【IronFX】 マイクロソフト株が史上最高値を更新
2024年1月最終週、マイクロソフトの株価が史上最高値を更新し、同社の時価総額が史上初めて3兆ドルを超えた。3兆ドルの大台を超えたのはアップルだけで、マイクロソフトの快挙は注目に値する。この驚異的な業績は、同社が生成AI（ジェネレーティブAI）ソフトウェアに参入するというニュースに続くものだ。
ウォール街の投資家たちは、数十億ドルの収益を生み出す可能性のあるマイクロソフト365向けソフトウェア「Copilot」に関する同社の進捗状況を知りたがっている。Microsoft Copilotはマイクロソフトが開発したチャットボットで、2023年2月7日にBing Chatとして発表された言語モデルに基づいており、Microsoft BingとMicrosoft Edgeの組み込み機能として搭載されている。
マイクロソフト株は過去12ヶ月で約70%上昇
株価の好調は、同社が製品ライン全体で生成人工知能ソフトウェアに移行していることを反映している。2024年1月30日（火）の取引終了後に発表されるマイクロソフトの決算報告で、これまでの進捗状況がさらに明らかになるだろう。アナリストらは、売上高は前年比15.7％増の610億ドル、1株当たり利益は2023年の2.32ドルから2.76ドルになると予想している。
同社の3つの事業セグメントすべてが、この四半期に2桁成長を達成すると予想されている。Officeを含むProductivity and Business Processesの売上高は、10.3%増の187億ドルとなる見込み。アジュール（Azure）を含むインテリジェント・クラウド（Intelligent Cloud）は、17.5%増の253億ドルになるとアナリストは予想している。ウィンドウズ、ゲーム、サーフェスハードウェアを含むパーソナルコンピューティングは、17.8%増の168億ドルになると予想される。後者には、アクティビジョン・ブリザードの買収が一部反映される。マイクロソフトは、同四半期のAzureの成長率を26%から27%と予想している。
アナリストは、マイクロソフト365向けソフトウェア「Copilot」の展開に注目するだろう。AIベースのコンパニオンアプリで、価格は1シート月額30ドル。
パイパー・サンドラーのアナリスト、ブレント・ブラセリンは、マイクロソフトの投資家は同社のクラウド事業にも注目するかもしれないと説明する。Azureの成長率は29％から30％台に上昇する可能性がある。3年後には、同社のクラウド事業全体が2000億ドルにまで拡大する可能性があると同氏は見ている。
技術部門のレイオフ
人員削減を行っているのはマイクロソフトだけではない。1月だけでも85のハイテク企業から約23,670人が解雇された。3月には38,000人近くが解雇された。
2024年1月22日から26日までの1週間で、マイクロソフトはゲーム部門で1,900人のポジションを削減した。今月初めには、グーグルとアマゾンが数百人を削減した。Unityも25％、Discordも17％の従業員を削減している。昨年、投資家たちは、インフレの上昇、金利の引き上げ、不況の懸念に対応するために企業が従業員を削減するコスト削減策を称賛した。経済見通しが改善したとはいえ、こうした措置は今後も続く可能性がある。昨年は277のハイテク企業が約9万人を削減した。1月の増加は、企業が来年に向けて予算を組み、コスト削減によってより多くのことができることを知っていることを示している。
AIの誇大広告
人工知能が全盛で、新しい生成AI（ジェネレイティブAI）技術は、顧客サービスの自動化やマーケティング・キャンペーンの作成に非常に役立っている。AIは、人間の労働力の必要性が減少し、それが労働力にどのような影響を与えるかについて懸念を生んでいる。 そのため、多くのハイテク企業が従業員を解雇し、AI製品の開発により多くの投資ができるようにしている。従業員の数を減らすことで、AIに対応するための態勢を整えることができるのだ。
マイクロソフトのゲーム部門CEOのPhil Spencerは、同社のレイオフは、"重複する領域 "を制限する大きな "実行計画 "の一部であると述べた。
マイクロソフトが核開発ディレクターを採用
マイクロソフトは、データセンターを稼働させ続けるための新しい方法を模索しているため、核開発アクセラレーション担当ディレクターとしてErin Henderson（PhD、MBA、PMP）を採用した。Henderson氏は、Tennessee Valley公社に13年間勤務し、送電プロジェクトのゼネラルマネージャーを務めた。彼女は、マイクロソフトのデータセンターに電力を供給するための小型モジュール式原子炉とマイクロリアクターの世界戦略を策定する予定だ。
Hendersonの新しい役割は、データセンター研究開発チームのさらなる成功に貢献するだろう。マイクロソフトは、古い石炭発電所跡地を近代的なSMR住宅に転換することを推進する非営利団体Terra Praxisと協力し、長期化しコストのかかる原子力規制・認可プロセスをスピードアップするための生成AIモデルを開発した。
株式：MSFT
マイクロソフトの株価は、同社がAIに注力し続けていることから、ここ数カ月で急騰している。既にマイクロソフトは、Copilot for Microsoft 365サービスの価格を発表し、株価を健全に押し上げた。さらに最近では、新機能や新製品が毎週のようにニュースに取り上げられるようになり、AIの発表が頻繁に行われるようになった。マイクロソフトの株価は2019年1月の107ドルから404ドル前後まで上昇した。
Steve Ballmer 前CEOの時代とは大違いだ。マイクロソフトのSatya Nadella 最高経営責任者（CEO）が就任した2014年2月以降のこの10年間で、同社はマインクラフト開発企業のMojang、LinkedIn、GitHub、ザマリンを買収するなど、徐々に巨体化してきた。近年、マイクロソフトのAI領域への進出は、複数のAI企業の買収とOpenAIへの100億ドル以上の投資によってもたらされた。
マイクロソフトのCopilot
Copilotとは、マイクロソフトが提唱する様々なAI製品の総称である。Word、Outlook、OneNoteなどのMicrosoft Officeアプリと統合するCopilot for Microsoft 365など、さまざまなマイクロソフト製品を対象としたCopilotがある。このCopilotは企業向けのみで、1ユーザーあたり月額30ドルで利用できる。また、個人向けには月額20ドルのCopilot Proサブスクリプションがあり、Officeアプリとの統合や忙しい時間帯の優先アクセスが可能だ。
Copilotはいわゆる生成AI、略してgenAIだ。つまり、テキストから画像、動画まで、さまざまな種類のコンテンツを生成できる。テキスト生成には、マイクロソフトが最大の出資者であるOpenAIという会社が開発したGPT-4モデルに基づく大規模言語モデル（LLM）を使用する。このツールは、膨大な量の記事、書籍、ウェブページ、その他広く利用可能なテキストで訓練されているため、質問に答えたり、内容を要約したり、記事を書いたりすることができる。
OpenAIのChatGPTのように、Copilotはチャットボットとして動作する。質問をすると、返答を作成する。さらにフォローアップの質問をしたり、新しい質問で再開することもできる。
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