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《天體現象》  詩と音楽と、ファンタジー #1

◇まえがき

わたしは、ファンタジーが大好きだ。
川のほとりでクラムボンのかぷかぷ笑うお話が聞こえてきたり、古本屋の風変わりな本から、果てしない物語が始まったり。

ファンタジックな世界に音楽をつけてみたい、ってずっと思ってる。

ページをめくると、音楽も聞こえてくる。なんてことができたらどんなに素敵だろう。

でも、問題がひとつ。
物語はたいてい長い。だから曲も長くなる。
それはそれでいいのだけれど、もう少しこう、小品を書きたい。
作曲の練習の意味合いもかねて。

「だったら、詩だ」と思い立って、ファンタジックな詩を探してみた。
いくつかの詩をみつけて、どれも好きになった。

そのなかから今回選んだのは、櫻間中庸の『天體現象』という詩。
櫻間中庸、読みかたは、さくらまちゅうよう。
中庸さん、他にもとっても素敵な詩を書いている。知らなかった!

*注:「體」は「体」の旧字体。なので『天體現象』は、天体現象のこと。





◇ジーッ。まもなく開演です。

クラシックの作曲家はよく「〜のための」みたいなタイトルの曲をつくる。
「エリーゼのために」とか「亡き王女のためのパヴァーヌ」とか。

なんか、かっこいい。

わたしもちょっと気取ったタイトルにしてみたい。

題して、『天體現象のための小品』。
楽器は、ピアノと二つのフルート。

それではまもなく、開演です。






天體現象


月に迫る金星
月に迫る金星
瞬間
雲はカーテンをおろす

あゝ
雲はカーテンをひく
金星は月をはなれてゐる
金星は月をはなれてゐる









詩:櫻間中庸(1911-1934)
岡山県和気郡三石町(現備前市)に生まれ、早稲田大学在学中に夭折した学生詩人、児童文学者。

*詩、及び作者紹介文は「青空文庫」より引用・抜粋しました。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001604/card53932.html

りとるらいとさん主宰#日曜作曲への参加作品です。


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