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素敵な「もの」の世界#3~いつか旅立つ「感謝の時計」~

独身の頃購入し、とても気に入っていた時計がありました。メーカーは「ロンジン」。華奢なデザインで、つけたときに腕にシャラン、と馴染み、見るたびに好きになる時計でした。

長女を出産した後に実家に2週間ほど滞在し、いよいよ家に戻る、という時、持ってきたはずの時計がどこにも見当たらなくなってしまいました。すごくがっかりしたけれど、なんとなく「長女を見届けていったのかな」と思ったりして、いつまでも執着するのはやめよう、と思いました。長女が生まれたのは1997年、今から27年も前のこと。

執着するつもりはなかったのだけれど、その後なかなか気に入ったものに出逢うことがないまま時が経ってしまいました。時計がないと不便なので購入したり、譲ってもらったりしたものを使っていたのですが、なぜがどれも動かなくなってしまう、というトラブルに見舞われ長く使うことができずにいました。

数年前、ネットで中古の「ロンジン」の時計を見かけました。ハッとするほど惹かれたものの、実はその少し前にようやく好きになれる時計に出逢い、それは止まることなく動いてくれていたので購入せず。でも、その後も何度も目にしては「まだ売れていないんだ」と心が揺れました。

とうとうある時に「このままだと後悔する」と思って購入。それはやはり私の腕にとても馴染みが良くて嬉しくなりました。デザインは違いますが(前の時計はフェイスが丸でした)、今の私にはこちらのデザインの方がより合っているように思いました。

この時計をK先生に見ていただこうと思い立ちました。ちょうど長女が帰省して「石の勉強会」に同行することになっていたので、なくなってしまった時計のいきさつも含めてお聞きする機会だと思ったのです。

時計を手にした先生は、しばらくじっと見ていました。そして「これは男性のエネルギーを強く感じる。一番強く感じるエネルギーは感謝」と。そして「これはすごく良い時計だよ。でもいずれ次に行くことになる。その時は、購入した時のようにネットに出したりしてもいいかもしれない。こういうものは、決して変な人のところには行かないから。必ず相応しい人のところに、求めている人のところに行くから」とも。

私は内心「やっと出会えた時計だからずっと一緒にいたかったな」と思いましたが、これまでの経験から、物の想いに答えること、その想いを生かすことが何より大事だということを学んでいます。だから「その時が来た」と感じた時は、一番良いと思う方法で次の方に渡したいと思っています。

「物にはそうやって人のエネルギーが宿るんですね」と私が言ったところ「そうだね。でも物によるかな。宿るものと宿らないものがある」と。私が「それは物がどのように作られたか、ということとも関係するのでしょうか?例えば時計作りに誇りを持っている会社が作ったものだから人のエネルギーも宿る、とか」とお聞きしたら「それもあると思う」とのことでした。

時計を私に大事そうに返しながら「素直、純粋、ストレート」という言葉も伝えてくれました。他に見ていただきたい石などがあったので、「それは誰のエネルギーですか?」とお聞きしなかったのですが、そういうものも宿っていると思うとますます愛しくなります。

それから、長女が生まれた時になくなった時計に関しては「エネルギーが消えている。たぶんこの世にはないと思う。役割を終えたのかな」とのことでした。初出産という大仕事を見守って見届けてくれたのかしら?証明はできないけれど、そう思って感謝したいと思います。

きっと、みなさんが「とても魅かれる」「大事」「大好き」と思っている物たちにも、素敵なエネルギーが宿っているのではないかしら?そして守ってくれているのではないかしら?ぜひ時間のある時に、ゆっくり手に取って対話してみてください。

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