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AI・自動運転企業として実績を重ねる $BIDU 「第一章:企業概要と自動運転」

今回はAI・自動運転企業として実績を重ねるBIDUの企業概要と自動運転の説明・分析を行います。定量的情報の紹介、オープン化とその懸念であるマネタイズに関し特に焦点を当てています。

会社・事業概要

BIDUは、中国語インターネット検索サービスに加えて、自動運転などのAIを活用した事業とオンラインエンターテイメントサービスを運営しています。

ロイターによれば会社・事業概要は以下の通りです。

バイドゥ(Baidu Inc)は中国語インターネット検索サービスを提供する。【事業内容】Baidu.comというウェブサイトで中国語検索プラットフォームを提供する。ユーザーがウェブサイト上のリンクを通じて、ウェブページ、ニュース、画像、文書とマルチメディア・ファイル等の関連情報をオンラインで見つけることができる。2つの事業セグメントを運営する。Baidu Core事業は主に、検索ベース、フィードベース、およびその他のオンラインマーケティングサービスに加えて、新しい人工知能(AI)イニシアチブからの製品とサービスを提供する。Baidu Core事業において、製品とサービスは、モバイルエコシステム、Baidu AIクラウド、インテリジェントドライビングとその他の成長イニシアチブに分類される。アイチーイー(iQIYI)事業は、プラットフォーム上でオリジナル、プロ制作とパートナーが作成したコンテンツを提供するオンラインエンターテインメントサービスプロバイダーである。
引用:ロイター

事業セグメントと成長率

前述のロイターの引用の通り、BIDUの事業セグメントは①Baidu Core、②iQIYIの二つに分かれています。

①Baidu Coreは、主にオンライン/オフラインのマーケティング付加価値サービスとAIを活用した製品/サービスを提供しており、売上の7割を占めています。2018年、2019年、2020年の収益は、それぞれ783億元、797億元、787億元であり、成長率は高くはないかと思います。なお、2020年は各QのYoYでそれぞれ-7%、-1%、+1%、+5%の収益変動があり、コロナからは回復しているようです。

②iQIYIはオンラインエンターテイメントのセグメントであり、映像コンテンツの制作、集約、配信を行なっています。2018年、2019年、2020年にそれぞれ250億人民元、290億人民元、297億人民元の収益を上げています。

②iQIYIは、①Baidu Coreよりも高い成長率ではありますが、SEC Filingsにおいて①Baidu Coreに関する説明に注力しており、実際に今後の成長ドライバーは①Baidu Coreであると思われるため、本Noteでもこちらの説明を以下で行います。

BIDUの成長ドライバー

BIDUは次の3点を①Baidu Coreの成長ドライバーとしています。

1:オープンなプラットフォームを基盤としたモバイルエコシステム
2:PaaS、SaaS、IaaSのAIクラウド
3:インテリジェント・ドライビングとその他の成長戦略

そして、BIDUは自身を「インターネットを基盤としたAIのリーディングカンパニー」であるとし、SEC Filingsにて次のようなエビデンスがあるとしています。定量的データでAIの強さを示すことのできる企業であることがわかります。

- 当社は、2020年10月30日時点で、中国で最大のAI特許およびAI特許出願のポートフォリオを保有しています。
- 当社の深層学習フレームワークであるPaddlePaddleは、2020年12月31日現在、累積プルリクエスト数で、中国ではNo.1、世界的にはFacebookのPytorchに次ぐNo.2の深層学習フレームワークです。
- 当社のBaidu Open AI Platformは、265万人以上の開発者コミュニティを持ち、中国で最大のオープンAIプラットフォームです。
(2020年12月31日時点での開発者数をベースにしています)
- バイドゥのクラウドインフラ上で稼働するBaidu OSChinaは、中国で最大のオープンソース活動の開発プラットフォームであり、2020年12月31日時点の開発者数で世界第3位(GitHub、Gitlabに次ぐ)となっています。
引用:SEC Filings

自動運転について、「巨大な市場機会があり、顧客基盤が拡大している初期段階の製品化もある」としており、領域には特に力を入れているように思われます。

アポロ(完全オープン化された自動運転基盤。詳細後述。)は、2020年12月31日時点で、中国国内で430万回の累積テストマイルと199の自律走行ライセンスを持つ中国のマーケットリーダーであり、Baidu Brainや特定のAI利用に合わせてカスタマイズされたAIチップを社内で開発し、パフォーマンスやコストの向上を図る、などの取り組みを行なっているようです。これらが、先に上げた特許数などの多数の実績につながっているものだと理解できます。

AIチップに関してはロイターが、BaiduのAIチップ部門Kunlunが新たな資金調達を完了し、評価額は20億ドルになったというニュースを上げています。(参考:ロイター

なお、カリフォルニアに限った話ではありますが、以下のように一回あたりの人の介入なしの走行距離ではBIDUが最長となっています。ただし総走行距離の観点ではWaymoの1/10に止まっています(なお、BIDUは中国企業であり、本拠である中国での実績もあります)。

出所:MIRAE ASSET

アポロ(Apollo)とは?

BIDUが推進する完全オープン化された自動運転基盤がアポロです。中国のトップレベルの大学5校が参加しているほか、地方自治体との提携も行われています。そして、アポロパートナーズには、グローバルで100以上のメンバーが参加しているようです。

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