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私の屍を超えてゆけ!~展示会出展の覚書~

岡山県でちいさなアパレルメーカーを運営している岩崎です。
風景をつくっていく野良着「SAGYO」と、生活に折り目をつける寝間着「みんふ」のふたつを協力会社や経営パートナーと協力しながらひとりで運営しています。

SAGYO8年目、みんふ3年目にして初めての展示会出展を経験したので、感想や心得、準備すべきものなどを書き留めておきます。

というのも、そういうnoteやブログが全く見当たらなかったから。
手探りで準備してきて本番で「ああ!こうだったか!」ということも多く、結構苦労しました。

自分自身の今後の出展のため、また、私のような展示会に出展経験がないものづくり関係者があたふたせぬよう願いつつ。少しでも参考になれば嬉しいです。

尚、私が出展したのは個人レベルでも出展できるような小規模展示会のみです。ギフトショーなどのおおきいものは経験ないのであしからず。

2023年10月 ててて商談会出展


出展のきっかけ

SAGYOは野良着メーカーなのですが、野良着よりも有名になりつつあるのが超防寒靴下「マグロ漁船の靴下」。
販売から5年、生産足数も販売数も毎年右肩上がりで成長を続けているこの商品は2年前から卸売を行っており、今回そのPRと卸売先拡大を目標に出展しました。
販売商品はマグロ漁船の靴下のみです。(衣類は展示)

ブースサイズ:1.2m×1.8m

ててて商談会の特徴

・商談デーと販売デーが別で設定されている。
参加した2023秋は、4日間の日程で前半が「商談会」、後半が一般も入れる「商店街」。
→商談と販売では話の導入や気持ちの入れ方、準備物も変わってくるので私は日程が分かれていて助かった。

・荷物の搬入からブースバミりまで出店者が行う。
→少人数で運営している、みんなで作り上げていく実感を得られる等、理解はできるがなかなかしんどかった。(あくまで私の場合です)

・初日終わりに運営主催の大飲み会がある。
→運営さんとがっつり話す機会がある事自体珍しいし貴重。初日に居たほとんどの方が参加していたと思う。

2024年2月 大日本市出展


出展のきっかけ

みんふのPOPUP先を獲得したいのと、パジャマという商材の可能性を探りたいというふたつの理由で参加しました。
展示商品は全ラインナップです。

ブースサイズ:1.5×3m

大日本市の特徴

・無料でレンタル出来る什器が何種類もあり、何個借りてもOK。
→空間のトンマナを統一させるための取り組みだそうで、遠方参加者にとっては本当にありがたい施策。

・初回から出展し続けている中川政七商店のコンサルブランドの社員さんが行う接客指導(希望者のみ)がある。
→私の場合、接客面でのアドバイスは特段なかったが、初出店者には考えつかないレイアウトテクニックを教えて頂いた。変更前のレイアウトじゃなくてよかったと思う場面が毎日何度かあり、この制度を考えた人天才…と思った。

・スタンプラリーや人気投票など、来場者も出展者も楽しめるイベントがある。
→会話のきっかけにもなるし、投票結果やコメントは励みにもなった。

準備編

事前(できれば直前)の体験は大事

ててて商談会は、何年か前、興味本位で参加した事がありました。
小さめのホールにびっしりとブースが並び、立ち止まることが出来ないほどの人でひしめき合っており、なかなかゆっくり商談出来なさそうだなという印象が…。
大日本市は参加経験がないまま申込。noteやインスタで雰囲気を掴みましたが、来場者目線のコンテンツだったためよく分からないこともあるまま申込。

実際参加してみて、ててては見学時(コロナ前)から会場設計はだいぶブラッシュアップされてゆったりしていたし、大日本市もnoteでは分からない部分(受付の様子や展示会中のイベントなど)もたくさんあったので、申し込みするぞ!と決意したら一度足を運ばれると良いです。地方の方は特におすすめします。(後であわてたり余計な荷物を送ったりすることがだいぶ軽減されるので)

荷物の規定をよく確認すること!

