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【Event】バーチャルマーケット2023リアルinシブハラ 現実に重なる仮想のレイヤー

2023年12月16日と12月17日の2日間、原宿と渋谷の両地域においてリアルイベント「バーチャルマーケット2023リアルinシブハラ」が開催されている。
当記事では大まかなイベント会場の様子や次の会場へのルート上の景観などについて記述する。


スタート地点のヒンメルブラウ原宿

 JR山手線原宿駅を背に竹下通り口の出口から前を見れば、そこに見えるのは人で賑わう竹下通りだ。
原宿は高齢者の街と言われたのも過去の話であり、現在は若者向けの流行発信地として様々なショップが所狭しと並んでいる。

 そんな竹下通りを入ってすぐの所に、風船や看板で飾り付けられたゲートが見えてくる。
それが今回の原宿側会場かつ総合サービスイベントカウンターが設営されている、ヒンメルブラウ原宿だ。

同建物の一階部分がイベント会場となっており、わたあめの販売やウェルカムボードの設置、更には一番奥にかなり大きめのブースでスーパーマーケットを運営する「株式会社ベルク」が鎮座。
今回色々と怒られが発生しそうなスーパーベルクカート∞(インフィニティ)の宣伝もしっかりと行っている。
なお他の会場にいるマスコットキャラクターを写真に収めて(旧Twitter)に投稿すると、もれなく記念グッズがもらえるそうだ。
イベント会場が原宿の竹下通り、それも入口側とあってこの短距離ですら到達するのが非常に困難な程に賑わっており、今後の会場の人の入りも容易に想像できるという程であった。

大賑わいの竹下通りとワーフ原宿

 竹下通りは原宿駅前から東に伸びる商店街であり、先述した通り様々な店舗が軒を並べる場所だ。
ここはVRChat内の会場でも同様に再現されており、左右を見渡せば企業展示ブースも含め「ごった煮」の様な状況となっている。


 竹下通りをひたすら東へ歩いて、正面のやや遠い距離に明治通りの交差点が見える辺り。
建物側面に大きな階段が目立つ建物がワーフ原宿だ。
このワーフ原宿の会場は2層構造になっており、地下一階では多くのクリエイターがブースを出す「パラリアルクリエイターエリア」がある。
連日多くのクリエイターが入れ代わり立ち代わりブースを出すこのエリアは、交流目的で訪れるユーザーも多くメッセージボードも用意されている。
一階部分は幾つかの企業・団体展示があり恒例となった謎のマスコットAKYOガチャやリアルの動作をアバターに反映させコミュニケーションが取れる「アバターミーツ(ワーフ原宿バージョン)」も用意されている。

 なおこのワーフ原宿付近は特に呼び込みの激しい場所である為、訪問する際は必ずバーチャルマーケットのスタッフが居る入り口(一階部分は竹下通り沿い)から建物内に入る事が必要だ。
その他の場所から入ろうとすると無関係な店舗に入る事になり、不要な物を買わされてしまうといったケースが頻発している。注意深く入り口を探してみると良いだろう。

BEAMSとキャットストリートをぐるり周遊

 明治通りの交差点を右手に曲がりしばらく歩くと見えてくるのは、原宿にある「ビームスF/インターナショナルギャラリー ビームス」である。

場所の名称が全てを語っている通り、今回バーチャルマーケット2023Winterに出展しているBEAMS(株式会社ビームス)のリアル店舗だ。
この建物の3階では体験イベントの他、実際にバーチャルマーケット内で出展している服装の現実版のコーデをお目にかかる事が出来る。
もちろん壁にもBEAMSらしいタグが刻み込まれており、ファッションブランドならではの格の高さを存分に味わう事が出来る。
なおリアル店舗にベニスマンのフィギュアなり何なりを置きたかったとは担当者の弁である。
こちらでインタビューできた諸々の内容については、後日別記事にて公開予定の為お待ち頂きたい所だ。

