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入透
2020年4月7日 22:55
冬の切れ端が膝の間を滑る解け残った白のなかで胸元の花のコサージュが不機嫌に紅い 雪国の桜は3月に咲かない 点滴のように送り込まれた1095日その、最後の一滴いつも通り空は鉛色で彼女たちにとって、それは赦しがたい罪らしい蛍光カラーのピンクで飾り立てられた"晴れの日"がしつこく目を焼くのでそれで泣いたら「…ちゃん、ずっと友達だからね!」生き別れた家族のように抱きしめられた
2020年4月7日 22:49
海を描きたくて、万年筆を買った。しらじらしく冷たいそれをポケットの中で転がしながら、夜と朝の境目を歩く。"ぼう、…ぼう"と氷の色をした36.5℃が冬を編む紺色に分け入って、消える。その断末魔は微かすぎて月明りの啜り泣きにすら、かき消された。 海は遠い。夜明け前は特に。ここまでは急いで来たが、これより先はそうもいかない。寝息をたてる心臓を起こさぬようしずかにしずかに歩かねば