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時間をも抱きこんだ

5/1‐5/4のあいだ開催されていた【DABO】re:rizmを訪ねてきた。

まるで時間を素手で撫でていくよう。
古い物と現代の作品が設えてあり、過去と未来がぎしぎしと軋んだ音をたてている。それでいて、とても静かなのだから不思議。
この場所だけ時間が停滞している。

地上から姿を消した時間が、どこをどんなふうに流れていくのか、ずっと気になっていたのだけれど「ああ、ここに集まっていたのね」と妙に納得してしまった。

もともと触覚の悦びをあちこちで語ってきたけれど、ここにいるあいだ、私は作品に触りたいという衝動を我慢するのにすごく苦労して(そしてたくさん触らせてもらえた)、それはきっと一つ一つの作品がもつ時間の手ざわりと関係している。

それにしても鏡原愛莉さんの作品がこうも「触れてみたい」という気持ちにさせるのはどうしてかしら。私はこの人のつくるものの、色と手ざわりがとても好き。

力強く日焼けした時間を抱いたものは、そこにあるだけで豊かな安心感がある。

ところで、古いものを収集する喜びのひとつに、いくばくかの過去が、現在、いま現に流れつつある時間に挿入されるのを目のあたりにしているという感動がある、と、思う。私の見つめる遠くにいる聞き慣れない言葉で会話する異邦人たちが、足もとまで寄せても来る海を渡って、私たちの今日のなかにその世紀をはめこんでいるという単純な驚き。

そうした、いま、とか、ここ、がひとつの場所に集められているのに、窮屈そうにするどころか見事に調和しているのだから、やっぱり不思議な展示だった。

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