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3月のネコ

白黒ハチワレ猫の”こぐま”が慢性腎不全だということが判明したのが12月。その2ヶ月前には母が血液がんに罹って寛解しないということを知らされていたことも重なって、死というものが、具体的に感じられるようになってきた。

母は「こぐまと一緒にあと10年は生きる」と決心している。こぐまと母にとって10年は長く、私にとってはどうしようもなく短い。

これまで年に一回しか帰省していなかったけど、近くに住むことだって視野に入れ始めるくらい、会えなくなるということが怖い。

3月。月一の血液検査を終え、動物病院から歩いて帰る途中、ペット用のキャリーケースで丸まっているこぐまを見ていると涙が止まらなくなった。

いつかは絶対に消えてしまうと分かっているからこそ、今この瞬間に愛情を注げるんだろうか。

……なんてことを、300万年前の原始人もきっと考えていたんだろうなあ。


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