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平成ギャル、タイでアヤワスカを飲む③

これの続き。

滝に行ったあと部屋やハンモックの上で過ごし、
いよいよ18:45になった。
アヤワスカセレモニーの時間だ。

セレモニーは地下の部屋で行われた。
スマホは持ち込み禁止。
水のみ持ってきてねとのことだった。

スマホを手放すのは少し不安だったが、
ホテルや滝でシャーマンとすっかり打ち解けていたので
スマホは部屋に置き、念の為蚊よけのスプレーを体に振りかけ、セレモニーの部屋へと向かった。


部屋に入るとかなり広い空間だった。
飾り窓がたくさんあったが、網戸はなかった。
虫除けスプレーをしてきて良かった。
だだっ広い部屋の真ん中に
シャーマン、ファシリティーの二人が座っていた。
電気はなし。
蝋燭が灯っていた。
シャーマン達に向かい合うようにマットと毛布、枕、バケツが置いてあり、私はそこに座った。


シャーマンが「気分はどう?」「準備はできてるかな?」
と様子を伺ってくれたので
「調子良いよ。」「ワクワクしてる。」と答えた。


シャーマンは祝詞のような長い言葉を聞きなれない言葉と英語でつらつらと言い、
そのあと小さなカップに一杯のアヤワスカを私に渡した。
アヤワスカはかなり不味いと聞いていたので
意を決して飲んだが、そこまで不味くはなかった。
飲み終わったあと
「そんなに不味くないね。」と言うと
「本当に?」と驚かれた。
不味さの度合いで言うと、漢方の”防風通聖散”くらいだった。
漢方を飲んだことがある人ならまあ飲めるかなという感じだ。

その後楽器担当のファシリティーのタイ人男性もアヤワスカを飲んだ。
一緒に飲んでくれると不安が軽減されてありがたい。


「これから1時間は吐き気が来ても吐いちゃダメ。アヤワスカが効かないから。トイレに行きたい時は言ってね。もし自分一人で行けないようならファシリティー(女性)が手伝います。気分が悪い時も言ってね。それじゃあ始めます。」とシャーマンが言い、セレモニーは始まった。

最初の20分ほどはファシリティーやシャーマンがしているのを見習い、座禅を組んで瞑想した。
その後しばらくすると胃が気持ち悪くなってきて、ものすごい吐き気が私を襲った。
しかし1時間は我慢しなくては。
吐いてしまったら元も子もない。
と思い1時間は耐えた。
ファシリティーは50分くらいでバケツにオエオエと吐いていた。
1時間20分ほど経ち、吐き気がピークに達した。
私はバケツを引き寄せ、吐いた。
アヤワスカの日は絶食をしていたので、固形物は全く出てこず
胃液味のアヤワスカが出てきた。
たくさん吐くと言うよりは、胃からギュウウと出てきた少量の胃液を吐くという感じだった。

そこから20分後、視界がバチバチしてきた。
何というか、暗闇の中でも月の光が当たっている箇所がバチッとなる感じだ。説明が難しい。
丁度トイレにも行きたくなり、シャーマンにトイレに行くと言って立ち上がったが、少しふらついた。
トイレに行くと電気がついているので更に視界がバチバチした。


セレモニーの部屋に戻り、横になっていると体が自然と動いた。
腕をゆらゆらさせたり足をぶらつかせたりだ。
少し良い気分になった。
ふわふわした気分だ。
実際胃はとても気持ち悪いのだが、気分は浮ついている感じだった。

それと同時に視界に灰色の模様が現れた。
模様はチェスの版のようなチェッカー柄がゆらゆらしていたり、
マンダラのような物が展開したりしていた。
(おお….ついに来たな…)とワクワクした。
恐怖心は一切なかった。

効き目が現れた頃から、
”気づき”が次々と私を襲った。
常日頃からこういう”気づき”をよく思ったり考えたりしている方だが、
アヤワスカを飲んでからの私はすごかった。
次々と思考が溢れ出し、自分の中で完結した。
あまりにもすごいスピードで”気づい”てしまったので
今となっては何に気づいたか忘れてしまったのだが、
(ずっとこう思ってたあれはこうだったんだ)
(⚪︎⚪︎ってこういうことだったんだ)
(こうだからああなってるんだ)
みたいな”気づき”が次々と私を襲ってきた。
ネガティブな”気づき”ではなく、ポジティブな”気づき”だ。

