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BEASTJapanextオーディションについてまとめてみる

Mリーグに参入が発表されていた、BSJapanextオーナーチームのもろもろが発表されましたね。
『BEAST Japanext』という語感がいいうえにチームカラーを体現していそうなネーミング、キャッチ―でありながらこまかくデザインされたチームロゴ、それにいわずもがなな選手オーディションメンバーと、個人的には「おお……!」とワクワクさせてくれる要素が多く、初年度から応援したくなるチームだなと思わせてくれます。

タテガミに「BS」をあしらっているの、細かくてホントよい

そんな中ではあるのですが、オーディションメンバーに呼ばれていないことを持って「BEAST Japanextの選考についてはもう一区切り」みたいな意味合いを感じてしまうTweetをするプロや、「いやそれはたぶんないのでは…」みたいなことを冗談ではなくて結構「あるな……🤔」みたいな感じでTweetする人もいたりして、昨夜から私の脳内に住まいし千鳥が「ちょっと待てぃ!」を大合唱していたりひろゆきが「それってあなたの妄想ですよね?」と斜に構えていたりして、まあとにかく騒々しく、「ちょっと脳内の君ら黙っとってくれんか!?」レベルになってきてしまったので、彼らを脳内から退去させるべく、つらつら書き出していきたいと思います。

「オーディションで1名」の意味

まずもって言いたいのは、「4名のうち1名を決めるオーディションにエントリーされなかったからと言って別に何も終わっても始まってもいないんだが」ということです。「選ばれませんでした、ありがとうございました!」と言っているプロは今の時点でも多く見ましたが、「残りの3名にエントリーされていると願って研鑽します」みたいなことを言っている人は見ていません。バイネームで言っちゃいますが、『あの』友添プロですら「オワタ」って言ってて、まあこの方の場合はそれもジョークの可能性がまだあるとは言っても、「凹んでる場合ではないのでは」と思います。わかるけど。

ここでもう一度オーディション概要についてチェックしてみます。改変なく提示すべきとても重要な要件なので引用すると、

『4名の選手のうち1名はBSJapanext専用サイトより公募を行い、応募者の中から競技を含めた選考を行ったのち、ドラフト会議で指名いたします。』

プロ麻雀リーグ「Mリーグ」新たにBSJapanextの加盟が決定

と書かれています。
これ、普通に読めば「そのほかの3人はその選考外で選抜して指名するよ」としか言っていません。もちろん、「それ以外の意味」、例えば、『「1名」の部分に「限定」がつけられていないので、2名以上選考から指名する』というような意味にとるのは不可能ではありませんが、基本的に「ひとひねり加えた解釈」、つまり、「不自然ではあるから、明確な理由が必要なもの」とはすべきでしょう。

もうひとつ見ておきたいのが、そのドラフト順です。こちらは画像で引用します。

Mリーグ2023-24シーズンの概要とドラフト会議について

これはつまり、「指名の最優先権はBEASTJapanextが持っているので、基本的には今Mリーガーでないすべての有資格プロを、自由に指名できる状況である」と解することができるでしょう。
ぶっちゃけ圧倒的です。状況的な有利さでいえば、「オーラス1000点和了ればトップ」くらいの有利さを感じます。この状況で、わざわざオーディションという不確定な要素を叩き込んで複数名選考する、というのは、同じたとえでいくなら「暗刻の役牌を大明槓する」くらいよくわかりません。よっぽどの理由がない限り、そんなことをする必要がありませんからね。

ということで、現状、選考トーナメントについては基本的には「8→1のサバイバルゲームである」以上になっていませんし、(「選手選考」はとっくに始まっているものの)「選手指名」ということについては「3枠に入る可能性は全然ある以上、まだ何も始まっていないし終わってもいない」というのが正しい状況の整理であって、その状況でオワタもなにもないはずなんですが、いやもちろん「オーディションにエントリーされなかった」ことを悔しいと思うことは理解できる(自分自身で決めにいける領域って基本的には実戦だけですしね)にしても、「いや、てことは自分これ3枠の方ですわ、アザッス!」くらい言うプロがいないというのはさすがに「えっ、選考ってもう終わったんすか」って思ったりします。そこでさらに「3枠に自分、どうっすか!」って言えるのが「攻撃的な」プロの姿なんじゃないのかなあ…なんて。

