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展覧会レポ:京都国際写真祭2024 八竹庵から誉田屋源兵衛の伝統と革新

【約1,600文字、写真23枚】

 2013年から始まった「京都国際写真祭」。カメラに興味はあるのだが、生来の腰の重さが災いして気づけば閉幕しているのが常であった。今年こそはと覗いてきた。「うっす」

■information
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024
会期:2024年4月13日(土)~5月12日(日)
会場:メインプログラムは京都市内に点在する12会場
料金:有料、無料の会場が混在
事前予約:不要
混み具合:常に誰かいる
写真撮影:可能
webサイト:https://www.kyotographie.jp/
2024年のテーマ:「SOURCE(源)」


インフォメーション「八竹庵(はちくあん)」

 右手の赤い暖簾から入ってみると、冷んやりとした玄関。「ほー、金持ちのご自宅って感じですなあ」
 などと幼稚な感想を抱き、他のお客さんの様子をうかがう。

 カメラ機器を覗き込まれている紳士
「これだとエッジがシャープなんだよね」と言い残して去ってゆかれた。
 紳士が口にしたエッジがシャープという難しい単語に感心しつつ、物色をつづける。

 エッジが効いて緊張する会場、敷かれた畳の偉大さよ。
「日本の実家って感じがするわい、縁側でスイカ食べたいなあ」と、座り込む。
 床の間を拝見すると、お花の写真だ。

アーウィン・オラフ〈グロリオサの静止画〉

 モンドリアンっぽいラインがあって、ガラスの花瓶がなんとも涼やか。
「なるへそ、これだと毎回活けなくてもいいから、長い目でみればリーズナブルですな」
 などと庶民全開でくつろがせて頂く。

 のぼってよい階段があれば、行ってみたくなる。

 二階。磨かれた廊下が反射して、影さえも美しい。大きな窓からは、緑の香りを含んだ心地のよい風が流れ込んでくる。下からはイーモン・ドイルによるサウンド・インスタレーションが聞こえていた¹。


誉田屋源兵衛「竹院の間」

 八竹庵から徒歩3分で次の会場である。(さすがにここは迷わない)

 京都に長く住んでいると忘れがちだが、なるほど観光したくなる街並みだ。入口に狩野派の絵が飾られているのかと錯覚してしまう。
 靴を脱いでお邪魔する。板の間をゆっくり歩けば、足の裏がなんとも気持ち良い。

「この床、イイ音させますなあ」などと掃除をしてくれた方に感謝しつつ、作品を鑑賞。関係の無い三枚の写真が連続することで、一枚の絵画として成立している。

 お庭も作品の一部のようだ。バラバラなのに、全てつながっている。分かったような気がしつつ、スッキリはしない。
 「うーむ。何だろう……?」ぼんやりと考えあぐねて次へ。

Birdhead〈Matrix〉

 数分観てもよく分からないので、説明をよむ。
「〜鑑賞者はグリッドをまたがり広がる弧や接線をたどりながら、アーティストの意図を探ると同時に、自分自身の新たな発想を導くように促されます。~」³
 使われている言葉にシビれ、今度はグリッドと言いたくなる。

 右手から外へ降りる。次の会場は同じ敷地内にある。

誉田屋源兵衛「黒蔵」

 純和風の建物の奥には、黒塗りの塔が建つ。蔵を改築したという。
「俺の家、奥に黒い塔があるねん」と一度でいいから言ってみたいものだ。

 真っ暗な室内に、風車の光。写真展というより、お化け屋敷だ(いい意味で)。

 斬新な展示空間デザインとインスタレーション²。なんと衣紋掛けに写真作品。
 見上げると、上に人がいて、まだ先へ行けるらしい。左手に本来の蔵がみえる。なんだか、少年に戻ったような心地になる。

 上に上がって、円形の通路に並び、さらに先へ。少し待たされて、塔の先端まで登る。

 土壁でできた細い螺旋階段をのぼっていくと、10人ほど入れば息が詰まりそうな空間にでる。

塔のてっぺん?

 天井のカバーは、日食だろうか。今年のテーマは「SOURCE(源)」。原点であり、起源であり、分岐点でもあり、衝突が起こるのもここだ¹。畏れにちかい、神聖な気持ちになる(全然ちがうかもしれない…)。

 降りてゆく途中にあるオブジェ。右手にゴールが見えてきた。
「生還したー、バンザーイ」


〈おまけ〉

 誉田屋さんの会場から10分ほど歩くと、評判のパン屋さんがあります。ネットでは「京都一美味しいと噂のパン屋」なんだとか?!

京都ベーカリー ワルダー

 予想より、こぢんまりしてます(すいません)。

左から、クロワッサン、プリンのデニッシュ、シャンピニオン(合計864円)

 以前、TBSテレビ「マツコの知らない世界」で紹介され、デニッシュを食べたマツコさんは「めちゃくちゃうまいな!」と仰ったそうですが、我が家でも同じ言葉が飛び交ってました。

そういえば

パン屋さんの隣の隣のノースフェイスさん

 近所のノースフェイスさんにも、京都国際写真祭の黄色い旗がありました。「KG+」は、京都国際写真祭出典作品展らしく、サテライトイベントだそうです。なんと、101ものプログラムがあるんだとか。

 予期できない作品体験や偶然の出会いに、一見バラバラな無数の点と点が絡まり合い、共振していました²。

ソース;
¹:リーフレット「京都国際写真祭『SOURCE』」2024.04.13ー05.12 
²:新聞型冊子「KGEXTRASPECIAL EDITION 2024
³:会場内説明書き「Matrix」誉田屋源兵衛「竹院の間」


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