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NHK朝ドラ「らんまん」に想う


 NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」が終わってしまった。すでに10月になり、新しいドラマが始まっている。でも、私はいまだに「らんまんロス」である。次のドラマが頭に入って来ない。「らんまん」に、珍しく感情移入してしまったからだろうか。

 私は、ドラマを見ながら、職場で言いたくても言えなかったこと、逆に主人公の万太郎が黙って耐えていたことを、私は言ったことなどを思い出していた。毎朝、ヤジを飛ばしながらストレス解消をしたり、逆にストレスが増したりしていたのだ。

 物語の軸は、主人公である万太郎の植物に対する愛だったようにも見える。しかし、私には、東京大学を舞台にしたドラマではないかと思っていた。研究とは何か。その研究を究める過程で、どのような苦難があり、そして大学の中でどんな政治的駆け引きが渦巻き、研究が真っすぐには進まないかを描いたドラマだったのではないか。

 ドラマ上の時代設定は、江戸から明治にかけてではあるが、あくまでも令和の今から見て解釈して作られたドラマであり、主人公のモデルだった牧野富太郎の人生も、忠実に再現しているわけではない。しかし、日本の大学における権威主義とは何か、大学と政府の関係、学内政治と人脈、既得権益を持った教授の立ち振る舞い、政府から依頼される研究方針や研究予算の使い方に対する大学の姿勢など、明治も令和も全く変わらないなあと唸らせるドラマであった。そして、間接的にではあっても、現在の大学における権威主義も、どれだけ、そしてどのように研究の弊害となっているか、ドラマというフィルターを通して振り返る機会を得られてよかったと思うのである。
 

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