「(敗退のある)オーディションで複数名」の意味

5/31に発表されたオーディションメンバーの顔触れが『豪華』だったことで「これ以上の3名がいる、っていうのもちょっと考えづらいし、やっぱりこの中に当確が何人かいるんでは」というTweetも目にしました。
まあ、「現最高位(竹内元太プロ)」「現雀王(浅井堂岐プロ)」「女性プロの大ベテラン(宮内こずえプロ)」「男性プロのベテランふたり(新井啓文プロ、山井弘プロ)」「新進気鋭の女性プロふたり(菅原千瑛プロ、内田みこプロ)」「元Mリーガー(石橋伸洋プロ)という顔ぶれですし、実力から言えばドラ1クラスの現タイトルホルダー2名が含まれることを考えても、まあそう考えたくなるのはわからなくもないところではあります。

ただし、前述のとおり、「4名のうち1名の選抜を告示」「確定指名ができるのにあえて指名を競わせる意味がない」状況です。しかも今回の選抜オーディションは「敗退」があります。こんな状況で「本命」を選抜に仕込むのは、全く理に適いません。

これは、「本命が予選敗退したらどうするんですか?」というQに、正しく回答できない、という点に由来します。正確には、このQに対する解答にたいして、さらに「いや、予選敗退しても指名する気があるなら、そもそも競わせないで直接指名したらいいじゃないか」というと、もうほぼ詰みです、ということです。
だいたい、「8人からのサバイバル1人」という『選考会』を「番組の企画」として立ち上げた以上は、「純粋に1名を選抜するための選考会」にするのがシンプルにして最大の意義なのであって、「どうあれ指名する予定のプロ」をそこに割り当てるくらいであれば、そこに「より競わせたい、競わせることでより面白味が出る」プロを割り当てた方がよいに決まっています。わざわざそういうことをする(自然な)意味がないんです。前述の通り、「オーラス1000点和了ればトップの状況で暗刻の役牌を大明槓する」くらい意味がない。可能か不可能かで言えば可能で、よって「可能性はないとは言えない」ですが、しかしそれは「できるし、やる」ということを意味しない、という働く業界によっては頭の痛くなる話でしかありません。

オーディションを通して、たとえ(プロ歴や保有タイトルに基づいて考えた場合の)雀力が高い候補が敗退しようとも、そのプロの指名は見送り、他に選考した「絶対に欲しい3選手」を指名する、と考えるのが自然です。
このメンバー「以上の」3名が誰なのか、は「チームの方針によってのみ決まる」のであって、他の要素で判断することはできませんから、「これ以上の人はいるのか」と麻雀ファン目線で考えること自体が、根本的には「想像して楽しむ」以上のものではありません。「あるな……🤔」みたいなところまで行くと脳内の千鳥やひろゆきがワーワー言い出してしまう話になってしまいます。

話はちょっと逸れるのですが、私は以前から「誰がドラフトされるか予想する」のは避けています。あるいは、希望は希望として、はっきり分けるようにしています。「〇〇さんだったらいいなあ(希望)」は言ったとしても「〇〇さんが来るんじゃないか(予想)」ということは言わない、ということです。まあ、嫌い、とまでは言わないまでも、好きではないとは言っていいと思います。
というのも、なんらか情報を握っていたり、論理的に考えてそれがあり得るということでなければ予想にはなりませんし、つまりそれは希望ですし、ましてや希望と予想を混同するのが気持ちが悪いというのがまずひとつ。もうひとつには、そこを混同して『予想』を外した人たちが、「どうして〇〇を取らないんだ!」となっているような構図に(私には)見える事象が、Mリーグでは時折起きてもいて、そういうヤジに個人的には結構へきえきしているから、というのがその理由です。

Mリーグにおけるチームビルディング

さて、「選考会から複数人を選ばない論理的な理由」のもうひとつは、「Mリーグにおけるチームビルディングは、コンセプトが明確でないと支持されない」からだ、と私は考えています。
つまり、「チームコンセプトを組み上げるにあたって、1人を不確定要素の1名に割り当てることは、盛り上がりとの押し引きから考えて(EX風林火山オーディションやIKUSAの成功例を加味して)アリ」なのは良いとして、ではその枠が2名だったらどうか、といえばそれは博打が過ぎるのです。

