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時代考証は損な役回り

時代劇など主に歴史ものの映画やドラマで必要とされる『時代考証』というお仕事。

映画・テレビの映像作品や演劇などで、用いられている衣装や道具や装置、風俗や作法[3]などが、題材となった時代のものとして適当なものか否かについて考証すること。専門分野に応じて美術考証(びじゅつ こうしょう)・衣装考証(いしょう こうしょう)などとも呼ばれる。また略して単に考証(こうしょう)ともいい、監修(かんしゅう)としてクレジットされることもある。
セリフの言葉遣いや名称・呼称、制度、史実との整合性なども考証対象とされる。歴史ドラマや時代劇について語られることが多いが、近代・現代を扱った作品でもこうした業務は必要とされる。

Wikipediaより

つくづく損な役回りだなと、現在放送中の「どうする家康」を観ながら思ってしまいました。

信長に会うため元康(家康)が訪れた清須城。

どうする家康 第四話

思わず鼻で笑っちゃいました。
いったい、いつの時代で、どこの城なのか。
さすがにこれはありえないだろうと。

ですが冷静に考えるとこれはおかしなことです。
実際の清須城はこうだったかもしれない。
清須城を描いた絵画や史料があったとしても、あくまで史実は史実で事実とは限りません。
実物をその目で見た人はいないのですから。

ありえないと思った要因は”戦国時代とはこうあるべし”という長年植え付けられてきた固定概念でしょう。
大河ドラマをはじめとした時代劇、歴史ものの漫画・アニメ・ゲーム。
伊達政宗が「レッツ・パーリィ」と言っちゃうような奇抜な作品は別として、多少の差異はあれど誰もが思い描く”The戦国時代”のイメージが存在しています。暗黙の了解な歴史観とでも言いましょうか。

そこから逸脱すればするほど違和感が大きくなり、人によっては拒否反応を抱いてしまいます。
作品にとっては不要なノイズです。
純粋に物語を楽しめなくなる。

でも、今まで通りのお城や衣装にすれば、
「ありきたりでつまらない」と言われ、
斬新なお城や衣装にすれば、
「ありえない。『時代考証』仕事しろ」と言われます。

どちらに寄せても結局クレームは来る。
八方ふさがりとはまさにこの事ですね。

では、どうすればいいのか。
おそらく時代劇において多くの視聴者が求めているのは、
「基本的には今まで通りで、最新の研究結果を取り入れた程よい斬新さ」
なのではないでしょうか。
従来のイメージ8割、新解釈2割ぐらいかと。

今年の大河ドラマ「どうする家康」は、従来のイメージをぶっ壊そうというテーマがいささか先行しすぎているように感じます。
今後軌道修正されるのか、このまま突き進むのかわかりませんが、どうせなら貫き通してほしいです。
きっとこの調子なら安土城が空飛びますよ。
「あらゆる史料を確認したが”安土城が空を飛んでいなかった”と書かれたものは存在していない」と、天空の城アヅチが爆誕。

何をやっても批判される『時代考証』。
まっこと、損な役回りぜよ。




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