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振り向くと君の優しさ

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私を私らしくしてくれた人生でかけがえのない二人。一秒の無駄もなく彼女たちと過ごした時間を愛せていたから、彼女たちが遺してくれた優しさを糧に、残りの人生を強く生きようと思える。その… もっと読む
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10年前、この手紙が私に届いていたら。

10年前、この手紙が私に届いていたら。

10年前、この手紙が私に届くことはなかった。
でも、並行したもうひとつの私の世界では……と、
一縷の望みを託して。

10年前の私へ。
そう、今の君に宛てて手紙を書くことにした。
だから、この手紙を君が読んでいるのは2014年であってくれることを願う。
よく聞いてくれ。
君は、自分の人生の中で一番、自分の気持ちに嘘をついていた……自分を欺いていた。後悔が先に立ってくれたらいいのに。君は4年後の20

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11年目のバレンタイン。

11年目のバレンタイン。

(*)見出し画像は、Image by gpointstudio on Freepik よりフリーダウンロードしたものです。

11年前の今日、2013年2月14日。
ブルガダ症候群と診断され、新潟市民病院での手術で、私の左胸にICD(植え込み型除細動器)が植え込まれた日です。

術後、私の看護計画の担当に入っていなかったにも拘わらず、まめに私の病室へ様子を見に来てくださっていた看護士さんが

「神

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〝忘れないで〟~勿忘草とマーガレット

〝忘れないで〟~勿忘草とマーガレット

vergissmeinnicht ふぇあぎすまいんにひと

〝僕のことを忘れないでください〟

騎士ルドルフはそう言って、最後の力を尽くしてこの花を恋人のベルタに投げると、ドナウ川の流れに飲み込まれてしまった。
ベルタは彼のお墓にその花を添えて、彼の最後の言葉をその花に名づけた。

◆◇𓏸✧︎✼••┈┈••┈┈

私はこの水浅葱色(みずあさぎいろ)の小さな花が愛おしく思ったものだ。女性の男性に対

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《やさしさのすれ違い、切なくて》

《やさしさのすれ違い、切なくて》

過去を振り返ってみて、改め学びを得たような気がします。これからお話すること。それは……

〝本物の優しさって云うのは、
その優しさのために、そのことで自分がどんなに痛めつけられるとしても、それを成し遂げようとする覚悟があってこそ、与えられるものなのかもしれない〟

という私の本当にあった実話になります。以下、
長い話になるので、ここで読み終えても構いません。

まだNoteの仕組みがよく分かってい

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《わたしと一緒に踊りましょう》

《わたしと一緒に踊りましょう》

ミッドナイト。真夜中……
その言葉を聞くと私は思い出すことがある。そして
それと同時に、Carpentersの『Slow Dance』を
聴きたくなる。

私が社会人になった年、1990年の夏のこと。

東京で就職はしたけれど、お盆休みは東京で過ごすことなく、6歳年下の美樹と新潟へ帰ってきた。彼女は玉女短大1年生だけれど、私と同じ新潟っ子。
彼女が短大を卒業したら一緒に新潟へ戻って結婚しようと約束

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《ナンキンハゼの並木道で》

《ナンキンハゼの並木道で》

初めて一緒に歩いたのは、君が小学6年生だった頃の秋のことだ。当時、私は高校2年生で、夏休み前に中学校教諭をしていた母親の知人を通して「個人的に家庭教師をしてくれる人を探している」と紹介されたことがキッカケだった。最初に会ったときは、小生意気な女の子だなあって思ったものだ。

一学期の期末テストで算数の点数が34点。もともと算数だけは苦手のようで、何が分からないのかが分からないといった状態だった。

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君のことで夢を見ていたい~天国の君へ。

君のことで夢を見ていたい~天国の君へ。

雪混じりの雨の降る週末、ひとりで街に出た。
たくさんの開いた傘で賑わう交差点、歩行者天国。
そのスクランブルの一角にあるスタバの開けた大きなウィンドウに、交差点内を行き交う人達の姿と店内に座る人達が重なって映っている。まるで夢と現実のはざまの流れのように思えた。

もしもあのとき、ふたりして違う決断をしていたら……と思うと、もしかしたら今ごろは君と一緒に夢を選ぶように楽しい毎日を過ごしていたのだろ

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《大空》

《大空》

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今日のテーマ《大空》にまつわる思い出を、
飾らない想いで、浮かんだままに綴ってみた。

眩しいくらい笑っているように見える空がある。雲がひとつもなくて、それはまるで一番最初のピースをこれから嵌めていく、まっさらなパズルのような空だ。そんな真っ青な大空を見ると、ぐっと手を伸ばしてみたくなる。いや実際、伸ばしているのだけれども。

10年前の2013年2月14日に、私はブルガタ症候群と

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いまも心のなかで息づく、馳せる想い

いまも心のなかで息づく、馳せる想い

今はもう、それは遠い過去のことだと思っていた。いつだったかの自分が良かれと思って選択した自分の答えが、今という未来を導き、自身を今に繋げてきた。そんな想いで、歳月を遡るように記憶を辿りながら指を折って数えてみた。遠いと思っていた過去の出来事もたかだか11年でしかないことに気づいて、自分の自伝的記憶の弱さに色を失うほどのショックを受けた。

なんてことだろう、忘れてはいけないことを忘れていたんだ。…

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