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内縁関係について

1 民法上の内縁関係
準婚理論により,婚姻の効果の準用などが広く認められる。
・婚費分担(760条)…準用
・日常家事(761条)…準用
・不法行為に基づく損害賠償請求(709条)…適用
 内縁関係の不当破棄など
・近親者の慰謝料請求(711条)…準用(下級審)
・財産分与(768条)…死亡以外の理由による関係解消なら準用あり
 →死亡の場合は,相続に関する法律関係の画一的処理との関係で否定する。
 「相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは,相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので,法の予定していないところである。」(判例)
・相続…準用否定
 →配偶者の相続権は婚姻の効力によって配偶者に認められるもの。また,相続に関する法律関係の画一的処理のため,明確な基準で決するのが妥当なため。
・建物賃借権
(1)相続人がいない場合→借地36条1項を検討
①住居の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡し,
死亡時,婚姻(又は縁組の届出)をしていないが,建物の賃借人と事実上夫婦(又は養親子)と同様の関係にあった同居者があるとき
→その同居者は,建物賃借人の権利義務(建物賃借権)を承継する。
(ただし,死亡後1か月以内に建物賃貸人に反対の意思表示をしたらこの限りでない)
(2)相続人がいる場合(判例)
・大前提として,建物賃借権は相続しない。
・しかし,相続人が承継した賃借権の援用によって,明渡請求を拒むことができる。この場合における賃借人の明渡請求は権利濫用として認められない。
・さらに,建物使用にかかる不当利得返還請求も拒むことができる。

3 刑事上の内縁関係
親族相盗例は準用されない。
→処罰阻却規定の適用範囲を明確化するため。

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