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四季を司る女神

日本には四季、すなわち春夏秋冬それぞれを司る女神がいらっしゃることをご承知でしょうか?

春は、佐保姫(さほひめ)。

夏は、筒姫(つつひめ)。

秋は、竜田姫(たつたひめ)。

冬は、宇津田姫(うつたひめ)。

順々にご紹介いたします。


春を司る女神
佐保姫(さほひめ)

五行思想で春は東の方角にあたるので、かつて平城京の東にあり古くから桜の名所として知られていた佐保山に宿っている神霊佐保姫が、春を司る女神とされたそうです。
佐保姫は春の季語であり、春をイメージする和菓子としてもその名は伝わっています。


夏を司る女神
筒姫(つつひめ)

一説には「筒姫の”筒”は井戸から生じた名前。筒姫とは、水の恵みを具現化した神様」と言われてますが、詳細不明な謎多き女神です。
五行思想で夏は南ですが、平城京の南にそれらしい場所や伝承は今のところ発見されていません。


秋を司る女神
竜田姫(たつたひめ)

五行思想で秋は西。かつて平城京の西に位置し紅葉の名所であった竜田山の神霊竜田姫が秋の女神となります。
裁縫や染めものを得意とする女神としても知られ、別名「錦秋の女神」。
「佐保姫は春の野山を彩る女神、竜田姫は秋の草木を染める女神」と、春の佐保姫とは対をなす存在です。


冬を司る女神
宇津田姫(うつたひめ)

五行思想で冬は北。平城京の……といきたいところですが、こちらも詳細不明で謎多き女神です。
他に「黒姫」もしくは「白姫」とも。「黒姫」は五行思想で冬は黒にあたることからきているのではないかと言われています。「白姫」は雪のイメージでしょうか。


現状、佐保姫の初出は『宇津保物語』(10世紀末)、龍田姫の初出は『古今集』(10世紀初頭)と言われていて昔から信仰されているのに対して、「筒姫」の初出は『二十五絃』(1905)、宇津田姫の初出は『匠材集』(1597)とかなり時代的に開きがあります。

どうせなら春夏秋冬揃えようと追加したのか、それとも史料が未発見なだけなのか。
現在では四女神とも季語として親しまれている以上、詮索は無粋なのかもしれません。
ミステリアスなほうが魅力的ということで。


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