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見えない誠意が伝わるわけない


新卒の子が入社してくる時期が近づいて来ましたね。
この時期になると毎年、話題に上るのが「若手の身だしなみ問題」。
この議論に正解はないと思いますが、なぜこんなにもギャップが生まれるんでしょうか。


金融機関に勤め始めてニ年目の頃です。
同じ支店の先輩から「明日、ゼミの後輩がOB訪問で支店に来るから対応して」と頼まれました。

そう、先輩に弱い僕は言われるがままホイホイ承諾してしまったのです…

そして当日。
4人の学生が支店に訪ねてきたのですが…

おぉっ!?…スーツ3人の後ろに1人ひげづらニット帽(以下、ひげ君)がいる…

もしかして、今日来る予定の学生は3人だったのかな?

ひげ君「今日はよろしくお願いします!」

違いました。しっかり4人でした。

気を取り直して、学生たちと話をしていきます。
といっても社会人2年目、しかも身内がいるところで変な話はできません。
どの様に就活を行なっていたかなど、通り一辺倒な話が多くなってしまいました。
案の定、ひげ君がノートに書き込んでいる場面は少なかったです。
終わり際、いきなりひげ君が爆弾を投下。

ひげ「社会人としてうまく生活する上で、どんなことが大切だと思いますkワイ「時間を作ってくれた方には、きちんとした格好で会うことですかね」


度胸に感心するよりも先に、脊髄反射で回答していました。
そのあと慌てて「金融機関だと取引先の経営層に会う事もあるから喫茶店で簡単に身内に会うのとは違う。それにもし弊行に入ったら、この支店にいる人たちといつか同じ所属で働くかもしれない。その時に変なイメージがついたら勿体無いですよ。」というような事を伝えたかと思います。

当時は「こいつ、わざわざ支店にアポ取って来てるのにひげヅラニット帽なんて舐めてんのか?」と思っていましたが、過剰反応してしまったのかもしれません。
この点では自分が社会人だったからという驕りがあったでしょう。
このような態度をとってしまったことは、今でも反省しています。

しかし、特段間違ったことを言っているつもりはありませんでした。
たまたま対応したのが私でしたが、仮に先輩であればもっと悪い。
先輩を無償で時間を注いでくれる家族だと勘違いしているのですから。


「他人に会う」というのは「相手から時間を享受すること」と同義です。
それを無償でもらえる何かだと思っていては、ティッシュ配りのティッシュと同じです。
貰ってもかばんの底にしまうだけ。
そのうち貰ったことすら忘れてしまう。

もし相手から享受した時間を自分の血肉にしたいのであれば、享受に値する誠意を見せるべきなのです。

まるでヤ⚫︎ザみたいな言い回しですが、「義理人情」が根強く残る金融業界で、誠意を見せられないやつは生き残れないでしょう。
金融機関で生き残っている人は、それを潜り抜けてきた猛者ばかりですから。

誠意が見えるものでない以上、見える形で伝えなければならない。
その最も根源的な手段が、身だしなみや立ち振る舞いです。

例えば、結婚の挨拶。
おそらくスーツや何かしら正装で伺う方が大半でしょう。
自分のパートナーとなるべき相手を今まで大切に見守っていたご両親への誠意(感謝)を目に見える形で伝える。
この場を軽んじていないことを全身で発した上で挨拶の言葉を紡ぐからこそ、安心してもらえるのではないでしょうか。

金融機関はその性質に公共性を求められがちな職業です。
「華美」な装いは控えるべきと決められていることも多く「昭和の価値観」と揶揄されることも多いでしょう。
しかし、前述したように誠意は他人には見えません。

丁寧な言葉で接するつもりだったとしても、顧客には関係ないのです。
見えぬものを求められてしまうから、相手に見えるよう示す必要がある。
それが身だしなみの厳しさとして明文化されてしまうのです。
「だからおしゃれは我慢しろ」とは言いません。
が、相手が顧客である以上「顧客として尊重している姿勢」を見える形で示してはどうでしょう。

社会人になって色々なひとと出会えば、あなたの世界が広がるチャンスがあるのだから。

PS.その後、ひげ君は入社してきました。
今ではチャットでやりとりする仲です。

こちらはTwitter上で相互フォローさせてもらっているハマチさんが執筆されたnoteです。
私が通っていたSUNABACOの受講生であり、何回か猫山課長のセミナーなどでもお会いしていました。
その時にも読んで似たような事を感じていたので、こちらのnoteも紹介させていただきます!
https://note.com/hamachi_buri/n/n8569bf3880fc?sub_rt=share_pw

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