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久しく

人に触れられない身体は些細なことで波が立つ。

背中に、腰に、肩甲骨に。
衣服に包まれた何気ない場所であっても、寧ろ何気ない場所であるからこそ、そこが痺れたように際立って感じることがある。

何とも思わぬ見ず知らずの人が触れたならば、それはアクシデントとして吸収され、万が一にもそこに意図のようなものが感じられたとしたら、あるいは嫌悪感が先に来る。
快く思わない相手も同様。

知人、それも憎からず思う人が意図せず触れたのであれば、それはそれでやむを得ぬこととして、また違う意味でアクシデントとして吸収される。

さてそれが、少なからず好意を寄せる人が触れたのであれば。

意図の有無から動作まで、全て考慮の対象となり、深読みと、意味などないアクシデントとしてやり過ごそうとする考えと、何か意図があって欲しいと思う願望と、こんなにも戸惑うのはこちらだけで先方には特に何もないに違いないという先回りの諦めと、色々な色々に翻弄されて波紋が広がる。

全ては甘い妄想、泡沫の夢。

静かに波が収束するのを待って、そして私はまた日常を生きていく。


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