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政治主導!この夏、新型コロナ第二波がやってくる

第二波がやってくる

5月25日、緊急事態宣言が日本全国で解除されました。

安倍首相は記者会見で、「わずか一カ月半で流行をほぼ収束させることができた」と語りました。全国的にも「これでコロナは終わった」という雰囲気が出始めています。

その矢先に、28日に北九州市で21人の感染が発表され、北橋健治市長が「このままでは間違いなく大きな第2波に襲われる」と危機感を募らせました。

東京でも28日、新規感染者数が15人で、3日連続で増加しています。

これが第二波なのか、それとも第一波が収束していなかったのかは、考え方次第です。しかし、「第二波を警戒しよう」という人のなかでも、ここまで早く到来すると予想していた人は、多くはなかったようです。

政府は感染者増を予測していたのに、緊急事態宣言を解除した

実は26日、極めて重要な報道がありました。今後感染者が増加すると予想していたにも関わらず、政府は緊急事態宣言を解除したというものです。

なぜ、解除したのでしょうか。記事には凄まじいことが書いてます。

 「25日以降の数字を待つのは怖い」。前倒しの理由をそう語る政権幹部もいた。大型連休後、外出自粛などに「緩み」(西村康稔経済再生相)があったと政府はみており、2週間前後の潜伏期間を経た連休後の感染者の数字が出て悪くなれば、解除の時期を逸することも想定された。(強調は筆者)

「あと数日で第二波が来るから、今のうちに解除しておこう」というのが政権の本音だった。

これ、「もうすぐ会社が倒産しそうだから、今のうちに社債を募っておこう」というのと同じです。そんな会社が、まともな会社なわけありません。

緊急事態宣言解除の問題点

なぜ政府は、北九州や東京での感染者増のようなことがあるとわかっていたにも関わらず解除したのでしょうか?

緊急事態宣言の解除が、経済を懸念したのは確かでしょう。

解除後に経済社会活動の水準を段階的に引き上げることにも積極的だった。首相は会見で「解除基準の中に入れたわけではない」とした一方で、経済状況は「常に私の頭にある」。ある政府関係者は「直前になり、経済活動への制限を緩くする方向に議論が進んだ」と打ち明ける。(強調は筆者)

さらにその背景には、検察庁法改正案および黒川弘務「検事長」の賭博問題によって、内閣支持率が急低下している。それに歯止めをかけたかった、という思惑が見えます。

ここには問題点が二つあります。

①誤った政治主導と科学軽視の問題

諮問委員会の委員たちは、次のように証言しています。

イベント開催や観光を含む人の移動などについて、おおむね3週間ごとに緩和する考えを提示したが、諮問委員会の一人は「疫学的な根拠はなく、よく分からない」と受け止めた。
 25日午前の諮問委は政府が提示した解除を承認したが、複数の参加者が会合後の取材に「万々歳で解除をどうぞということではない」「3密が復活しそうで心配している」など懸念を示した。28日とみられていた判断時期が、首相の意向で前倒しになったことに不満をもらす専門家もいた。(中略)別の参加者の一人は言う。「(前倒し判断は)政治判断だろう。専門家側からの話ではない

専門家の抵抗の中で、解除を首相サイドが押し切ったわけです。

ごく最近、政府答弁に反して、専門家会議で一切議事録が作られていないことが明らかになっています。

専門家会議などでは、国民には公開できない議論がされているからでしょう。政府が圧力で科学をねじ曲げている、そんな議事録を残したくないからだとしか思えません。

②国民の健康よりも内閣支持率

もう一つの問題は、これが国民の健康に直結する問題だということです。

考えてもみてください。政府がやってることは

これ以上の経済封鎖をすると、内閣支持率低下が止まらない。これから再び患者数が増加するタイミングで緊急事態宣言を解除して、コロナが収束したことにしちゃおう」って話ですよ。