ててて商談会は、佐川急便がまとめて現場まで運んでくれるが(といってもトラックからの荷下ろしは自分たちでやる)、どうしてもの場合は他の運送便で送っても大丈夫でした。
ただし搬入が始まっても荷物が届かず荷物待ちで待機、なんてことも大いに有り得るため本当にどうしてもの場合にしか使わないほうが無難。でも、送り忘れたものを搬入日着指定で現場に送ることが出来てとても助かりました。

大日本市は、完全にヤマトのみ。ヤマトの場合、200サイズ以上のものは通常便で送れない為、200サイズ以上のものがひとつでもあれば高額なチャーター便を使わなければなりません。(しかも事前契約が必要と来たもんだ)
送料を考慮して什器を送るには佐川か福通、西濃辺りに頼りたいのだが…一切NGでした。
その代わりに什器は無料で貸し出されるし、有料レンタルの備品も提示してくれるんですよね。(逆にてててはここら辺のフォローは無い)

みんふの場合、ラインナップを一気に見せるための150cm幅の特注ハンガーラック(200サイズ超)を使いたかったため、搬入日午前中指定で宿泊先のホテルに送って、帰りは手持ちで持って帰ってきました。しんどかったーーー

商品や居住地の特性上、運送便でかかる送料がかなり変わる場合は申し込む前に問い合わせることをおすすめします。

会話のきっかけになる資料を作っておこう!

SAGYOもみんふも、まだ誰も知らない小さなブランドです。
最初からお目当てで来てくださるバイヤーは少なく、通りすがりに目が合った方、商品を見るため歩く速度がゆっくりになった方にすかさず声を掛けていました。
その時に役に立ったのが、フライヤーです。いつも配っている最低限の情報が載ったものではなく、
・自分たちは何者なのか
・なぜ展示会に参加したのか
・取引条件(さわりだけ)
を載せ、受け取ってそのまま行ってしまった方も後で見返して思い出して下さるようにデザインし、名刺よりも多く刷って挑みました。

荷物が増えるのを嫌がるバイヤーさんが多いという業界の噂を考慮したのか周りはお声掛けのみのブースが多く、フライヤーを配っているのは弊社のみ。それでも、受け取ってくださった方は高確率で立ち止まってくださり、商品のご紹介が出来たのでした。
コストや環境問題等、色々考えることもあるでしょうがこの施策は一番効果的だったように感じています。

ちなみに、細かい取引条件は後日メールで送るのがセオリーと聞いたことがありますが、私一人で運営しているため、具体的なやり取りをした人をメモしておいてメールを送るなんてことは出来そうにありません。
私はそれよりも、その場でこちらが提供できる条件は全て開示すること(掛け率やブランドの強み、導入メリットなどをA4表裏にびっしり書き込んだ資料を後出しで渡しました。)と、向こうから連絡していただく環境づくり(申込みフォームやSNS、運営会社のHP等アドレスを全てQRコードにし、一つの紙にまとめる等)を心がけました。

名刺は展示会オリジナルのものを作ろう!

チラシ配りの次に効果的だったなと思う施策は、展示会用の名刺づくりです。
日々名刺交換はよく行うのですが、事業名と会社名が違う場合、名刺を2枚渡して下さったり、会社の名刺のみ下さるケースが多いです。
後者の場合、少し時間があくと「この方、どういう方だっけ?」と思い出せない事が多いのでもらったらすぐ名刺にメモするようにしています。
でも、展示会では自分が同じことをしてしまうと大きい損失になるので、事業名(渡しの場合はブランド名)と運営会社名、そしてキービジュアルの写真を大きく入れて刷り直しました。


我ながらいいアイディアだと思った展示会用名刺。


コストの関係で紙の質やデザインは二の次になっても思い出せない名刺を渡すよりずっといいと考えて実行しました。

ホテルはできる限り早く、そして近くを確保!

