見出し画像

新型コロナ対策の失敗と憲法改正

安倍政権は、感染拡大を国民に責任転嫁しはじめた

7月2日、東京都内の感染者が107人、3日には124人を超えました。

2日には全国でも195人を数えており、東京に限らず全国的に拡大感染傾向にあると考えて良いでしょう。

この事態に対して、西村やすとし担当相は、次のように述べました。

もう誰もああいう緊急事態宣言とか、やりたくないですよ。休業もみんなで休業をやりたくないでしょ。これ、みんなが努力をしないと、このウイルスには勝てません。また同じようなことになります。(強調は筆者)

安倍首相もまた、政府の対策について記者団から質問されたところ、西村担当大臣から詳しく話したと完全に丸投げしています。

安倍政権の考えは、国民の努力不足こそが感染拡大の原因だというものなのです。

7月2日に明らかになったとおり、政府は特措法(改正新型インフルエンザ特別措置法)を改正し、都道府県の指示に店舗などが応じない場合、保健所などの立ち入り調査により状況を確認した上で、罰則を科すことを検討しているのです。

感染者拡大の責任は、安倍政権にある

しかし、これは完全に責任転嫁です。新型コロナウイルス感染者拡大の責任は、安倍政権にあるからです。

後知恵で言っているのではありません。私は5月29日の段階でこう書きました。

あえて今からいっておきます
新型コロナがあっというまに感染拡大するでしょうが、それはすべて安倍政権の失政です。
解除の結果が出始めるのは、おそらく6月半ば頃からでしょう。その時点から、再び指数関数的に感染者が増え始める。

どうして私がそう結論づけたのか、以下、簡単にまとめます。

①GWの緩み(西村担当相)もあって、5月25日以降に感染者が増えることを政府と専門家は予想していた。
「感染者が増え始めると解除できなくなるから」という驚くべき理由によって、安倍首相の意向で緊急事態宣言が解除された
③その時期、黒川「検事長」等をめぐって内閣支持率が急低下しており、なんとか歯止めをかけたいという政権側の思惑があった。
④感染者が増え始めてるところに緊急事態宣言を解除したわけで、すでに感染拡大フェーズに入っていると考えるべき。

あらためて要約してみましたが、現段階で、残念なことに私の予想は外れませんでした。

要するに、安倍政権は政権維持のために「コロナが収束した」ということにした、それが5月24日の緊急事態宣言解除の実態だったのです。その当然の帰結として、現在、感染者の指数関数的に増加しているのです。

コロナ対策失敗と憲法改正の背後にある、歪な社会思想

そして今。実際に感染拡大が可視化されてきたら、今度は国民の責任にすべてなすりつけている。これが安倍政権がやっていることです。それも、すべて予想の範囲です。

安倍政権がすべて国民に責任転嫁すると予想していたからこそ、「これから感染拡大するけど、これ全部安倍政権のせいだからね」と、予め釘を刺すつもりでNoteを書いたのです。

そもそも安倍首相が憲法改正を行おうとする背景にある思想は、「悪いことが起きたのは国民のせいだ」というものです。安倍の政治思想を表すテーゼは「戦後レジームからの脱却」ですが、それは本人によれば「命をかけても守るべき価値の再発見」です。

戦後GHQに押しつけられた日本国憲法のせいで、国民はワガママになり日本はダメになった。だから、憲法を改正して、国家のために自己犠牲する国民へと作り替えることで、日本を復活させるのだ。

―これが、安倍晋三とその周辺の政治思想です。

その思想が、また今回のコロナ対策失敗の大きな原因でもあります。緊急事態宣言を出し経済活動に制限をかけるなら、生活も補償しなければ、国民の多くは生きていくことがままなりません。なのに政府はこれ以上の補償をしようとしません。

お金がないから補償しないというワケではないことは、電通やパソナに多額の中抜きを許していることからも明らかでしょう。

そうではなくて、「国民にお金を施すとワガママになる」という歪な社会思想が、国民に一方的に自粛を要請し、一方的に負担を押しつける選択肢を取らせているのです。

本来行うべき対策は、徹底した検査と隔離

では、どうすべきだったのか。

私は、緊急事態宣言を出すべきだと主張しているのではありません。そうではなく、経済を回しながら感染拡大を抑制するためには、徹底した検査と隔離を行うしかない、と考えています。逆に言えば、莫大な検査態勢と隔離・治療体制さえあれば、経済活動を抑制する必要はありません。その方が、遙かに政府としても安上がりで、国民の負担も少なかったはずです。

その当たり前の対応を、安倍政権は政府は怠ってきた。五輪前は、感染を少なく見せるために。そして、五輪後は、それまでの対応の失敗を可視化しないために。

そして、それを「知ったかぶり」で大きく後押しした「専門家」たちもいました。

9月には、日本全国の感染爆発が可視化される

これから先の予測を述べておきます。

まず、感染者拡大が可視化されると政権がもたないので、徹底した検査キャパの拡大と隔離という政策へと、安倍政権が舵を切ることはありえません。むしろ、これまで以上に検査抑制を行おうとする可能性のほうが高いでしょう。

そして、今後の染者急増の可視化状況にも依りますが、政府が緊急事態宣言を容易には出さないでしょう。仮に出したとしても遅れに遅れるでしょう。なぜなら安倍政権にとって、政権維持こそが政治判断の指針だからです。

すでに旅行業界は死活問題になっているわけで、8月のGoToキャンペーン撤回によって政権支持基盤が揺らぐ可能性が高いからです。

なので、よほどのことがない限り8月のGoToキャンペーンは実行されるし、それまで緊急事態宣言を出すことはないでしょう。

ともあれ、このキャンペーンは大成功することになるでしょう。感染者が増えている地域から、夏休み・お盆休みに脱出したいというニーズを、キャンペーンが大きく後押しするからです。

その結果は自明です。9月には、全国的な感染爆発が可視化されているはずです。その時に、安倍政権はどのように切り抜けようとするのか。その先にあるのは、国民への徹底した責任転嫁であることだけは確かでしょう。

私たちは、コロナ対策の大失敗を、憲法改正へと繋げようとする動きには十分に気を付けるべきだと思います。

あとがき

読んでいただいてありがとうございました。

これまでも多くの方にサポートをいただき、本当にありがとうございます。

個別になかなかお返事できないので、この場を借りて御礼を申し上げます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?