 竹下通りから明治通りを突っ切って、原宿通りをしばらく歩いた所で右側に見えてくる少しおしゃれな通り。
これが通称キャット・ストリート、正式名称「旧渋谷川遊歩道路」だ。

以前の記事でも紹介した通り、原宿と渋谷を繋ぐ広めの歩道といった作りのこの道路。ファッションブランドをはじめ流行のお洒落に敏感な層ならば一度は足を踏み入れる様な店がみっちりと左右に詰まっている。
その様相は生活の為の通りではなく、文字通り「ファッションの為の通り」と言ってよく、それでいて銀座の様な高級路線とはまた別のストリートアパレル感を全面に醸し出した物となっている。
もちろんバーチャルマーケット2023Winterではこのキャット・ストリートも再現されており、そこに連なる表参道やショッピングモール「GYRE」の様な建物、神宮前歩道橋とリアルにある景色を上手くバーチャル空間に落とし込んでいる。

密な古民家的団らんのアンノン原宿

 キャット・ストリートを渡り少し脇道に逸れて西側に進んだ所にある小さな建物、それがアンノン原宿だ。

こちらは和風のこぶりな展示会場の様になっており、そこではワーフ原宿とはまた別のクリエイターが集う「パラリアルクリエイターエリア」やフォトスポット、定点カメラの様にVRChat内の様子を映す「メタバース百景」などが用意されている。
こちらも多くのクリエイターがひしめき合う状態であり、エリアの外も中も人で溢れかえっている状況だ。
なおVRChat公式キャラクターの「VRCat」のパネルも展示されており、リアル自撮りも可能な構図となっている。

構造上のエスプリとなるミヤシタパーク

 キャット・ストリートの終点となる明治通りとの交差点に建っているのは宮下公園の改修後に出来た大規模商業施設、ミヤシタパークだ。

今回のバーチャルマーケット2023Winterに直接的な関連性は無いものの、会場内にあるアーチ状の天蓋構造や全体的に閉所感を持つ通路といった要素はその造形に一部影響を与えているのではないかと筆者は推測をしている。
あくまでこれは個人の推測であるため確定情報ではないが、現実世界でキャット・ストリートからSHIBUYA109付近に出ようとする場合は突き当たる場所である為、ここに関連スポットとして記載しておく。

多くの人々が行き交うSHIBUYA109のリアルとバーチャル

 今回複数の会場で用意されている「アバターミーツ」の中で、最も大きい3人同時に楽しめるバージョンが設営されているのがSHIBUYA109だ。
渋谷と言えばハチ公像と共に親しまれるランドマークとして、ある種渋谷の象徴とも呼べるこの場所は多くのイベントも軒先で行われる渋谷の一等地と言っても過言ではない。

今回はなんと一度に3人まで参加可能なアバターミーツが屋外に展示されているのである。
大勢の人がエリア前を通りながら、興味や好奇心をもってアバターが動く様子を見守る様は先日開催された「バーチャルマーケット2023リアルinアキバ」を彷彿とさせるものである。
もちろんその人口密度は先日の比ではなく、のんきに写真を撮ることも出来ない程に押し流される勢いだ。
それだけ多くの人の注目を一身に浴びたのである。
今回は複数の会場が用意されているという点は大きな違いではあるが、今回はそれ以上に大きな点として渋谷にもう一会場開催地点がある。
それが渋谷側のイベント会場、Shibuya Sakura Stageだ。

誰もが集まれるオープンイベントスペース Shibuya Sakura Stage

 Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)に最初訪れた人は誰もがこう思うだろう。一体どこでイベントがやっているのだろうかと。
筆者もそうであった為、会場までの到達ルートもある程度記載する。
同施設へ訪れるポピュラーな方法として、渋谷駅西口歩道橋デッキから歩いて施設の2階エリアへ入る方法が挙げられる。
ただしこの施設はこれ以外に同名の施設が複数存在するため、近隣にある「渋谷フクラス」から直結しているデッキを辿ると迷わずに行けるだろう。
会場内に到着したら、案内看板を右手に奥の通路へと進み、左手側に見えるエスカレーターもしくは階段から3階に上がればイベントフロアにたどり着ける。