もう少し展開すると、「4人集まった時に見える画」というものが、それぞれのチームにはあるはずです。で、「オーディションという不確定の要素から2名を選抜する(既定路線1名+選抜1名というのが成り立ちづらいというのは前述の通りなので、2名選ぶなら選抜2名であるはずで、よってそれは不確定の2名である、ということを意味します)」となったとき、その人たちによっては見える画が全然変わってしまいます。
過去、EX風林火山、KONAMI麻雀格闘俱楽部、U-Next Piratesがそれぞれ「2名を入れ替える」ことをしていますが、入れ替えにあたって方針が明確であったEX風林火山を除けば、その雰囲気や見える画が全く変わった、ということには異論の余地はないはずです。参入初年度から、そういう「不定形」をやるのは博打が過ぎる、ということです。

この点でも、やはり「2名以上を選抜する」には無理があると言わざるを得ません。

それでも(たぶん唯一)複数名選ばれることがあり得るパターン

ただ、ここまでの話を覆せそうなパターン、つまり「論理的に考えてもこの選考の中からもうひとりを指名することに妥当である」パターンが、たぶんですがたったひとつだけある、と考えています。

「この選考が、指名する女性プロを誰にするのかという選考を兼ねる」場合です。つまり、この場合のチームビルディングのコンセプトは「固定2選手+半固定の女性プロ1選手+不確定のプロ1選手」ということになります。この場合は「1名、という告示を乗り越えてでももう1名を選抜する」ことに妥当性が発生しえます。

まず、「女性Mリーガーに求められている(きた)モノ」がなにか、ということを、この場ではこのように定義しておきたいのですが、それはひとことで言えば「アイコニックであること」ではないかと考えています。ただし、「女性プロ3選手」であるフェニックスは除きます。フェニックスの場合は逆に男性プロがアイコニックである必要があります。
例えばABEMAS日向選手はチームの太陽としての働きを全うしていますし、格闘倶楽部高宮・伊達両選手やサクラナイツ岡田選手はタレント活動もする才色兼備、EX風林火山は二階堂『姉妹』ですし、TEAM雷電黒沢選手は『セレブ・お嬢』、Pirates瑞原選手は『女海賊』としてその鋭い眼光含めて人気を獲得しましたし、退団した(してしまった)とは言えドリブンズ丸山選手は「シンデレラ・ガール」として揺るがぬ人気を手に入れました。それぞれがそれぞれにチームを象徴すると言っていいでしょう。また、全体として、女性プロの活躍というのも成績的にも言わずもがなです。

そのように考えたとき、「チームとして」の成功は、人気・成績両面において、その女性プロの肩にかかっている、と言っても過言ではないわけで、その意味においては「(少なくとも、特にMリーグにおいては)女性選手の指名を誰にするか」というのは大変な重要事項でしょう。
扱いを間違えるわけにはいきません。

レギュレーションから考えると、選考会優勝者が男性である可能性が普通にある以上、「3人のうちのひとりは女性でなくてはならない」はずです。しかしながら、同じように女性も選考会優勝者になる可能性がありますから、その場合は「チームに女性ふたりを擁する」ことになります。
指名される女性プロの影響が大きい、ということであれば、当然「チームに女性がふたりになる」ということの影響は大きい、と言えますから、そこの見極めをより正確にするために、「指名するかもしれない女性プロを選考会に組み込む」ということには妥当性があります。こうすると「指名が確定している男性プロ2名+選考会で良いパフォーマンスを発揮した女性プロ1名+選考会突破者1名(女性が突破した場合は次点1名)」という線はありえます。

この構成が優れている点がもうひとつあり、それは「女性プロのパフォーマンスを見極めることができる」ということです。繰り返しになりますが、女性プロに誰を指名するかというのは「最重要課題」ですから、そこをより慎重に見極めたいと考えるのはある程度自然で、その選考を兼ねる、ということはありえるでしょう。つまり、

  • 男性プロ優勝→パフォーマンスが優秀であった女性プロを追加指名

  • 女性プロ優勝→次点のプロ1名を追加指名

という場合分けが可能です。
前者は「追加指名」の意味合いが前述の「指名する予定のプロをわざわざ組み込んだ」という要素ではない(女性プロの中でも選考がおこなわれたから)ものになるという点で異なります。ただし、「女流だから敗者復活させたのか」というような(麻雀プロに対するものとしてはありがちな)余計な『おことば』を頂戴するおそれがあります。それでも、女性プロがその1名に留まるのならば(人数的にはたいていの場合そうなるはずですが)、結局「女性の中でも選考をした」のですから、妥当ではあるでしょう。
後者の場合も、指名した選手の成績によっては、あからさまな敗者復活に見えてしまうという点は変わりませんし、そう見えてしまうと既に指摘した通り「最初から決まっていたんでしょ」とかと考えてしまう構造になりますが、「敗者の男性プロの中でも選考をしました」とは言えなくもないですし、前述の通り「女性は1名に留めておいた方が良い」と考えるのであれば、そういうピックはまだありえるんだろうと思います。

