ドラマティック皮膚科
この前の平日の午前中、皮膚科に行ってきたんですよ。休みだからってことで、前日から午前診の予約だけ取りましてですね、平日の午前中に行ってきた訳なんですよ。
前日の朝に予約したんですけど、その時点で20人待ち。メールでそろそろ来てください、って連絡が来たのは12時前でございました。オープンが9時だと考えると、3時間待ちですよ。皮膚科でユニバくらい待たされるとは知りませんでしたよ。そんな楽しいところなんすね。
んでいざ皮膚科についてみると、待合室には僕意外にもう一組カップルがいるだけなんですよ。僕はおそらく、午前診の最後にギリギリ入り込めたんでしょう。ちょっとラッキーな気持ちで、カップルの横に座ったんですね。
「大丈夫…?ねぇ…どうなの?」
「うん…大丈夫…」
なんか横のカップルが言うてるんが聞こえるんですよ。僕とカップルしか待合室にいないので、いやでも聞こえてくるんですけど、そもそも町の病院にカップルで来ること自体が、なかなかレアな状況ですよね。
「ねぇ、腕…どう?大丈夫?痛くない?」
「うん…痛くは…ない…」
おそらく20代前半くらいでしょう。献身的に介抱する女の子と、照れ臭そうにする男の子。
「他は?他は大丈夫?しんどかったりしてない?」
「うん…二の腕のところだけ…他は大丈夫…」
ここ、皮膚科やんな?
心臓外科手術を控えたやつらの温度感なんよ。
なんか盛り上がってるカップルを横目に、とりあえず僕の問診票を仕上げていきます。今回僕が皮膚科に来たのが、なんか半年くらい前から手荒れがひどくてですね。ハンドクリームとかで対処はしてたんすけど、なかなか治らないからってので、とりあえず来てみたんですよ。
一旦問診票には「症状:カサカサ」だけ書いて、受付に提出をいたします。その後5分も経たないうちに看護師さんに呼ばれました。
「犬井さん、それでは一旦患部の写真だけ取らせてもらっていいですか?」
治して欲しいと言ってやってきて、写真撮り始めたら切れるヤベェ奴でもいるのかななんて思いながら、とりあえず手を大きく広げて目の前のテーブルに置きます。かなり背の低い看護師さんは、必死に背伸びをしながら、できる限り上から僕の手を取ろうと四苦八苦しています。
「お待たせいたしました…」
カシャッ!!
看護師さん写真に四苦八苦している中、先生が少し焦ったように診察室に入ってきました。看護師さんは、まだ僕の手がうまく取れず、何度も取っては見直し、取っては見直しを繰り返しています。
「大変お待たせして…申し訳ございません…」
カシャッ!!
僕と先生の間で、必死にiPadで写真を撮ろうとする看護師さん。
「今回は、手がカサカサと言う事で…」
カシャッ!!カシャッ!!
「半年から一年程前からこの症状があると…」
カシャッ!!カシャッ!!カシャッ!!
食う前の飯を、一生写真取ってる奴より鬱陶しいの初めてなんですけど!
山田君、脚立もってきて!
「それでね…犬井さん…」
「はい…」
「水仕事が増えたりとかは、無いんですね…?」
「そうっすねぇ…特別増えたとかは無いですかねぇ…」
「そうですか…犬井さん…」
「はぁ…」
「あの…犬井さん…その…」
なに、俺死ぬ?
俺、町の皮膚科に家族全員集合させなあかんのか?
「あの…まぁ手湿疹と呼ばれる奴でして…」
「はぁ…」
「手荒れみたいな…ものですね…」
でしょうね!!!!
何で俺は一旦死を覚悟せなあかんのや!!
「とりあえずお薬だしときますから、また3週間後来てくださいね。」
診察室を出ると、まだカップルは「大丈夫…?」「心配すんな…」みたいな、映画の主人公みたいなやり取りを繰り返していました。
需要と供給って、こんなところで回っているんですね。
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