおすすめです。この区間は、夜行バスだと9時間から10時間かかるのでちょっと厳しいように思います。全12席完全個室の「マイフローラ」もあります。

【東京−福岡、札幌】

ここはやはりフェリーを強くおすすめします。福岡ではなく新門司、札幌ではなく苫小牧ですが、それも楽しいです。
オーシャン東九フェリーは上り下りともに夜発で徳島を経由して早朝到着です。


東京九州フェリーは上り下りともに深夜発で21時頃の到着です。

21時着ですから到着先が自宅であればいいのですが、ホテルが必要だとすると1泊余分に必要と言えなくもないので注意が必要です。


商船三井さんふらわあは上り下りともに毎日2便体制です。

この3ルートの中では、東京九州フェリーの新門司−横須賀を強くおすすめしておきます。


私は移動中に眠ることに慣れているのかもしれません。というか大好きです。

学生時代に名古屋に帰省するときに、新幹線は高くて買えなくて、青春18きっぷは5回使えるけど12,000円もするし、利用できる時期が決まっているのと、各駅停車の東海道線は東名高速バスより時間がかかったなどの理由で、タイパのいい東名高速の夜行バス「ドリーム号」(4,500円だったはず)のヘビーユーザーでした。まあきっかけはこのあたりにあったんですけどね。



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