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初めての取締役会運営

はじめに

「これから上場準備を始めよう!」といった事業会社の支援をさせていただくことが多いのですが、取締役会の運営で悩んでしまう会社さんが多いような気がします。招集通知や議事録、会社法に規定される取締役会決議事項などはネットですぐに学習することができるのですが、いざ運営しよう…となった際に、何をどのようにすればよいのか?実務的な部分や、取締役会の運営や進行などについて、一例をご紹介しようかと思います。

取締役会規程を確認しましょう

定款で取締役会設置会社となっているか?などの基礎的なところは割愛しますが、「取締役会規程」は、必ず確認しておいてください。特に、以下の2点が重要かなと思います。

①招集手続き
招集通知をいつ発するのか?招集通知だけでよいのか?緊急時の招集方法などについて記載されています。取締役会は重要な決議機関なので、招集手続きにミスがないようにしましょう。
②決議事項と報告事項
会社法に規定される内容以外にも規定されている場合がありますので、職務権限表と併せて確認をしておきましょう。関連会社の決議事項や報告事項は漏れやすいです。

招集通知を発行しましょう

基本的には、規程に規定されている(よくあるパターンは、「原則として会日の3日前までに各取締役及び各監査役に対して発する」ですかね。)とおりに発行すればよいのですが、できればこのような運用にしていただくとよいかも…です。

① 5日前までに取締役会の議案(決議・報告)を各取締役に投げて、その他の議案がないか確認する。
 各取締役からの報告事項や事業部の決議事項が漏れがちになるためです。
② 3日前までに招集通知を作成する。
 この時、決議事項、報告事項の内容について簡単なサマリーを招集通知本文もしくは別紙にまとめ、添付資料の有無、添付資料のファイル名(必要に応じて保管場所)も記載しましょう。
 サマリーを記載することによって、議論すべき内容をある程度コントロールすることができます。
③ 3日前までに招集通知及び添付資料を発行する。
 添付資料が遅れる場合は、その旨を連絡しましょう。
④ 議案、報告事項については、事前に資料の内容だけでなく、話していただく内容を確認し、不明点があればそれも確認しておく。
 ついでに持っていきたい方向も確認しておくとよいです。

取締役会を運営しましょう

取締役会は基本的に議長(取締役社長)が進行することになりますが、別の取締役でも事務局でも司会進行がうまい方に任せましょう。取締役会進行のポイントは以下の通りです。

① 基本的には、招集通知に添付した各議案のサマリーに従って進めると早いです。
② 決議事項は、賛成か反対か必ず決をとる。挙手でも拍手でも起立でも何でもよいです。
③ 議案毎に取締役、監査役に意見を求めてください。全員である必要はないです。
④ 必要に応じて、司会進行者が、議案、報告内容について補足、質問して議論を促しましょう。
⑤ 社長だけでなく、取締役数人、監査役にも総括を求めましょう。

議事録を作りましょう

議事録も趣味嗜好によって作り方がバラバラですので、参考程度に一例を記載します。取締役会議事録は、第三者が閲覧する可能性もあるので基本的には必要事項のみとしておきたいです。一方で法務DDや投資案件の振り返りなどでは、取締役会において議論された証が必要となるので、議事メモを残すようにしています。

① 議事メモを作成(私はCLOVA NOTEとChatGPTです)して、議事録に残すべき箇所をハイライトして取締役・監査役に共有し、意見募集する。
② 集められた意見をもとに議事録を作成する。基本的には、限りなくシンプルにし、詳細は議事メモを参照していただくようにするのが良いと思います。

もう一つだけ資料を作っておきましょう

「取締役会議案一覧」というものを作っておきましょう。①取締役会の日時②取締役会のタイトル③決議事項及び認否④報告資料⑤添付資料一覧(及び保管場所)⑥議事メモ及び議事録の保管場所…をまとめたものです。加えて、年に一度しか決議しないものや、事後報告が必要な事項などは、予め未来の日時で一覧に入れておくことで、抜け漏れが低減されますので是非作成してみてください。議案検索時にも役立ちます。

さいごに

今回は、取締役会運営の一例を記事にしてみました。何か一つでも気づきとなることがあれば幸いです。今回本文中に記載された取締役会規程や招集通知、添付資料、議事録、議事メモ、取締役会議案一覧などが欲しい!という方がもしいらっしゃれば、お気軽にご連絡ください。
次回は、今回触れなかった予実管理か予算作成について記事にしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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