その他今回の選考会からわかること、思うこと

以降はいくつか思うところを。

【元Mリーガーの指名】
元Mリーガーの直接の指名はないと思います。
でないと石橋伸洋プロが選考会に組み込まれたことと整合性が合わないですからね。方や「勝ち抜いてこい」といい、方や「あなたは確定指名します」では文字通り差がありすぎますし、よってその差を埋めるには「妥当な理由」が必要です。
それを満たせるのって、丸山プロくらいじゃないかなあ。人気もストーリーも現状キャリアハイと言っていいはずなので。「実力のある女性プロ」の枠で、和久津プロが再度指名、というのも「ない」とは言い切れないものの、それで言うと石橋プロだって「実力のある男性プロ」ということは言ってよく、そこのラインは同じと考えれば、やっぱり石橋プロとの差を埋められているか、という部分は難しいと思います。和久津プロ好きだし、戻ってきてくれたらすごい嬉しいですけどね(Mトーナメントにエントリされていることでだって泣いたんですからこっちは)。

【現状では単純に有名なだけのプロの指名】
これもないと思います。
どこまでを「単純な有名なだけのプロ」と括るか、が人によって違いすぎるのと、その価値をどう見積もるかも人によって違いすぎるので、微妙なところではあるのは間違いないのですが、ただ、そのようなことを言われてしまう人をそのまま指名するのなら、選考会に組み込めばよかったのですし、それでいうと現タイトルホルダーや大ベテランよりも「競わせる意味」も「直接指名したときの納得感」も出ますからね。
だって「タイトルホルダーやベテランを篩に掛けた代わりに指名されるのが有名人」とか納得感ないでしょう?それよりは「有名人(の有力者)は篩にかけたけれど、良い人を直接指名に残した」というほうが見え方も納得感も段違いです。

【「実力主義」ではない】
じゃあ逆に、「実力第一」で指名をするのか、と言えば、そういうようにも感じません。
というのも、選考会に現タイトルホルダーをエントリしているからです。繰り返しますが、今期のBEASTJapanextに与えられたドラフト権は絶大で、鳳凰位、最高位、雀王をずらっと指名することも可能でした。しかし、その各位を「敗退する可能性のある=指名しない場合が十分にある」選考会にエントリした、ということは「ドラフトできなくても構わない」と考えているということです。一瞬の盛り上げのためにそういうことをする意味は(長期的に見て)得がありませんから、必ずしも「実力だけで残りのメンバーを決めているわけではない」と言えるでしょう。
じゃあ誰なんですかね?というのは難しいですが、まあ「攻撃的な雀風」で「言語化が上手」くて「麻雀を世に広めたい」人が選ばれるんじゃないでしょうか。
あと、選考会にエントリされなかったからってあきらめてない人、はあるかなと思います。もちろんそこで「じゃあ獲るか」となる可能性は高くないかも知れないですが、逆に姿勢に幻滅されて「獲るのやめましょう」となることはありえます。普通に。

【誰に残って欲しいか】
しかしこの選考会、選出が上手くて、誰にどういう思いを乗せて応援することもできるんですよね。「雀力の高い人」を選びたいならタイトルホルダーやベテランを応援すればいいですし、女性プロはいわずもがなでしょう。ドラマのある選手という意味であれば、ここで石橋プロを選んでくるのも「解ってるな」って思います。
その中で「誰に残って欲しい」っていうのはちょっと難しいのですが(それぞれにそれぞれの残って欲しい理由があるから)、やっぱりちょっと石橋プロだけは個人的に別格感があります。「復活したキング石橋vsPirates」ってどう考えても画になりますし、それは全員が同じように思い描くもの、ベタなものだったとしても、むしろ文字通りの「王道」と言っていいでしょう。
やっぱりそれは普通に見てみたいですよね。

つらつらと書きすぎましたかね。おかげさまで脳内千鳥も脳内ひろゆきも退去してくれたようです(また来ないことを祈るなあ…w)
ともあれ、こんな感じに選考会を把握しつつ、ドラフトまで楽しんでいきたいと思います。


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