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村上宗隆は、過去の三冠王の誰に近い打者なのか

ここのところのプロ野球の話題と言えば、リーグ優勝の行方よりも、村上宗隆の三冠王獲得が実現するかどうか、だ。

私がプロ野球を見始めた1984年、ブーマー・ウェルズが三冠王を獲得した。
翌1985年、1986年には、落合博満とランディ・バースが三冠王を2年連続で獲得。

なので、私には、三冠王が難しいという感覚がいまだにない。

しかし、1987年以降、35年間で三冠王は、2004年の松中信彦ただ1人。

今になって思えば、ブーマー、落合、バースの3人は、プロ野球史上有数の大打者だったわけだ。

これまで三冠王を獲得した成績の中で、私が突出していると感じるのは、1985年の落合とバース、そして、1986年のバースである。

落合博満
1985年:130試合 打率.367、52本塁打、146打点、169安打、101四球、40三振、出塁率.487

ランディ・バース
1985年:126試合 打率.350、54本塁打、134打点、174安打、67四球、61三振、出塁率.428
1986年:126試合 打率.389、47本塁打、109打点、176安打、82四球、70三振、出塁率.481

実は、これらの成績と村上の130試合出場時点の成績が遜色ないのだ。

村上宗隆
2022年 130試合 打率.333、55本塁打、132打点、149安打、111四球、112三振、出塁率.471
 ※2022年9月18日時点

打率では落合やバースに多少劣るものの、本塁打数は最高で、打点も遜色ない。

これらの成績を眺めていると、それぞれに打者の特徴が出ていて興味深い。
落合は、40三振と三振数が少なく、146打点と勝負強い。史上最高のバットコントロール技術を持っていたと言えよう。

また、バースは、1986年に打率.389という史上最高打率を記録しており、三振数もまずまず少ない。パワーと技術を最高峰で兼ね備えた打者だったのだ。

一方、村上は、55本塁打と落合、バースをしのぐスラッガーであるが、112三振と圧倒的に多い。どんな球が来ても、本塁打を狙うバッティングをしているのだろう。

どちらかと言えば、王貞治に近い打者のようにも見える。
王貞治が2度の三冠王を獲得したときの成績が下記だ。

1973年、130試合 打率.355、51本塁打、114打点、152安打、124四球、41三振、出塁率.500
1974年、130試合 打率.332、49本塁打、107打点、128安打、158四球、44三振、出塁率.532

王も、三振数が少ないので、村上とは少しタイプが異なるようである。

つまり、現在のところ、過去の三冠王で似たタイプがいない。

それ以外で探してみると、シーズン50本塁打以上を記録したスラッガー松井秀喜、アレックス・カブレラ、タフィ・ローズがかなり近い成績だ。

松井秀喜(本塁打・打点の二冠王)
2002年:140試合 打率.334、50本塁打、107打点、167安打、114四球、104三振、出塁率.461

アレックス・カブレラ(本塁打の一冠王)
2002年:128試合 打率.336、55本塁打、115打点、150安打、100四球、117三振、出塁率.467

タフィ・ローズ(本塁打の一冠王)
2001年:140試合 打率.327、55本塁打、131打点、180安打、140四球、140三振、出塁率.421

現時点で、これら3人の名スラッガーと肩を並べていると言っていい。数字上では、アレックス・カブレラとかなり成績が近い。

とはいえ、村上は、まだ23歳。これから三振数を減らし、確実性が上がれば、過去の誰にも似ていない規格外の大打者になる可能性を秘めている。

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