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目が覚めたとき

覚えている最初の記憶は、おそらくICUにいる時。
ナースコールが落ちてしまって、でも手も足も動かない、首しか動かせない状態でパニックになり、助けてと泣き喚いていた。

ナースコールを探すのに首を必死に動かし、それが癖になってしまったのか、ナースコールを手にしてからも首がもげるくらい上を向いていた。

首が痛くても、上を向くのを辞められなかった。
夜中にパニックを起こし、「上を向いちゃうんです、助けてください」と看護師さんに訴える。

深呼吸して、ナースコールはここにある、大丈夫、大丈夫と言い聞かせた。
しばらくはそんな状態が続いた。今思えばパニック障害になっていたんだろう。

車椅子に乗れるようになった頃、男の看護師さんが「もう上向かなくなった?病棟のみんな心配してたんだよ」と言ってきた。
その頃の記憶はほとんどなかったので、しょっちゅう理性を失ったかのように泣きわめき、助けてと叫んでいたことをその時知った。

叫ぶ患者さんは多い。うるさくて鬱陶しいなと思っていたが、本人からすれば怖くて仕方ないのだろうな、と。
鬱陶しいとしか思っていなかった叫び声は、それ以降聞く度に心が痛くなった。大丈夫、大丈夫だよ、と心の中でその人に声をかける。届かない声だけど、そうせずにはいられなかった。

高校2年生 TABIPPO2020大阪支部🐣 発展途上国や貧困、ボランティアについて興味があります。いろんな国に行きたい 🇯🇵→🇰🇭🇰🇪