 この会場で目を引く要素の一つは、巨大なスクリーンに投影された「クリエイターミーツ」である。
これはスクリーン下部のお絵かきエリアに描かれた物が、スクリーン上部のクリスマスツリーの飾りとして表示されるというものである。
しかもこのコンテンツは今回だけのものではなく、蓄積されたデータを纏めた物をVRChat向けに後日提供するというのである。
その為参加したVRChatユーザーの記録としても利用出来るのだ。
こちらはアバターミーツ同様、VRSNS「Resonite」で設計・稼働しており、担当者によれば1年程の学習でこれだけのコンテンツが作成出来たとの事である。
VRChat側と相互にシナジーを高める運用が出来るなら、双方にとって良い物となると語っていた。


 また会場内にはアバターミーツも用意されている他、スペシャルステージも設営。
今回のバーチャルマーケット2023リアルinシブハラではこちらがステージイベントの会場となっているため、それを楽しみたい人はこちらにアクセスする事をオススメする。
もちろんAKYOガチャも会場内に用意されており、渋谷側は原宿側とは違うシークレットが用意されている為狙ってみるのも一興だろう。
今回は他にもなんと大手飲料メーカーのサントリー株式会社が、自社のノンアルコールビールである「オールフリー」をブース内で配布。
多くの参加者がノンアルコールビール片手に乾杯する様子も見て取れた。

交差するリアルとバーチャルの新しい形

 今回の記事でもお気づきになった方はいるだろうが、幾つかの写真において現実世界の写真と共にVRChat側の写真も掲載をしている。
筆者は今回バーチャルマーケット側で先に原宿と渋谷を練り歩き、そして今回リアル側で原宿から渋谷までを歩く事となった。
今回のリアルイベントの導線も含めて見えてきた要素は大きく2つある。

 1つ目はリアルイベントという事もあり、多くの一般の人々の注目を浴びるという事だ。
Meta Quest3を宣伝しているからといって、まだまだVRSNSといったコンテンツの知名度は日本ではそう高くない。
ましてゲームプラットフォームであるSteamは影も形も知らないという人の多さは推して知るべしである。
そういった中でアバターを使ったコミュニケーション手段があり、しかもそれは既存のゲームコンテンツの様な物ではないリアルタイム性を持っているとアピール出来る機会は貴重なものである。
その上今回の会場はどこも人目に付くエリアであり、特にShibuya Sakura Stageには親子連れの姿も見えるなど、前回以上に多くの層にアプローチ出来たのではないだろうか。

 そして2つ目が現実との「境界の重なり」である。
これまでVRSNSで話題となった空間に関しては観光地の1区画、あるいは観光地の名所をつなぎ合わせたものであり、その構造上リアルさを追求するには諸々の限界があるものであった。
だが今回実際に竹下通りやキャット・ストリートといった実際にある土地を歩く事で「ここはバーチャルマーケットで歩いた所だ!」とおのぼりさんツアーばりに写真を撮ってしまったのである。
まして原宿という場所はこういった機会が無ければ訪れなかったであろう可能性は非常に高い。

 今回株式会社ビームスの様な「バーチャルで出している店舗と近しい位置にリアルの店舗があり、かつそこでイベントを行っている」という要素があったことも非常に大きな特徴であった。
現実の企業や建物などと企画をリンクさせようとすると、どうしても現実における立地が課題となってしまう。
今回の会場が竹下通りからスタートした点は非常に大きく、現実で見た風景/バーチャルで見た風景にバーチャル/現実からアクセスする事が出来るという点は、今後の地域活性化策としての仮想空間の利用も含めて大きなモデルケースとなったのではないだろうか。
「ただ再現するだけではないワクワク感」がそこにはたしかにあったのである。

 「バーチャルマーケット2023リアルinシブハラ」は12月17日まで開催されている。
是非冬の思い出作りに出かけてみてはいかがだろうか。

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