その間中シャーマンは歌ってくれていた。
どこの言葉かはわからないが、聞き慣れない言葉の歌だった。南米の言葉かもしれない。
10分くらいの歌を続けていくつも歌ってくれていた。
ファシリティーの女性が歌うパートもあれば、シャーマンと女性で歌うパートもあった。
もう一人のファシリティーの男性はギターのような楽器をそれに合わせて弾いていた。
この歌、すぐ終わるのかと思いきや
なんと4時間も歌ってくれていた。
歌詞を覚えるのも曲を覚えるのも大変そうで、
シャーマン業も大変だな…とふわふわしながら思った。

ギターのような見慣れない楽器



「アヤワスカを飲むと”ビジョン”が見える」
と言う話がある。
ビジョンと言うのは人によって違うが、
世界が歪んだり、いろいろな生き物や風景が見えたり、
蛇や龍などが見えると言う。
Youtubeを観たり体験記を読んでいると
見える人は半分半分くらいのようだ。

アヤワスカでビジョンを見ることができるのは
健康であり薬(市販薬や処方薬)が抜けている人らしいのだが、
私は睡眠導入剤がないとどうしても眠れず、
アヤワスカの4日前まで飲んでいた。(本当は1週間前にはやめないといけないのだがどうしても眠れず体調が悪くなったので飲んでしまっていた。)

そして自分でも自覚があるほど健康ではなかった。

そのせいかいわゆる”ビジョン”は見えなかった。
風景や動物などは見えずに、動き続ける模様を見ていた。
動き続ける模様が見えていること自体普通ではないのだが、
”ビジョン”が見たい私は少し拍子抜けしてしまった。

どうしてもその”ビジョン”が見たかったので
追加でアヤワスカをもう一杯飲んだ。

しばらくしてから吐き気が襲ってきて、バケツに吐いた。
その後また模様が見えたり気分がふわふわしたり腕や脚が動いた。

だが”ビジョン”は見えない。
シャーマンはもう一杯飲んでみるかと聞いてくれたが
胃がずっと気持ち悪く、
(また飲んで吐いて見れなかったら嫌だな もう飲みたくないな)
と言う思いがあり、三杯目は断念した。

18:45から始まったセレモニーは23:45頃に終了した。

胃はずっと気持ち悪く吐き気もすごかったが、
気分がふわふわしたり、いろいろなことに気づいたり、
動き出す模様が見えたりした5時間だった。


感想としては、一回経験として飲んでみたのはあり。
ただ2回目も飲もうとは思わない。という感じだった。
体験談などで目にしていた鬱状態が治ったりという絶大な効果は感じなかった。
それでも少し世界を見る視点が変わり、ポジティブになった気はした。
旅が楽しかったせいもあるかもしれない。


セレモニーが終わった後、シャーマンが大量の冷えたフルーツを持ってきてくれた。
私とシャーマンとファシリティーでフルーツを囲み、食べた。
絶食後、アヤワスカ後のフルーツはそれはもう美味しく、
今まで食べたフルーツの中で一番美味しかった。
シャーマンに「どうだった?」と聞かれ、
感想とビジョンが見えなかったことを言うと残念がっていた。
ここの施設には日本人がよくアヤワスカを飲みに来るらしいが、
見えた人と見えなかった人は半々くらいらしい。
特に女性は見えることが多いらしく、楽しんで帰っていくと言う。
男性は吐きまくって地獄のまま終わることが多いらしい。
私はちょうど中間くらいか。
もう少し体の状態を万全にした方が良かったかな。

ただ経験としては面白かったし、
このアヤワスカきっかけのタイ一人旅がかなり楽しかったことを思えば後悔はない。


私のアヤワスカ体験は以上だ。
興味がある人がこんな感じなんだ〜
と思いながら読んでくれたりすると嬉しい。



フルーツが美味しい


次の日の朝に出てきたヴィーガン料理もまあまあ美味しかった。
最初は(なんか無味だな...まあヴィーガン料理ってこういうもん...?)と思って食べていたが、
隣にソースがついているのに気付かず春雨スープを3分の2くらい無味で食べてしまった。
ソースを入れたら美味しかった。

結構楽しかったです。


読んでくれてありがとう!

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