40代が慣れないことをすると、一晩で完全に疲労回復することは出来ません、ええ。
送料はケチってもホテルはケチらず身体の回復に集中したいものです。
ててて出展の際、合否が分かる前からホテルを押さえておいたのに、直前になって日程を間違えて予約していたことが判明。開催1週間前に気付いて、少し歩かないといけない古いホテルを取り直さねばなりませんでした。
大きい駅と線路を挟んだ向こう側のホテルで、レンタサイクルだとものすごく大回りになるので仕方なく毎日歩きましたがまぁしんどかった。
実は大日本市の時もチェックアウトの日を一日間違えて最終日はカプセルホテルに泊まる羽目になり、岡山に帰った後も疲労がなかなか抜けませんでした…。
私のような人はまずいないと思いますが、結構先の日程を押さえることになるので、日程や周辺環境、通勤路は慎重に確認してくださいね。

現場編

とにかく小椅子を準備すべし!

展示会に参加する方は、普段椅子に座っている時間の方が長いのではないでしょうか。私も実際そうで、1日8時間立ちっぱなしは本当に無理だと思ったんですね…。
そこで荷物として送ったのが小さい折りたたみ椅子。

こちらでございます。


ててて参加時はこれがあるだけで精神的にも肉体的にも救われました。
大日本市では準備していたものの、椅子に座る暇がなく終盤泣きそうでしたが、床がたまたまカーペットだったので幾分気が紛れました…。

身に纏えるものは纏おう!

販売の場では当たり前のことではあるんですが、展示会だと意外と抜けがちな事実。やっぱり話のきっかけになるし、ハンガーに掛けてるのと全く見え方が変わるんですよね。
みんふの場合は「パジャマ」なので、最後まで迷っていたんですが、接客指導で「絶対着た方がいい!」と言って頂けたので3日間通して着用しました。結果、着てなかった逆に怖かったなと思うぐらい接客に使い倒しました。

今振り返るとやりすぎた感が…。

あと、たまにお見かけするびしっとスーツでキメておられる商社の紳士は、ブースやブランドの雰囲気に合わせたカジュアルめなコーディネートで立たれた方がバイヤーさんも萎縮しないのではないかな~と思います。
逆に、いつもの作業着的私服で来られている職人さんは展示会用に揃いのユニフォームをつくったり、職人らしい格好(デフォルメでもいいと思います)を着用されたら、通り過ぎる瞬間0.1秒でどんなブースなのかがより伝わりやすいのでは、と感じました。

荷物置き場は考慮しなくてOK!

資料に書かれていない&実際困ったことNo.1は「自分の荷物を置く場所がブース外にあるのか」です。
出店者控室に関してはててて・大日本市双方、直前のお知らせとなっていました。

おそらく運営さんはギリギリまで会場側と交渉されているので、どこに何部屋確保できるか確定するのが直前なのでは?と推察します。
ですが、控室や荷物置き場が全くないというのは考えづらいことなので、ブースレイアウトを考える際に自分のスーツケースを隠せるのか、(販売がある場合)在庫を隠せるのか等は考えなくて良いと思います。

ただ、不特定多数が出入りする、小さいスペースに沢山の荷物が運び込まれることを鑑みたパッキング、防犯対策を必ず行ってくださいね。あと、事前に控室があるかどうかの確認も必ずしましょう。


のど飴・タブレットの用意と、念のための薬局の位置確認!

普段座りっぱなしで日中ほぼ喋らない生活をしている私にとって、喋り続けるということが如何に喉を酷使することなのかよくわかった数日間でした。

会場にエアコンが入る時期は、要注意。
実際私は2回共喉をやられて薬局に駆け込むことになってしまいました。

マスクをしておくのも予防的にはいいのですが、私は笑顔で話しかけやすい雰囲気を作りたかったのでマスクは避けました。


以上、出展前に知っておきたかったなぁと感じた情報を私の視点で書き出してみました。

経験した人にとっては全部当たり前のことですが、初めての人はわからないことばかり。
毎回会場や時期が微妙に変わっていたりするので、全てが有益とは限りませんが、少しでも展示会出店という新たな挑戦をする方々のお役に立てることを願って書かせてもらいました。

どちらの展示会も、それぞれ特徴があってお客さんはもちろん出展者も楽しめる工夫がなされていました。
私自身出てよかったと思える収穫がどちらにもありました。
また参加したいです!



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