国民の健康を、いったいなんだと思ってるのでしょう。

確かに、「自粛要請」に、耐えられない企業がたくさん出てきている。でも、それは政府が適切かつ迅速に補償しなかったためです。そんなときのために、税金を徴収しているのです。せっかく「国民から吸い上げた」税金を、国民に戻したくないから、新型コロナを終わったことにするのでしょうか。

そもそも政府は、緊急事態宣言中にやるべきことをやっていませんでした。私が思うに、最低限、以下のことが必要でしょう。

・検査態勢を圧倒的に拡充する
・隔離施設を用意する
・検査→隔離→治療のフローを再設計する

そして、今後の感染拡大にもっとも重要なことは、

・検査キャパと隔離キャパをめいっぱい使って、より多くの感染者を発見・隔離する

ことのはずです。今、日本全体で潜在的患者が何万人いるのか全く予想もつきませんが、仮に1万人いるとしましょう。その人が1週間で倍増するなら、4週間で16万人、8週間で256万人になるのです。だから、ある程度、新規感染者が落ち着いているうちにこそ、しらみつぶしに潜在的患者を発見し、経路を特定し、隔離していかないと、後々大変なことになるわけです。

政府がそうした施策をとらなかったのは明白です。1日あたりの検査キャパは、安倍首相によれば22000件ほどのはずですが、その半分以下しか常時使っていないのです

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東洋経済 新型コロナウイルス 国内感染の状況

なぜMAXまで検査→隔離をしなかったのか。これも答えは同じ、検査を増やすと、内閣支持率に大きなダメージがあるから、でしょう。

オリンピックの延期が決まったとき、多くの論者が「これで検査体制が拡大するだろう」と予想していましたが、私は「増えない」と明確に予想していました。

一度隠蔽したことは、隠蔽し続けないといけない。検査を一度抑制し、そのあと検査数を増やしたら、政府の失敗が明らかになる。そうすると、内閣支持率が落ちて政権が持たない。だから増やせない。

そういうメカニズムが、今でも権力構造の中にあるのだと、僕は予想しています。

政治主導のツケは、まもなく国民が身体で払う

これから新型コロナ感染状況は、いったいどうなるのでしょうか。

コロナの状況に焦点をしぼって、まとめましょう。

①現在でも潜在的患者は相当数、市中に存在する。
②GW開けの緩みで、感染者が増え始めている。
③そのタイミングで緊急事態宣言が解除された。
④今後、段階的に経済解除が進んでいく。

これ、「感染拡大の飛行機」を、カタパルトで発射させてるようなものじゃないでしょうか。しかも、感染状況は2~3週間遅れでしかわからないことを考えると、「秋冬の第二波」なんてものじゃなくて、もうすでに始まっていると考えるべきです。

梅雨や猛暑のために感染が拡大しないという予想は、シンガポールの感染状況を考えれば、まったくアテにできないのです。

まして、冷房を効かせた密室で、オフィスでも電車でも過ごすことになるのです。感染を抑制する要因は、見当たらないのです。

あえて今からいっておきます

新型コロナがあっというまに感染拡大するでしょうが、それはすべて安倍政権の失政です

もちろん、安倍政権が倒れるのは自業自得です。

しかし、安倍政権のツケを、我々国民が身体で払わされる。それを回避するためには、せめて、私たちや家族、大切な人の生命を守るためには、私たち一人一人が最大限の警戒を怠らないことが重要です。

追記

東洋経済の計算によれば、5月30日の時点で、実効再生算数が1.2を超えています。

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東洋経済 新型コロナウイルス 国内感染の状況

これは非常に深刻な事態です。なぜなら、感染してから陽性が確定するまでのタイムラグを考えると、5月30日時点での実効再生産数は、5月中旬の感染状況を表しているからです。緊急事態宣言中に、すでに抑制が効かなくなっているのです。

解除の結果が出始めるのは、おそらく6月半ば頃からでしょう。その時点から、再び指数関数的に感染者が増え始める。我々としてはそのつもりで警戒した方が良さそうです。

最後に

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