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雪がとけたら何になる?


今朝は何故か目覚ましのベルの音もなく、ただぼんやりと、ゆっくりと目が覚めた。
窓の外からポチャリポチャリと雫の落ちる音……なにやら静かに雨が降っているようだ。
目覚めたばかりなのにどういうわけか、アタマの中が妙にスッキリとしていて。

とりあえず、いつものように白湯を飲む。
小一時間経ったころ、お腹の虫が空腹サインを出して来た。今日も絶好腸のようだ(笑)
軽く朝ごはんを食べてから、本日の予定が空白になったカレンダーとにらめっこした。

今日は雨のようだし……どうしようかな?

そう云えば、今年はあまり雪が降らない。
生活的には過ごし易いけれども、去年のように半纏を着つつもカラダを少し震わせながら
〝さっみぃ……早くあったかくなんないかな〟
などと独り言ちつつ春を待つ、……そんな情緒が足りないような気がするのだ(笑)


リビングの二人がけソファーにカラダのすべてを預けながら、見上げるアイフォン画面の「書く習慣」と表示されたアイコンを徐ろにタップした。今日はどんなテーマなんだろ?
開いた画面の左上に《冬晴れ》というテーマが表示されていた。冬晴れかあ……遠くを見つめるようにアタマの中で、これまでの人生で見てきた光景が早送りの映像で流れた。記憶の中に落ちている言葉の数々の中から、直感で幾つか拾い上げる……こんな感じで書いてみようか。

ソファーに座り直してテーブルの上にアイフォンを置く。そして代わりに、ゆるゆると湯気をのぼらせている温かい珈琲カップを手のひらが暖まるように持つ。心臓の高さで両手で包んだカップからのぼる香りを楽しみながら、これから書こうとするイメージを思い浮かべた。

自分の息づかいでカップの湯気が優しく揺らぐ。そして京都イノダコーヒーの落ち着いたコクを感じる香りが、そのイメージをより鮮明に豊かなものにしてくれた。


テーマ/冬晴れ


冬の空はどんよりとしていることが多い。

それでも青い空が見えて、
冷たいながらも温かいヒカリを感じる日なんかは
季節の中でも一番、空は澄んでいる。
だから陽のヒカリが余計に明るくさえ感じる。
地面を覆う雪に落ちた木漏れ日も清々しく
爽やかなくらいに揺れて踊っているようだ。

冬だからこそ見られる貴重な、かけがえない空。
季節とともに暮らしていた昔の人たちは
そんな日を〝冬日和〟と云ったものだ。
小1だった頃、祖母とコタツに入って蜜柑を食べ
ながら、縁側の窓の外を眺めていたら
「冬日和だねえ。外出て空見ながら散歩しよ」
と優しく話し掛けてくれたっけ。

またあるいは、空は晴れているにもかかわらず、
小さな小さな、手に乗るとすぐに水滴になる雪が
少し暖かい陽射しの中をちらちらと舞う……
そんな〝風花(かざばな)〟が見られる日もある。

私が子供だった頃は
厚着をして手袋をして〝凍晴(いてばれ)〟の空に
四角い凧をあげてわいわいとしたものだった。

冬晴れとひとことで云っても
いろんな姿があって、そんな冬だからこそ
心を豊かにしてくれる天気模様だよなって思う。
そんな冬晴れの日に空を見上げながら
もし、こう訊ねられたら……なんて思うだろう。

「きみは、雪がとけたら何になると思う?」


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